*10.改めて,「幾何のカリキュラム」について考えよう **10.1 みなさんにとって,「幾何」の存在感は? - 「補助線が引けたときの喜び」とおっしゃっていた方もいるけれど... -「直観」というような表現をした方もいるけれど... -- -うかがってみましょう。みなさんの感覚を。 **10.2 どんな知識・体系? -初等幾何? -座標幾何? -ベクトル? -トポロジー? **10.3 あるいは,数学って,代数や解析あるいは確率や統計? -「計算をして答えを出す」ということを乗り越えて,数学は何なのだろう。 -解析など,他の分野の中には「幾何」はないのか? -そういうときの「幾何らしさ」って,何なんだろう。 **10.4 体系や対象によって「幾何」という枠組みで考えるのは適切でないかもしれない。だとしたら,どう表現するといいのだろう。 -たとえば,「図にかいて考える」みたいなことは,多くの問題解決の中でいきている。 -それらも手がかりにしながら,「幾何として注目する価値があること」に焦点を当てていくことが大切なのかもしれない。 **10.5 動的幾何ソフトの中で実現されているのは「interactiveな探究のための世界」と私は考えたい -異論はあるかもしれませんが。 -「証明」も中核にしたいけど,「何に注目するか」「どういうことを観察したのか」「それをどう解釈するのか」等を,「リアルタイムで体験可能」なものにし,個人としての価値ある探究,グループでの探究,あるいは学級レベルでの探究を,それなりに実現してきた。 -それをもっと多くの人に開かれたものに変えていけないだろうか。 -そして,その中には,きっと「幾何のよさ」として価値づけることができるものが,かなりあるのではないだろうか。 **10.6 「探究という観点」からみた,さまざまなアウトプットとそれを価値づける可能性 -「問題に対する模範解答」に準じたものをどれだけつくれるかを評価するという方法もある -しかし,よりオープンな問題に関して,観察したこと,感じたこと,定式化したこと,それに対して解決したこと,残された問題等の記述など,ある意味「レポート」のようなものを適切な形でつくることや,発見したことを発表すること,発表に対してコメントしたり,協働して成果を出すことなどに適していることがかなりある。 -それらは新しい「学びとその評価のための可能性」が開かれているものとして位置づけることもできるかもしれない。 **10.7 違う意味での幾何的な体験を可能にする世界を「設計し,実現できる」かも -幾何という言葉は,平面や空間など「経験可能な世界」との関わりも意味するものであるならば,「そういう経験を可能な世界を,ICTによって設計可能・実現可能・そして体験可能」になっているのも事実。 -適切なインターフェイスを実現することで,「新しい幾何的な世界」を実現可能なのかもしれない。 -学校教育に限定すると,授業の中で扱える世界は限定されているかもしれないど,広い意味での「教育」を考えるなら,それは大きな突破口になっていくのかもしれない。 -Society 5.0 時代の幾何教育というものは,それらを前提としながら,大きく変貌したものになっていくのかもしれない。 **10.8 「カリキュラム」というものを考える視座も,「いろいろ」ありえます。 -「教員」としては,自分がしなければならないことと,使えるリソースと,そして目の前の子どもたち,学校の様子などの中でのマネジメントの裁量の中での最適化の出し方かもしれない。 -「教務主任」など,グループを統括できる立場や,学校の管理職にとってのそれは,また少し違う意味を持っている。 -学習指導要領等を「設計・提案」できる立場にある人にとってのそれは,主として教科・科目あるいは,その内容の取捨選択ということかもしれない。 -教育学的な観点からみると,きっともっと広い立場でいろいろなことを構想できるのではないでしょうか。 -「動的幾何ソフトがもたらすインパクトは何か」みたいなことを考えるのは,広い意味ではカリキュラム研究ともいえるかもしれません。 -少なくとも開発する側は,「指導法だけを変えよう」なんて思っていないし,まして,デジタル教科書のための下請けのお仕事なんて思っているはずはない。