*0. はじめに **0.1 今後の流れ - 指導案提出(1)/今日 -- (きっとほとんどの場合)修正点の指摘 - 指導案提出(2) --(よほど問題点があれば)修正点の指摘と再提出 - **0.2 日程 - 7/19 指導案提出(2) - 7/26 予備(教育実習関係のことを扱ってもいい) *1.指導案に関する一般論 **「指導案くらい書けるように大学で指導してほしい」という声は多いが。 -「書き方」だけが問題ではない。 -「書き方」も地域等によって,何通りもある。 -この授業は,ある意味で,上記に答えるための試みでもある。 -そもそも論でいえば,「本来の意味での指導案の書き方も含めた実習的な指導は,10人以下でないと無理」 -この授業(27名くらい)や,後期のCII(40名以上)では,普通は無理。 ***余談 -現場の先生方が実際に指導案を書くことは,「マレ」なのも事実。 --「教科書の〇ページね」「ここがポイントになるなと印をつけたり,書き込みをしたりする」人もいる。 -「それではまずいのか?」 -- いや,「授業のための準備」とくに「生徒の様子の把握」と「次にどう進めるか」は,念頭でかなりのことを行っている。 --それらも含めてきちんと文章化することは,とても意味があるが,「その時間と労力を反映できる目的」の存在が不可欠。 **指導案の役割 ** 指導案には「ねらい」があり,それに応じて求められることが違う。 ***a. 教育実習(A) - 基本的に,教科書に準拠した授業を行う。 - 多くの公立学校や,附属高校での実習が該当する。 - 教科書の意図を読み取り,生徒たちの状況を予測し,配慮すべきことを意識化し,授業の概要を記述できるようにする。 - 「それに沿って行う授業」としての適切性を,指導教員に観察し,達成できていることや今後に向けての課題などを共有する。 - たとえば,附属高校であれば附属高校の生徒たちにとってどのあたりに「むずかしさ」がありそうかを予測する。 - 実際の授業で,生徒の様子を観察しながら,それに対して適切な行動が取れるかどうかが重要。 - 逆にいえば,「生徒を意識しないまま,一人で教科書を解説するだけの授業」だとすると,「本人はちゃんとやっているつもりでも,端から見ると,問題点の多い授業」ということになる。 ***b. 教育実習(B) - 名古屋中学校では,独自のカリキュラムがあり,実習生が扱う問題はきまっている。 - その問題は,教科書に掲載されているものとは異なることが多く,「附属の生徒にとって,この問題を通してどういう活動をし,なにを学ぶことを想定しているか」を理解し,それを指導案のかたちで表現し,そして,実際の授業でうまく指導できるかどうかにチャレンジする教育実習。 - なお,今回はいないけれども,岡崎中学校の場合,少なくとも過去においては,教材の選択も含めて,実習生にゆだね,かなり自由度の高い中で教材研究と授業研究を行うスタイル。 - ただ,授業の仕方に関しては,岡崎中学校のやり方に準じて行うので,「かなり生徒主導で進めていくスタイルの授業」になる。 - この指導案の場合には,教材研究を深く行うことが大切で,CIIの授業での指導案作成は,この,岡崎中のケースにかなり近いといえる。 ***c. 学校訪問・校内研修等での指導案 - 「普段の授業実践として,きちんと行うべきことが行われているか」を,指導主事や,管理職などがみるための授業。 - 多くの場合,A4一枚程度にまとめることが多い。 ***d. 提案型の研究授業 - 何らかの課題意識があって,これまでの実践とは「少し違う」ことに挑戦する授業 - 本来は,標準的なことはほぼクリアできている人が取り組むけれども,今回もこのスタンスに近い形で取り組んでいる。 - 新しいものに挑戦するときは,既存のやり方とは変わってくることが多いので,可能性やリスクなどをきちんと勘案して設計することが求められる。 - もちろん,「既存のやり方の方がまし」と感じられるなら,「既存のやり方でやる」という選択肢の方が正しいことになる。 - 附属学校などでつくる場合には,指導案は,それなりに「長い」ものが多い。 -本時の流れだけでなく,「その背景」や「単元構成」等も必要になることも多い。 **「授業のための準備」としての指導案作成というお仕事 - 「かく」ことで,意識化する。 - とくに,「発問」など,一つの言葉が変わることで授業の流れが変わってしまうようなものは,明確に決めておかなければいけない。 - 生徒の反応などによって,臨機応変に変えなければいけないものもある。 - 「生徒の反応に合わせる」みたいないいかげんな準備では,「どうにもならない」 - いくつかの想定される反応や流れを考え,「選択する」ことを基本にしておかないといけないし,「その候補が明確になっているかどうかが,指導案に反映されていないとたぶん,できない」 -もちろん,現実の授業では,それでも想定外のことがあるのが普通。 -だから,実際の授業では,「書いた指導案はいったん忘れ,その場の流れに応じて観察・情報収集し,適切な方法を考えたり,生徒に時間を与えつつ自分でもその場で考えたりして,臨機応変に対応していくことがライブ感がある授業には不可欠」 -- でも,準備が必要。 -- これまで「発表」では,ちょっと質問してみて,「うまく反応できない」= 「そういうことへの準備が足りない」と認識して,指導案に反映してきた。 -- 多くの場合,指導案はかなり長くなったけれども,それは,「教育実習等の指導案も,そういう形式にすべきということではない」 *2.今回,指導案を見直すおもな観点 **2.0.どんな授業でも,次は不可欠 - 「発問」 - 学年・単元等 - なにが既習で,なにが未習なのか - ねらい - 数学的に間違っていないか - 想定している「正解」 -- 「正解」が意味があるというのではなく,たとえば,証明を板書するなら,その場のアドリブでかくはずはなく,指導案には明記しておくべき。 - 想定している「別解」や,ある活動で想定される生徒の「いろいろな活動」 - ストーリーの自然な流れ・ - 必然性 **2.1. ICT(主としてGC)を「使う意味がある」ように設計しているのか? - 多くの場合,「証明問題」を提示するなら,「いろいろな場合を調べる」ことはいりません。もちろん,元の命題を「一般化する」なら,それは別ですが。 - 「解説のためだけにICTを使う」事例は,いろいろなところにあるし,それをすべて否定するわけではないけど,「生徒の活動」を仕掛けていくための道具としてICTを位置づけたいというのは,このCIIという授業の基本。 - 標準的にしようするソフトとして,GCを想定しているけれども,そこは「このソフトでこういう活動を実現したい」ということが明確なら,他のソフトでもいい。 **2.2.「証明」など,数学的活動がきちんと機能しているのか。 - 「ただ観察しておしまい」では数学にならない。 -図形の場合には「証明」あるいはそれに該当するものが柱になることが多い。 -一次関数のような単元の場合には,「関数関係を調べていくためのプロセス」等を意識化しながら,「表・式・グラフ」等を位置づけて使っていくことも重要。 **2.3.どういう部分を生徒にゆだねようとしているのか それによって,生徒は「達成感」や「貢献感」を持てそうか。 -だれがやっても同じになるような機械的なことを指示しているとしたら,それは数学の授業として,「やり方指導」的な授業 -「習得中心の授業」も,数学の中で必要な場面はある。しかし,できたら,ここでは活用や探究に焦点を当てたい。 -「自分たちで解決した」感を持ちたい。 *3.各論 - 先日の10:30までに提出していたのが,11名 -- 一応コメントは書いているが,それを見るだけでわかるかどうかは別問題。 -- 本当は,「少し話をして,コメントして,」というのが適切なのだが -- それをこの時間で全員にすることは実質的に無理。 -「今日の1限をどういう方法で対応するか」をちょっと相談。 **3.1 「今日の4限」だったら対応できる人はいますか? - *付記/みなさん向けの話題(前回の) -「実数はある」けど,「虚数」って,「うその数」であって,「ない」と感じる高校生は少なくないと思いますが,みなさんにとって,「複素数ってある」のでしょうか。 -「代数学の基本定理」って,どう理解していますか? *4. 課題 ** 指導案作成(2) - 来週木曜日正午までが望ましい ** 今日の授業の感想と,今後への期待 -まなびネットへ