1.コンテンツ - はじめに
1.1 教科書関連のコンテンツ開発は,さまざまな制約の中で行っている。
- QRコンテンツは,「教科書のQR」から,すぐにいけるところにあり,教科書の意図を想定しながら,「迷うことなく使えるようにつくる」ことが基本です。
- それは,「ICTなら当たり前」と思われるかもしれませんが,簡単ではありません。
1.2 これまでの「暗黙の前提」の中で使うとき,さまざまな制約が生まれる
- 教科書等では,「過去の文化遺産の継続」という側面はかなり強いです。
- 作図をする道具は定規・コンパスが基本であったり,扱う問題は「既存の道具で取り組める範囲」にとどまっているなど,「暗黙の前提」が実はかなりあります。
- しかも,「既存の道具の特徴を生かしやすい形」にしているので,そこに新しい数学的探究の道具としてのICTを導入しても,木に竹を継いだようになったり,ボタンを押したら答えが簡単に提示されるだけで,「ずるい方法」にしかならない懸念が生まれるなど,その使い方には注意しなければならないことが多いです。
1.3 教師用デジタル教科書などは「指導資料」で意図を説明できる
- 教師用デジタル教科書などは,「指導資料」など,先生方向けの資料を通して「使い方」を提供できるので,「工夫した授業をしたい先生向け」に開発・提供することができます。
- でも,「教科書の構成や記述」をふまえた上での「標準」を提供するので,さまざまなバリエーションを提供することはできません。
- 先生方が「もう少し工夫したい」「自分の授業向けにカスタマイズしたい」「動的という特徴をもっと生かすにはどんなことができるか」と思ったとき,ヒントになるようなものを,ここで提供したいと思います。
1.4「新しい数学的探究や授業の可能性」は「ある」
- 動的幾何ソフトが登場した1990年代以降の数学教育研究や実践が示しているのは,「新しい数学的探究や授業の可能性はある」ということです。
- 伝統的な図形指導の中に,どうそれを取り込み,再構成し,次世代の数学教育のあり方を考えていくのか。
- そのためのヒントになりそうなものを,「コンテンツ」という形で,例示してみたいと思います。
2. 突破口
- 代表的な例が,国立教育政策研究所による「全国学力・学習状況調査」に掲載されている問題です。
- 既存の紙の教科書等では扱えなかった「発問」とそこで使うコンテンツです。