*1.はじめに **1.1 「私」の特徴 *** 略歴 - 埼玉県生まれ - 1978-1982 : 筑波大学第一学群自然学類数学専攻(ゼミ:微分幾何) - 1982-1987/11 : 筑波大学大学院博士課程教育学研究科(数学教育) -- 中間論文(修士論文):学校教育における「幾何」に関する研究 -- 院生のときに,附属中と附属高校で1年ずつ非常勤講師 - 1987/11-1989/9 上越教育大学 助手 -- Geometric Constructor (GC/DOS) 開発に着手 -- 附属中での研究授業実施 -1989/10- 愛知教育大学 助手...教授, 現在に至る -- GCに関する本格的な研究 -- ソフト開発, 教材開発, 授業研究 -- 国内のいろいろな先生方と共同研究をする -1996 GC/Win -2000 GC/Java -2010 GC/html5 -2016-2018 愛知教育大学附属高校校長 *** 特徴 - ソフト開発を中心に,数学教育研究をしている - 「数学的探究」や「授業」のための道具として,ソフト開発をしている -原体験として,「幾何学(微分幾何,トポロジーなど)や,附属学校での授業などがある -いろいろな方(特に学校の先生方)とコラボをしてきた。 -開発指向 -「ライブ感覚」にこだわりたい **1.2 「この授業」と「(私の)普段の授業との違い」 - 愛知教育大学の学部の授業では,「教員志望の学生」がほとんどなので,「いい授業者を育てる」ことを念頭に,授業をしている。 - 今回は,ある意味,「20歳前後の自分」を想定しながら(?) ちょっと違うスタンスで取り組んでみたい。 - 想定する学生像 -- 高校教員,中学校教員などを目指す人 -- 「教員」以外での「教育」との関わりを想定している人 -- 「数学が好き」な人, 数学を今後の職業に生かしたいと思っている人 -- 数学と情報との関わりも考えている人 **1.3 目指したいのは,「みなさんの学びの最適化」 - 「学び」ということがとても重要になってきています。 - でも,周りの学生の様子を眺めていると,それを肌感覚しとて実感していない人が増えているように感じています。 - 「教える」ことあるいは「教えてもらう」ことと,「学ぶこと」は,ある意味対極でさえあるわけで,みなさん自身の「主体性」が鍵であったり,あるいは,みなさんの学びに対して,どれだけの「知的刺激」を提供できるかが,大学の授業のねらいのはずだと思っています。 - そのような意味において,次のことを,「課題」(レポート)にしたいと思っています。(変える可能性もありますが) *** レポート課題 - (1) あなたにとって考察の対象にする価値があると思う, 「ICTを使った数学的探究」の具体的の概要と,その分析をまとめなさい。 -- 「この授業の中で扱った事例」でも,「この授業に関連して自分なりに取り組んだ事例」でも,「この授業とは無関係だけれども,この授業で焦点化したいものと共通すると思える事例」でもかまいません。 - (2) 「ICTを利用した幾何」において生徒が学びうるものとして,どういうものを考慮していくべきと考えるか, ということに関して,ある事柄に焦点化して考察しなさい。 --(「焦点化」というのは,総論的でなくていいという意味です。) - (3) 「幾何カリキュラム」という授業の主旨に関して,上記の二つの課題が適切と考えていますが,「それ以外の観点で,考察したこと」があれば,それを中心に「代替レポート」としてまとめることもあっていいと思っています。(その場合は,レポートに関する話題についてのやりとりをメールで行うことにしましょう。) **** レポート提出について - 提出先は,Moodle (影山先生) - 期限の原案は7月末 - 特別な事情があったら,要交渉 **1.4. 主題としての「幾何カリキュラム」に関連して -このテーマは,私自身,院生以降,ずっと意識している話題の一つです。 -影山先生も,きっと,ずっと取り組んできている話題の一つだと思います。 -でも,最近思うんですよね。 -学校教育の中で,「幾何」って,後退の一途のままじゃないだろうかって。 -学生の中で,「数学って,計算」みたいなイメージがとても強いのを感じます。 -みなさんの中ではどうなのでしょう。 -「幾何」って,どの程度の存在なのでしょう。 -「初等幾何学」を学ぶことが,幾何と同義というわけではないですよね。 --いまさら,その体系が現代に生きているわけでもない。 -トポロジーの結び目理論が,幾何というわけでもないですよね。 --もちろん,「代わり」に,微分幾何や射影幾何をあげてもいいですけど....きっと同じ。 -「幾何カリキュラム」って,何を意味するのでしょう。 --決して簡単ではないのです。 --カリキュラムを「きちんと」考えるということは **1.5.ICTと幾何,そして動的幾何ソフト - ここで使う,GC/html5というのは,最初の開発が1989年です。 - 90年代に,国際的には,cabriやGSP,国内ではGCなどが開発され,また使われるようになりました。 - 端緒は,(図形は動かなかったけど) Geometric Supposer でしょうね。1986年くらいかな。動かなかったのは,PCの性能の問題です。 - 今,世界的に一番元気なソフトは,GeoGebraです。 - 私が院生だった80年代まで,「幾何教育」は「混迷」といわれました。 - 研究が盛んだったのは,van Hieleの思考水準の研究あたりでしょうか。 - 世界的な意味での幾何教育研究の中では,動的幾何ソフトは確固たる役割を持っていると思います。 - そして,「なくなる」ことはないと思います。 - 一方,日本では,いまだに「はじめて見る」という学生もいっぱいいるんですよね。 - 愛知教育大学の学生は,「生まれる前(1992)に実施された研究授業」のビデオを見たりしています。 **1.6.GIGA以降に活躍するみなさんにとってのICTとは - これもぜひ,いろいろなところで検討してください。 **1.7.教育研究にとってのICT - 「設計」可能であり,「実装」可能であり,「実験」いや「実践」可能な世界を大きく拡張してくれたのが,ICTだと,私は思っています。 - でも,それは別の見方をするなら,「プログラミング」という言語が,私たちの世界を大きく変えたということであり,きっとsociety 5.0 では,それはあたりまえのことではないかとも思うんですけどね。 - そういう文脈で,プログラミング的思考なども位置づけるべきではないかとも思っています。