*0.はじめに **0.1 今日から参加される方へ -前回の授業は,アーカイブしています。 **0.2 この授業の「教科書」のこと - 生協に発注しましたが,数が足りないかもしれません。 - それ以降の希望者は,研究室にて対応します。 *** 位置づけ - それを前提に解説することはしません。 - 授業では,できるだけ「ライブ感覚」でみなさんの体験や意見を反映しながら進めていきます。 - その中で語ろうとしていること,扱っている教材などを,より詳しく解説しているのが,「教科書」として理解してください。 - 特に「事例」に関しては,この授業の中で扱えるのは,ほんの一面にすぎないかもしれません。 **0.3 中高の「教科書」 - 特に義務教育の教科書は,「どこでも売っているわけではない」ことに注意してください。 - この授業でも,ある程度のところから,「教科書をみる」ことが各自の課題として必要になってくるはずです。 - 「最新のものである必要はありません」 - 特に高校の教科書に関しては,「みなさんが使ったものが残っている」なら,それを利用することをおすすめします。 **0.4 「ICT利用は,何も考えずに行うと,...」 -数学の授業で「ICTを数学について調べるための道具として使うときは,何も考えずに行うと,失敗する可能性がかなりある」と思ってください。 -教科書では,「紙と鉛筆」等を前提に,生徒の数学的活動を想定していることが多いのです。 -ICTを使うことで,「生徒の数学的活動そのものがどう変わるのか」を想定し,それに対応した授業設計をイメージすることが必要になってきます。 -逆の言い方をすれば,「動的な環境の中では,どういう活動が自然になるはずなのか」を検討することが不可欠と言ってもいいでしょう。 -紙と鉛筆の場合には「むずかしかったこと」が「可能になること」もあります。 -それらにきちんと焦点を当てることが,大切なのです。 *** 電卓はなぜ算数で普及しない? -九九の練習で,なぜ,電卓を使わないのでしょう。 -その方が簡単なのに。 -でも,それに関してはきっとみなさん,すぐにわかりますよね。 *** 「問題集の解答」を生徒に配布する高校と配布しない高校がある。 -なぜ,そういう違いがあるのでしょう。 -片方が間違っているというわけではありません。 -きっと,「いろいろなことを考えて,その方がこの学校の生徒たちには適切だ」と判断しているのです。 -同じような思考をすることが不可欠なのです。 **0.5「今まで通り,数学の授業で本格的にはICTは使わない」というままでいいのか? -逆説的な言い方をすれば,これがこの授業でのメッセージです。 -たしかに,「これまでと同じ大学入試」だけを考え,「そこで通用する学力」を目指すなら,ICTは使わないで問題を解決する力をつけることが適切でしょう。 -「そういう受験をする生徒」には,「なくても戦える力をつけること」も配慮しないといけません。 -でも,いろいろな意味で,「日本はガラパゴス化している」と言われるわけです。 -大学入試を経て,大学での学びあるいは社会の中での仕事において,すべて手計算でやるようなことはありません。 -きまりきっている問題のための解き方だけを一生懸命覚えていても,それはAIの方がさっさと解決してしまいます。 -AIに任せればいいやと学びを放棄するのではなく,「違った価値をそこに見いだしていく」ことが大切なのです。 **0.6 「君はなにを学んだ?」 -きっと,このフレーズを何度もみなさんに投げかけると思います。 -「前の授業のこと,ちゃんと覚えているか?」という意味も,ないわけではありません。 -でも,それって,「教えたことはきちんと覚えろ」に近いですよね。 -そうではないのです。(それもないわけではないけど) -「この事例を通して,君はなにを実感し,そして自分の中で理解したのか」 **0.7 メーリングリストのこと -Google Groupsで作ろうと思ったら,いろいろな支障があるので,やめました。 -少なくとも暫定的には,まなびネットからの配信を使ってみますが,「送信できたかどうかがわからない」という欠点を実感しています。 -「もっといい方法」があったら,教えてください。 **0.8 授業ビデオのアーカイブ等のことは,上記の「配信」で。 - 前回と今回の授業のアーカイブ - 「課題」としてのビデオ試聴(今回は,鈴木実践) *1.「前回の基本的な事例」としての「4角中点」の問題(復習もかねて) #00001-test **「教科書の流れ」でいけば - 教科書では,「教室の全員に紙の上でスケッチをし,『どうなった?』」 - それぞれの目の前に,「特定の四角形があり,その結果がある」そして,「学級全体では,かなりバリエーションがある」 - 「すべてに共通することとしての,『EFGHは平行四辺形』」 - それを証明しよう,という流れ。 ** GCで表示すると,「動かすことで,いろいろな場合を調べることができる」 - それはどんな意味があるのだろう。 - 「紙では,かなり少ない事例を,低い精度の図で調べることになるけれども,GCなら精確な図を豊富に観察できる」 - たとえば,次の命題が「ほぼ正しい」ことを実感できる。 |どんな四角形ABCDでも,PQRSは平行四辺形になる| すると *** 「わからせる授業」の方法としては - 「いいか,ほら。どんな場合も成り立つんだ」 - じゃ,証明いくぞ。 -- これも,「悪くはないでしょう」あるいは,「そういう使い方をする方は少なくないでしょう」そして,その意図もよくわかります。 -- でもね。少し距離を置いて,冷静にいろいろなことを考えてほしいのです。 -- そういう行為って,なにを意味するのか。 *** 「気づく」ところは,生徒に任せたらいいんじゃないか? - 「気づくはず」のことなら,先生が「いう」のではなく,生徒にいわせたらいいですよね。 - そもそも,「見ていても見えていない(理解できていない)」ことって,多いのです。 - 先生がいなくても,「気づける」生徒になってほしいのです。 *** なんで証明が必要なんだ? - 見てわかるだろということを,なんで証明する必要あるんでしょう。 - 「先生が求める」からですか? - 「教科書に問いとして書いてあるから」ですか? - それ(証明)をする御利益って,なにでしょう。 ** 「この問題」は,実に奥が深い - 「探究」という目でみたとき,この問題は,とても奥深い,いい素材です。 - みなさん「自身」がまず,それを体験すべきです。 - どういう点で,「おもしろい」と感じることができるのか。どういうことで,「夢中になる」ことができるのか。 - いや,なにも感じないなら,「味気ないけど,教科書にある問題だから,ササッと扱ってしまう」のも一つのスタンスです。 - でも,「いいもの」と「つまらないもの」は見極めることができるくらいの先生でありたいですよね。 - この授業では,「そういうことをできるようになる」ことをめざしていますし,そのための道具として,「TCTの代表としてGCを使う」のです。 *2.「いろいろな場合を調べる」ことで,なにができる?(復習もかねて) -ICTはいろいろなことを可能にしてくれます。その目的は多様なので,一言で語るのは適切ではありません。 -今回のGCのような道具は,ある意味で,「観察」を強化してくれます。 -それって,どういう利点があるのでしょう。 -候補としては,次のようなことがあるでしょう。 -- 「いろいろな場合に,『成り立つ』ことを観察することができ,一般性を実感することができる。 -- 「いろいろな特殊な場合」に成り立つことを観察し,発見することができる。(特殊化) - この問題に関しては,そんなの別に難しくないことのような気がしませんか? ** 教科書では,次のような感じのことが書かれています。 |ABCD|PQRS| |正方形|正方形| |長方形|ひし形| |ひし形|長方形| |四角形|平行四辺形| - わざわざ,こんなことを発見するために,それなりの時間を使うなんて,なんか時間の浪費の感じがしますね。 - 数多く練習問題を解かせた方がマシかもしれない。 - どうなんでしょ。 ** GCを使う上で大切なこととして - (ICT全般でもあるけど) - 「そこでのやり方」を踏まえると,関連するかなりの数の問題について,「同じような探究」が可能なのです。 -- もっとも,「数学」って,そういうことに注目して一般性や普遍性を定理にしていく学問だけどね。 **「いろいろな場合」について暫定的に調べてみることから初めてみよう。 |ABCD|EFGH|スケッチ| |正方形||| |長方形||| |ひし形||| |平行四辺形||| |台形||| |四角形||| - ワークシートを配布するので,それを使って観察し,記録してみよう。 - 「一通り埋めることがねらい」ではなく,「それを眺めて,どんなことに気づくか」を発表することがねらい。 **「前回」どんなことをまず,かきこんだでしょう。 - **「それからなにが問題になった」でしょう。 - **「で,どうなりましたか?」 **他にも,広げていく可能性はあるのかな。 - - - **「みなさんにとって」この問題の魅力はどういうところに感じましたか? - - - ** このワークシートに記録するって,結構「いい加減」でしょ。 - つまり,「いろいろ調べる」上で「基本的なワークシート」だけど,実は突っ込み所がいっぱいある。 - それを埋めれば完成なんてものじゃない。 - それを深めていくもの,広げていくものはなにでしょう。 - それは,「ことば」であり,「好奇心」であり,「書き込み」であり,...... - そういうところに,「主体的・対話的で深い学び」の可能性を感じませんか? - そういうことを,他の事例でもできるようにしたい,と思うわけです。 *2.「関連する別の事例」に **「関連する問題」って,どうやってつくる? -what if not なんていうのもありましたよね。 -- きっと他の授業で扱っていそう。 ** まず, 「いろいろな場合」について調べてみると, どうなる? |ABCD|EFGH|スケッチ| |正方形||| |長方形||| |ひし形||| |平行四辺形||| |台形||| |四角形||| **ここから「どんな問題」を見つけますか? - 注目したい事実 - つくった「問い」 - その他 * 3.課題(まなびネット) -- 授業の進み具合で変えるかもしれません。 - 今日の課題に関連して - 授業ビデオを試聴して感想をまとめる -- 「鈴木実践」 --- (1) 課題の工夫点 --- (2) 先生の行動や発言について --- (3) 生徒の活動や発言について --- (4) その他