*0. はじめに **いろいろな「指導案」 - みなさんの中からも,「指導案って,どうやってかくのですか?」という質問も聞きます。 - 実習先の先生から,「指導案の書き方くらい大学で教えないのですか?」と言われることは,かなり前からよくありました。 - ある教科の先生で,「指導案なんて,コピペすればいいんだ」というおっしゃる方もいるとのことを耳にしました。 - ある意味では,「どれも正しい」ように思います。 - 愛知県内での算数・数学の授業の指導案のフォーマットでさえ,7通りとか耳にしたこともありますが,教育実習を想定した場合でも,「公立学校で,教科書に基づいた授業」をする場合と,附属名古屋中学校での実習をする場合と,附属岡崎中学校での実習をする場合では違いがあります。 - それは,「実習」でどういうことに取り組ませたいかが異なるので,当然のことでもあります。 - 今後,いくつかの典型的な事例は配布できるようにしたいと思いますが,どの指導案も,「目的」があり,「読み手」がいます。 - 今回の指導案作成は,「それなりのオリジナリティのある授業,ICTとしてのGCを使い,図形を動かして調べるという活動を組み込むような授業」をする上で,配慮しなければならないことを明確にしていくことがねらいです。 ** 「授業をつくる」ためのプロセス - 授業をつくる上でのプロセスを知りたいという声もありました。 - 「教科書」ではそれを解説しているつもりなんですけどね。 - 一方,その経過等をそれぞれの実践に合わせてまとめた事例もいくつかあるので,それを紹介してみたいと思います。 ** 「個人的な事情」への配慮 -今回も,きっと4年生のみなさんは,「採用試験前だからそれどころじゃない」だったと思います。 -あるいは個人的な事情があって,...という方もいるでしょう。 -「なんでもいい」というわけではないですが,この授業でみなさんに求めているのは,段階を経ながら理解やスキルを高め,最終的には「一つの授業をつくる」ところまでいきたいということ。 - そのための,それぞれのステップとしての課題であるということ。 - また,授業のとき,みなさんの課題を素材にしながら,進められるといいよねということ。 - 課題が授業に対して「貢献」することも,評価の対象ではあること。 - そういうことを勘案しながら,「個人的な事情がある場合には,それなりに配慮しながら」対応していますし,今後も同様です。 ** 「困り具合」は,人によって,今後異なっていく。 -簡単な素材だったら,「ま,独力でがんばれ」でしょうけど,扱いが難しいものや,作図に工夫が必要なもの,アイデアが必要なもの,「やめておく方がいい」ものなど,多様です。 -困っていたら,「相談」してください。 *1.模擬授業を通して **1.0 論文のリスト -@https://www.yiijima-gc.org/article/index.htm,https://www.yiijima-gc.org/article/index.htm -上記に,イプシロンなどに掲載した論文のリストがあり,そこからリポジトリへのリンク等が張ってあります。 **1.1 伊藤実践(前回の「共同井戸を掘るべき場所」) -@https://aue.repo.nii.ac.jp/records/2819, https://aue.repo.nii.ac.jp/records/2819 **1.2 飯島実践(前回の,「二つの角の関係」) -@https://aue.repo.nii.ac.jp/records/2707, https://aue.repo.nii.ac.jp/records/2707 **1.3 山中実践(四平方の定理) -@https://aue.repo.nii.ac.jp/records/6525, https://aue.repo.nii.ac.jp/records/6525 - やってみようか。 **1.4 岩田実践 -@https://aue.repo.nii.ac.jp/records/2833,https://aue.repo.nii.ac.jp/records/2833 -以前のGC/Winで実装していた「イベント機能」の開発を行いながら授業をつくった事例です。 -今のGC/html5では,そのまま実現することはできないけど,「授業の流れや雰囲気」は楽しめるので,「それなりにやってみる」こともアリだし,授業のビデオをみて楽しむのもアリだと思います。 **1.5 松元実践 -@https://aue.repo.nii.ac.jp/records/7417,https://aue.repo.nii.ac.jp/records/7417 -やってみようか。 **1.6 複素数の演算や写像としての関わりについて -@https://www.yiijima-gc.org/inquiry/topic_complex_mapping.htm,https://www.yiijima-gc.org/inquiry/topic_complex_mapping.htm *2.試作した動画の例 - 5分では難しいのかな? - ためしに,九点円についてつくったら10分かかった。 -- もっとも,この事例は,解説しないといけないポイントが多い例ではあるけれど。 **2.1 九点円 |$BYottv62-gk| --10分 --約30MB ** zoomの扱い方について -@/teacher/iijima/zoom/, こちら *3.みなさんの「授業の概要」を拝見して **3.0 共通して「次に必要なこと」 - 使う図と「発問」の明確化 - 「問題の必然性」 - 「複数の図を考えて比較する」 - 対話 -- 先生と生徒の対話 -- 生徒同士の対話 -- 生徒とGCとの対話 -- 数学の問題あるいは現象との対話 **3.1 小澤くん -授業の概要を考える上で,「図がない」のは,「畳みの上で泳ぐ練習をする」様なものでしょう。 -どういう図でどういう活動をするのかがわからない。 -「実際に計算で求めて放物線の式の形になることを確認する」とあるけど,....やっぱり,具体的なことがわからない。 - 「撮影してみる」段階で,「まだきまっていないいろいろなことが多い」のを実感するんじゃないかな。 **3.2 田中さん - 共同井戸の問題の素材を使いつつ,部分的に変えた実践にすることは「いい」と思います。 - 「どんな関係のある4つの場所」という言葉は,変かも。 - この設定にするなら,「共同井戸ではない方がいいのかも」 - 「ビーチフラッグ」の変形編のような - 「共同井戸」の場合,家が移動したり,井戸を堀りなおすのは現実的でない。 **3.3 寺本さん - 証明をフォローするところまではきっと自然に流れますよね。 - 何をヤマ場として設定していくのでしょう。 - 「図がおかしいことがばれました」というだけでは,あまり教育的ではないから。 **3.4 西村さん - どんな図を使う? - 生徒の活動の様子は? - 先生の側でほぼ確実に行いたい「問い」は? - 証明はどのあたりで登場? **3.5 市川くん - 最初から垂直二等分線をひくのかな。 - 和が最短の場所を「探す」活動と,「証明する」活動との関わり - 証明をすんなり行えるようにするための「問いの工夫」 - 「発問」は,動画作成でも,指導案でも,「明確にきめておく」ことは必要。 **3.6 大原くん - ワークシートのような感じで,授業の流れはわかるけど,「先生が生徒にどう語るのか」「生徒はどう関わるのか」 - つまり,「プリント配布して,順番に上からそれぞれが取り組め」とするのかな。 - 「誤った図」というのを,ここではどう位置づけていくのだろう。 - 実は初等幾何の中では,「ちょっと違った図で考える」方が適切なこともある。 **3.7 河崎さん - 「問い」が現実的でない。 -- マラソンコースとして,何を比較するの? -- それ,マラソンコースとして,適切なのかな。 -- マラソンコースにこだわりたいなら,違う図を使うのも一つの手 - この図の中の「どこ」を「どう動かす」? -- そのときに,「変わらないもの」と「変わらないこと」はなに? - (2)はかなりオープンにしているけど,....大丈夫? **3.8 高瀬さん -一次関数の話題としてまとめるなら,すっきりいくと思う。 -証明の話題をいれるかいれないか。 **3.9服部くん - 「反例」という言葉に注目するのは,とてもいいと思います。 -- この事例においては,「どういう意味での反例」なのでしょう。 - 見方を変えると,「背理法」で扱える素材ともいえます。 -- どういう意味で「背理法の利用」になるのでしょう。 - 説明中に見破る生徒,いるのかな。 -- 多少の誤差は,「フリーハンドだから,ちょっと誤差あるよね」で納得するのが普通だった。 **3.10 馬上くん - 何は正しくて,何が違っていると認識すべきなのだろう。 **3.11 安達くん -この指導案でいくなら,「証明」がかかれていないとまずい。 -「作図チャート」ってなに? - 直角になっているから証明として楽になることが仕組まれているのだろうか。 - 「直角でなくても」というときの証明はどうやってするのだろうか。 - あるいは,「やらない」のだろうか。 **3.12 犬飼くん - 出発点としての問題文は -- どこに井戸を掘ろうか。 --- これだけでは漠然としすぎているから,どういう条件を満たす場所を考えようか。 --- (1) 平等 → .... --- (1') 条件を満たす場所はない。ところで,水道だからある意味,どこでも平等 --- (2) もっとも安価に → ... -- という流れは,「何を学んでいるのだろうか」 --円周角? **3.13 大川くん -- 「この問題そのものにはおもしろさはあります」けど - 率直にいって,この問題は,あまりおすすめしません。 - というのは,「動的に考える」必要性があまりないからです。 - 等積変形は未習だとしても,「底辺が共通で,高さが同じ」という発想で,いけます。 - 測定をしないといけないわけではありません。 -- あるいは,どうしても,この問題でいくなら,生徒が使う図を工夫することをおすすめします。 **3.14 黒田さん - 問いは「点Pが∠APB=60°を満たしながら動く」 -- Pを動かして記録ボタンを押して....という活動とはちょっと違うような気がする - プロットしたとき,上と下にできることを,「どう扱う」「どういかす」 -30°? それとも120°? それとも... **3.15 小島くん -何がしたいの? -定義だけなら,「ボードに静止画をはる」だけでもいける。 -単位円なら,「動かす」こともできるけど。 -公式等を使って「何を問題にしたいのか」が焦点化されていない **3.16 鈴木さん - 鈴木さんが指摘するように,「反例をみつける」活動を生徒主体にしたいと思っているわけで,教科書等の記述ではそれが抽象的であったりする感じで,「それをうまくできるようにするために,GCを使えないか」というのが,全体の私の提案。 - 授業の中で使った図は,みなさんにとっては,ちょっと使いにくかったように思います。 - いい工夫はできませんか? - それと,「反例はどんなときにできるのだろう」という問いから,......という発見にもつながるはずだよね。 **3.17 藤井さん - 実際に5心の軌跡を描画してみるとどうなるだろう。 - Aはどういう動きを想定しているのだろう。 - どういう図を使うことを想定しているのだろう。 - 軌跡がどうなるかを求めるだけなら難しさは一緒。なぜかを考えるのはそれぞれ違う。 - どこを「主たるターゲット」にしたいのか。それによって使う数学も変わる。 **3.18 滝川くん - 図がないから,流れがわかりにくい。 - どこでどういうことに気づき,何を学んだことにするのか。 - 「ネットにあるグラフのこと」なども話題にする? - 発見学習といっても,この手の発見は,「誰かが気づくと,まわりに伝播する」あるいは「みんなで共有できる」発見。 - だから,グループや学級全体の学びとして進めれば問題ないはず。 **3.19 堀田くん - 重心に関する証明はいろいろありうる。 - 平行四辺形は中2だけど,中点連結定理は,少なくとも今は中3。 - ここでは,「まず,証明に値することの発見」をどうしかけていくの? - 次に,「それを証明するための論理枠組み」はどうやってつくっていくの? -- 前者だけだと,「どう証明していいかわからない」し,後者だけだと,「何のための証明をしているのかがわからない」 - 中学生だと,「コマ」なんかとの連動も悪くはないけどね。 **3.20 松下さん - 等距離が「便利なとこ」かな? - 「円を使って探す」ために適切な「円の図」って,どんな感じだろう。 - 和が最小の場所を探すのはきっとできるけど,証明はサポートしないといけない。 - 末尾の「せっかくならこの井戸を考えるという流れを大切にしたい」というところが,ちょっとわからない **3.21 藪木さん -この問題の「おもしろさ」をどう感じる? -たとえば,「三角形の内部に点をとり,それぞれの頂点と線分で結び,それを直径とする円をかく」というような素材は? **3.22 山田くん -やみくもに探しても見つからない →「工夫して探そうとする」というところは,うまくいかしたいよね。 -気づかないのかな。 -- 一人で無理なら,グループで,グループで無理なら,学級全体で....というのも一つの手 **3.23 芳村くん - 最後のコメントにもあるように,「こういう状況が必然的と感じるような問題状況の設定」は必要。 - 三角形や四角形に内接するルートというようなのもある。 - どうして「平行」 **3.24 渡邉くん -図がないね。 -図を描いてみて「異変」を感じるって,..... -ICTを使うのって,この問題の場合に,「スピード」の問題なのだろうか。 ----- **3.A 「すべての三角形は」に関連して - 「なんだ。図が正しくないんじゃないか。」で終わりそうで,不満を感じるとしたら。 -- 「正しくない図でないと証明は進まない」例だったら「教育的」と感じるかも。 -- 「教科書」にも一つ例があります。 -- 他にも,「正しくないとすると矛盾が発生する」形の証明方法を使っている問題例を探すといいでしょう。 *4. 課題 (まなびネット) ** zoomの扱い方について -@/teacher/iijima/zoom/, こちら ** 「授業の流れを解説する動画」 - 今回の話題をふまえることが基本だけれども,もちろん流れを「修正」することは歓迎だし,もし「素材を変えたい」場合も,okです。 ** 「共有」の度合いについて - 今のところ,「みなさんだけで共有できる」ようなスタンスを考えています。 - でも,「まだ不完全なので」など,ちょっと躊躇する場合や,「そういう方針はいかがなものか」と思われる場合は,メール等でご連絡ください。 -- 配慮して対応したいと思います。 ** 今後の主役は,「みなさんの素材」 - 今日のように議論しながら,みなさんの素材に関する「授業のイメージ」を固めていき,動画作成や指導案作成につなげていきたいと思います。