作図の手引き(Geometric Constructorマニュアル Vol.2):飯島康之
[「作図の手引き」目次]
9.変換を調べるための作図
9.1 変換を調べる手段としてのGeometric Constructor
(1) 次の問題は本質的には「変換」の問題
問題 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
点Pを半直線OXについて線対称移動し| |
た点をQP,Qを半直線OYについて線対| |
称移動した点をRとします。∠XOYが40| |
°のとき,∠PORは何度でしょう。 | |
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+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
つまり,この問題では,線対称移動を2回合成すると,何変換になるでしょうというの
が,より本質的な問題である。
ちなみに,Pを動かしてみよう。QやRの軌跡はどうなるだろう。
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
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+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
観察結果
このように,現行の教科書の問題の中にも,「変換」として意識する方が妥当な問題も
ないわけではない。
9.2 別の例
問題 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
定点Aと直線lがあり,l上に点Bがあ| |
る。ABを一辺とする正三角形ABCを作| |
り,点Bを直線上を移動するとき,Cの軌| |
跡を求めよ。 | |
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+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
これも,「正三角形」ということにとらわれていると予想ができないが,「60°回転
」ということが分かれば,なんということもない問題となる。
「直線」という条件を変えるとどうなるだろう。また,「正三角形」という条件をどの
ように変えると,どのような結果が生まれるだろう。
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
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+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
観察結果
9.3 「点と点の対応」はすべて「変換」
その他にも,様々な「点と点の対応」として作図することによって,変換を実現するこ
とができる。また逆に,「点と点の対応」をつけるような作図であれば,実質的に,それ
は何らかの変換となる。また,変換そのものとして意識しなくても,それが関与するよう
な,新しい問題を見つけることも時には可能である。
具体的に記述すると,かなり長くなってしまうので,ここでは,いくつかの例を次の練
習問題として載せるにとどめておこう。
9.4 練習問題
(1) 平行な2直線がある。線対称移動を2回繰り返すとどうなるか。
(2) 四角形と1点Pがある。四角形の4点に対して,Pを点対称移動すると,どんな四角
形ができるか。
(3) 四角形と1点Pがある。四角形の4辺に対して,Pを線対称移動すると,どんな四角
形ができるか。
(4) 四角形と1点Pがある。PをAについて点対称移動した点をP1,P1をBについて
...としてできたP4はPと一致することがあるか。あるとすれば,元の四角形あるい
はPについて,どういう条件が必要か。
(5) (4) を三角形について考察してみよう。
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