作図の手引き(Geometric Constructorマニュアル Vol.2):飯島康之
[「作図の手引き」目次]

4.基本的な編集機能


 4.1 色の設定

 色の設定を行う動機は二つある。一つは「目立つ」ようにしたいという場合であり,一 つは,「隠したい」という場合である。

(1) 目立たせたい

 例えば,次図を考えてみよう。「四角形ABCD」と「四角形EFGH」というように,言葉で 言っても分かりにくい場合が少なくない。実際,画面を観察し,「文字を読め」というの は, 酷なことも多いからである。
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
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+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+

 図−4.1
そういうときには,「外の四角形」と「中の四角形」という言葉で言うこともできるが ,もう一つの手としては,「白い四角形と赤い四角形」という表現であろう。
このように,注目したいものを観察しやすくするためには,色を変えるというのは,有 力な方法である。

 (2) 隠したい

特に,点の動きを制限するために,何らかの直線や円を作図してあった場合を考えてみ よう。このときの直線や円は,いわば「舞台裏」である。あるいは,「足場」である。こ れがあると目障りだ。しかし,これなしには,図そのものができない。何とか,「隠すこ とはできないだろうか」と思うことが少なくない。そういうときに,「描かない」という 選択肢を選択しよう。

(3) 基本的な手続き

手続きは難しくない。
  ・編集メニューを選択
  ・「色」を選択
  ・「種類」を選択
  ・「対象を選択」
  ・「色」を選択
  ・次へ (あるいは,終了ならば,Esc)
という流れを踏襲すればいい。 (図は省略しよう。)

4.2 名前の設定

 点の動きを制限した場合などにやはり気になるのが「名前」である。たとえば,「X」 などという名前を付けたい場合がある。これも,上記とほぼ同様にできる。つまり,
  ・編集メニューを選択
  ・「名前」を選択
  ・「種類」を選択
  ・「対象を選択」
  ・名前を修正
  ・次へ (あるいは,終了ならば,Esc)

4.3 点の属性の設定

 やはり同様に,目立たせたい/区別したいというようなときに,点に関しては,その表 示の仕方を変えることができる。
 編集メニューの「点の表示」を選択し,実際に点を選択すると,何種類かの表示方法 ( 属性) がメニューで表示される。
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
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+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+

 図−4.2 「点の表示」         図−4.3 「属性」に関するメニュー
◎は「変形時に動かしている点」を表示するためのものなので,あまり使わない方がい いが,その他に,いくつかのものがあるので,実際に見てほしい。
 なお,その中に,「塗る」という機能がある。これは,その点が入っている領域をPAIN T 命令で文字通り「塗る」という機能である。
例えば,三角形ABC の内部を塗りたいというような場合には,
  ・ΔABC の重心 (必ず内部にある点の候補として) を取る
  ・重心の属性を「塗る」に変える
という手続きを取ると,次図のようになる。
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
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+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+

 図−4.4                図−4.5
しかし,この機能には,それほど期待してはいけない。というのも,線分で囲まれてい る領域を塗るのであって,三角形というものを認識しているわけではないからだ。たとえ ば,次図のような場合,左図のような配置ならば,目的通りになるが,右図のようになる と,目的とは違う塗りかたとなってしまう。
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
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+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+

 図−4.6                図−4.7

4.4 直線系の属性の設定

 Geometric Constructor 内部では,線分・直線・反直線というのは同一のデータ構造を 持っていて,その属性のみを変化させている。そのため,作図した後で変更することが可 能である。
たとえば,「4角角2分」の図を変形させ,右図のようになった場合,Geometric Cons tructor での角の2等分線は劣角の方の2等分線を引くので,引きたい方でない側に反転 してしまう。このとき,改めて「直線」を追加するなどの手を講じるのは面倒だったりす る。こういうときは,直線の属性を「反対側の半直線」に変えたり,あるいは「直線」に 変えたりする方がやりやすいことがある。そういうときのために使うと便利な機能である 。
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
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+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+

  図−4.8 元の図            図−4.9 変形した様子

+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
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+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+

  図−4.10「反対側の半直線」へ     図−4.11「直線」へ

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