*0.はじめに **0.1 提出された「zoomでの動画」について -ビデオを集録しているサーバに,みなさんからのzoomの動画を一通り保存します。 -学籍番号順にソートしたときに次の番号の動画に関して,コメントをかくことを課題としたいと思います -- 自分の番号の「次」「次+1」,..,「次+4」(もちろん,最後になったら最初に戻る) -- 観点 --- (1) 語っている内容について --- (2) 撮影の仕方や発音,表現,その他動画作成のたののノウハウについて --- (3) その他,気づいたこと,気になったことなど ***zoomでの映像の「きれいさ」について - たぶん,surfaceで取り組まれた方々の場合だと思うのですが,作成した「動画」でのスクリーンや人物の映像がブロックになっていたり,雑音的な感じで「きれいでない」と感じた方もいるかと思います。 - 明確な原因はわかっていませんが,次のことが想定されます。 -- メモリが8Gくらいだと,仕事の負荷が大きいので対応しきれていないかもしれない。(surfaceではメモリの増強はできない。) -- 扱う画素数が大きいと負担が大きいので,ブラウザの画面を少し小さくして対処すると,改善される可能性もあるかもしれない。 -- もともと,zoomでの映像の圧縮はとても大きいので,ある程度は仕方がないのかもしれない。 - 一般論として,「それなりのCPU, メモリ16Gくらいだとかなりきれいになることが多い」です。 -- もちろん,今回の課題作成に関しては,画質はあまり気にしないでください。 -- 就職後など,子ども向けの映像等を「つくる」場合には,考慮してください。 **0.A (印刷後の追加) *** 「想定されている模範解答をさがす」のではなく,「まず意図を理解」し,「その意図に則して,きちんと取り組め」 - 岡崎中学校での小笠原実践での中学生の様子は,いろいろなことを語ってくれます。 - 彼らの学びに対する「成熟さ」と比較すると,この教室にはかなり「未熟な方々」が多いです。 *** 小笠原先生は,「生徒を信頼し,かなりのことを任せ」ていますが,それを見習ったスタイルを心がけたいと思います。 - みなさんが主体的に活躍してくださいね。 *** 「動画作成」に関して,少しだけフォローしておこうか。 - 「円周角」には,さまざまな「こだわりの置き所」があります。 -- それを生徒に観察や気づき,そしてそこからの問題の発見とか推論とか....「対話的に広げていくストーリー」が語れるようになるといいと思います。 -- 「いまの自分でできること」「いまの自分ではできないこと」「何をしたら,ちょっと前進できそうか」などを「学んでください」 -- その学びのためには,「まず,つくってみる」ことは不可欠で,次は「比較すること」「くやしく思うこと」「うれしく思うこと」など,いろいろあるはずです。 - でも,動画は,実にさまざまなことを示してくれている。 - いろいろな意味で,「模範解答」を求めているのではないのです。 - 真摯に取り組むことと,それを「自分たちの学びとしていかすこと」 - 今日の模擬授業も,それを手がかりに,少し前進できるといいですね。 **0.2 「みなさんの書き込み」と前回の振り返り - みなさんの理解と,私のイメージで,次の点は少し違いがあるかもしれない。 *** 「問題」に関する理解 - 受験数学などに代表される「問題」は,ある意味で,「正解が確定」しています。 -- たとえば,答案に対しては,客観的な採点基準があり,「それに合わせて,適切なアウトプットを出すこと」が「解決」です。 -- それに準じて考えるなら,「どんな形か」といわれたとき,「×はつけにくい答え」が「四角形」だったり,「模範解答として想定される」のが「平行四辺形」と考えるのは,「妥当」といえるかもしれません。 - しかし,教育学や数学教育学,あるいはもっと広く人間学的に考えたとき,「問題」というのは,ちょっと違います。 -- Deweyなんかが表現したのは,「最初には,なにか困った状況」があり,「それを解決したい」という漠然とした思いから,問題の構成要素を探り,そして問題を定式化していくようなプロセスに注目しました。(この記述はかなりいいかげんなので,ちゃんと知りたい方は調べてください) --「Problematic Situation」に注目する方は,いろいろいます。数学教育学では,平林先生(山田先生などの先生方の「師匠」ともいえる方)もそうですし,応用関連での議論でもそうです。 --そういう昔の議論でなくても,中教審などの指摘でも,いろいろなキーワードで,問題解決にかかわることを述べていますが,そういうところで扱いたいと思っている「問題」は,受験数学的な意味での問題では「ない」だろうと思います。 - いろいろな意味で,「みなさんが取り組むに値すると思う『問題』とは,またそこで取り組む『解決』とは何なのだろうか」ということを再考していただくための素材を提供しているつもりです。 -- 肌感覚に合わないと思ったら,二つの立場の両方を考えてください。 -- 「高校までを適切にこなしてきた人間」として,これをどう感じるのか。 -- 「提案している人間」は,どういうことを意図して,提案しているのか。 -- 片方が正しいなんて思いません。価値観の違いは比較してみることで,いろいろなことがわかり,みなさんの「世界」が広がるはずです。 *** 授業も,問題解決も,「ライブ」 - 九点円の話題は,「模範解答がそれなりに想定できる」事例でした。そういう意味で,みなさんにとっては,そのプロセスは理解しやすいだろうと思いました。 - 前回の話題は,「あの図に関連する,数学的な結論も,その周辺で生まれる数学的現象も,また関連して生まれる数学的活動や推論なども,実に多様」です。 - たとえば,富士山にはさまざまな登攀ルートがあるのと同様に,いろいろな解決の可能性があります。 - 「いろいろなものがある」のを列挙することは不可能ではありませんが,かなりの量です。 - 「いろいろなものがある」ことを俯瞰的・客観的に知るよりも,「自分はここでこういうことを観察し,こういうことを考え,そしてこういうものを選択して,こういう数学的結論まで達した」同時に,「こういうことがまだ残っているという感じもある」というような,主観的・体験的な理解をすることもできるわけです。 - 「このメンバー,この時間,この制約の中では,こういう体験をした」ということとして,充実した「一つ」をしっかり体験することにこだわるのが,「問題解決としてのライブ」ではないでしょうか。 - 「こういう発問で,これくらい時間を確保し,生徒(学生)からこういう気づきが発言された」「かぎられた時間の中で,このメンバー全員が参加しながらあるところまで進んでいくとすると,何を選択し,何を捨て,誰を指名していくのか」等の意思決定をしながら進めていくのが,「ライブとしての授業」ではないでしょうか。 - いろいろな意味で,「選択」し,そして「捨て去り」ます。 - すべてを語ってしまうのがいいとはかぎりません。 - みなさんに「まかせる」部分も多々あるわけです。なぜなら,「自律的な存在のはず」だから。 - とくに数学好きな人は,「自分で解決できることは自分でやりたい」と思うはずです。 - みなさんに対して,「残しておくところは残しておく」方が,「自分で発見した喜びを奪わない」という意味で大切なはずです。 - 「正方形が見つからない」というのがいくつかの事例にあったとき,どうして私は,「いつも中が正方形になるような動かし方」に焦点化したのでしょう。 - そのことが元の問題状況に対して,どういう意味をもつかは語りませんでしたが,どうして語らなかったのでしょう。 - もちろん,「ヤツはそれを忘れていた。ぼけてるなー」というのでもいいのです。それを踏まえて,「みなさんは,もっと先まで自律的にいける」はずなのではないでしょうか。 - 実際,附属学校にかぎらず,「夢中になって取り組んだ生徒」には,いろいろな意味で,「余韻が残っている」のです。「先生がやれといったからする」のではなく,「夢中になって取り組んでいると,こういうことを考えずにはいられない」状態になるのです。 - そういう気持ちが生まれてこその「ライブ」なのではないでしょうか。 - 「気持ちが揺さぶられないようなものは,ライブではない」のです。 - そもそも,「数学で,そういう夢中になった経験って,ありませんか?」 - ないとしたら,それは残念なことですね。 - 卒業までに,「この問題を一週間考え続けた」というくらいの経験を一回でもできるといいですね。 *** 学年や単元がきまっているとはかぎらない。 - もちろん,教育実習にしろ,現実の授業にしろ,学校段階も,学年も,単元も,そして学級などもきまっています。 - でも,「ここ」で扱う場合や,みなさんが卒業研究などで扱う場合,まず,「この素材にはどういう面白さがあるのだろう」を感じるところから,注目する方がいいだろうと思います。 - 中学校の素材でも,高校的に扱えるとか,大学的でないと扱えないとかも見抜くことをお勧めします。 - とくに図形に関する素材は,そういう意味で考えると,実に奥が深いのです。 *** ICTは,ある意味で,「新しい数学的経験をさせてくれる道具だ」ということを,この授業では実感してほしいというのが,ねらい - 数学を探究するための道具として - 授業を工夫するための道具として **0.3 そろそろ「最終レポート」のための素材を見つけておきましょう。 -前回のノウハウで,「みなさんそれぞれの素材」について「授業のコンセプト」動画を作成するのが最後の課題です。 -- そろそろ素材を見つけておくようにしましょう。 --@https://yiijima-gc.org/index.htm,ここを参考にしてもいいです。 --困っていたら対面でもメールでも対応します。 --今の予定では,下記を想定しています。 --- 最後の課題の提出期限 7/7(月) --- それらをネット上で集約・共有して --- 今回同様のコメント課題を 7/17(木) 23:59まで -- 「これが提出されない」「コメントできない」と,私の部分での評価は....むずかしいですよね。 *** GCの画面を動かしながら「考えていることを解説」すると,「思考の様子/活動の様子」はよくわかるよね。 -まだ,3名分しか拝見していませんけど,動かしたり,書き込みをしながら語ると,「よくわかります」よね。 -「こう考えると,こうなる」というのを解説するのは,けっこういけそうですよね。 *** 河合くんみたいな方法もあるのね - 「自分を少し大きな映像」おしておきながら,画面を「背景」にするノウハウ -- 私は使ったことがありませんでした。 *** 「先生の解説」ではなく,「生徒の活動として,こういうことを想定している」ことの解説 - 「この図」で,「この発問」 - 生徒はきっと,こういう活動で,こういうのを発見してくれたり,こういうことを推論してくれたり,.... - それを踏まえて,先生は,こういう発言をして,こうまとめていく - みたいな。 *1. ちょっと変わった「問い」から **1.1 どれがどれ? |#00013-4-centers| -高校での出前授業でよく行う発問です。 -図に「正しい線を書き込む」方法も,たしかにあります。 -でも,今回の場合「動かす」方が簡単ですよね。 -- 何をすることを求めているのでしょう。 **1.2 ついでに「発見」することは? -「これが〇だ」という根拠があるはずです。 - すぐにわかるものもあれば,わかりにくいものもあります。 - 関連して気づくこともあります。 - そういう,一連の気づきの中から,「答え」を見つけるだけでなく,ストーリーや問いが生まれてくるはずで,それは誰にとっても同じものとはかぎりません。 **1.3 みなさんの場合,何を発見するでしょうね。 - **1.4 「少しみなさんにまかせてみる路線」でいきましょうか。 -みなさんの「模擬授業に対する印象」として,「私が想定している答えが出なかった場合に否定的な反応をしている」と理解されている方が一定数いらっしゃるようです。 -それはそれで,「みなさんがそう感じる」ということは,きちんと受け止めないといけない,と思うのですが,私の中では,次のようなつもりではいるのですけどね。 -- みなさんからの反応は「多様」のはずで,「いつも同じものがくる」とも想定していないし,「こうでないと困る」と想定しているわけではない。 --「こうきたらこう返そう」というのは,それぞれに対して,いろいろな選択肢を考えている。 --逆にいえば,「ある提案」に対して,「そう,それが正解」というような返しは用意していない。普通の授業だったらきっと,「みんなはどう思う?」と参加者に委ねるのが中学校の授業の基本。 --「みなさんからの意見がでて,議論が深まってもいいはずなのに,それがない」と,「反応悪いな」と感じるし,そのことに対して,「もっといろいろなことを指摘していいはずだし,気づいていいはず」ということは求めてもおかしくない。 --とくに重視したいのは,「正解かどうか」ということよりも,「そういう状況で,どうやって,『考える価値がある問題』に気づき,それを問いとして明確にしていくか」 --そこは,ある程度授業者がコントロールしないとうまくいかないはずのところと感じているので。 --しかし,逆にみなさんからみて,「そこが,先生がやりたいところに誘導しているということなんじゃないですか」と感じるのかもしれない。 -というあたりのことを考えると,いろいろなことを含めて,「最初の問題だけ提示」して,その後は「みんなはどう考える?いいたいことある人」「どうぞ」と,できるだけみなさんに委ねてみるスタイルを少し取り組んでみることにしましょう。 -ちなみに,少なくとも以前の実習等において,岡崎中学校での授業スタイルは,「そういう」感じでした。 -- 岡崎小学校も,そういう感じかな。 - みなさん中心の取り組みが終わった後で「私はこういう流れを想定していたけど」というのを紹介するかもしれません。 *2. 「動いた跡」としての軌跡 **2.1 GCでの「動いた跡」としての軌跡(trace) - 点・線・円などの「編集」にて,「軌跡の色」を設定できる - 「軌跡のスイッチ」をonにしていれば,動いた跡が残る。 - 消去ボタンで消去できる。 *** Aを水平に動かすと〇心はどうなる? 上下に動かすとどうなる? - 「直線」や「円」になる場合と,「そうではない場合」 -- 具体的に,「どんなときにどうなるでしょう」 *** 教科書では,「答えがきれいになる場合しか扱わない」 - 直線(線分なども含めて)や円になる場合しか扱いません。 - なぜでしょう。 *** 「きれいな曲線にならない場合」は,.... - 「こんな曲線になるのか」と観察可能です。 - スクリーンショット等で記録可能です。 - 「今の自分の力では扱えない」ということがわかります。 - 「将来扱えようになったらきちんと扱おう」というのも一つの手です。 - 「条件を少し変えたら,扱えるような場合が見つかるかもしれない」というのも一つの手です。 **2.1 何か面白いこといえるかな。 -動かしてみることで,「現象として面白いこと」に気づくのではないかと,まず期待します。 -「その現象は素直に『なるほど』でおしまいになることもあるけれど,ちょっとつっこんでコメントしたくなるような余地が残っている」ようなことも,実は多いです。 -「素直な現象」であれ,「こだわりをもちたくなる部分」であれ,「数学的な問い」として表現し,「それの解決」という形で表現できると,「数学する」ことに結びついていきます。 - ときには,「そこにはないもの」を追加してみたくなることもあるでしょうし,最初の文脈では考えていなかったことを考えるというようなこともあるでしょう。 ***(1) |#00017-0620-02| ***(2) -重心の軌跡では, |#00025-0620-G| ***(3) -内心の軌跡は,ちょっと曲者。「円上でAを動かすなら,ちょっとまとも」でも,「何か変」 |#00019-0620-04| ***(3) 「直線の軌跡」(伝統的には点の跡だけの表現するので,これは軌跡とはいいませんけど) |#00018-0620-03| -さらに発展もできる。 ***(4) ちょっと料理しないとうまくいかないけど,.... |#00016-0620-01| **2.2 教科書で扱われているとき「違う」ものが注目されることも -教科書に掲載されている図は,普通は何を問題にする図でしょう。 |#00007-0613-03| -「軌跡」に注目するべき点があるんだよね。実は。どこでしょう。 - どういう問いにすると,どういう学びを刺激することになるといえるでしょう。 **2.3 「〇心」は,多変数関数 - Oは△ABCの外心 - O(x,y) というのは,A(x1,y1), B(x2,y2), C(x3,y3)の関数である。 -- 3点の関数と思うなら,O = φ(A,B,C) と理解する -- 座標を考えるのなら, O = φ(x1, y1, x2, y2, x3, y3) *3.こんな問題はどう? **3.1 zを動かしてみよう。 |#00020-0620-05| -なんで? -現象を言葉で説明しよう **3.2 zを横に動かすと? |#00021-0620-06| -これは文字とおり「写像」です。 -どういう性質が保たれるのですか? **4.変換と合成 ***(1) -軌跡を残しながらPを動かしてください。 |#00022-0620-11| ***(2) -軌跡を残しながらPを動かしてください。 |#00023-0620-12| -何がいえますか? -次に,EFを斜めにしてPを動かしてみてください。 -何がいえますか? ***(3) -昔,岡崎市立葵中学校で実践したものです。 -- 青(2)の三角形が赤い三角形の重なるようにするには,二つの直線をどうするといいのでしょう。 -- a-dの4点を動かしてみてください。 |#00026-0620-21| *5. 課題 - 5.1 学びネットのフォーラムとして,次のことを掲載しますから,次回までに書き込みをしてください。 -- 「生徒目線」(必須) -- 「教師目線」(必須) -- 「鈴木実践」(任意) --「今日のような実践のための問題」(任意) -- 今日のCIIの授業についての感想や今後への希望(任意) --- 希望をフォーラムに書きたくないけど伝えたい場合はメール(yiijima@auecc.aichi-edu.ac.jp)でもいい。 -5.2 zoomの作品についてのコメント -- 上記を参照のこと -- 学びねっとでは,次のような記述 --- 〇〇さんの動画へのコメント --- ********* --- □□さんの動画へのコメント --- ********* -5.3 そろそろ,「動画作成のための素材」を見つけておいてください。 -- 「これでいいのだろうか」と疑問に思う方は,フォーラムでもメールでも対面でもいいので,「相談」してください。 -- 「こういうのを扱いたいけど,図がつくれない」という方は,相談してください。つくって提供します。 ------ *A.前回の模擬授業等に関する,みなさんのコメントを踏まえて **A.1 模擬授業に関する「コメント」について - 今回,みなさんから「四角形の4辺の中点を結んでできる四角形」に関する模擬授業について,いくつかのご意見がありました。 - とても「いい」ことだと思います。 - 私は今後,みなさんと一緒に過ごす時間はあまりありませんから,みなさんにいくつかのことを伝える目的で,前回のことなどを少し振り返って検討してみたいと。思います。 - 下記は別にそれぞれの指摘に対する「いいわけ」をするつもりではありません。 - みなさんが「どう感じたか」は,受講生としての率直な感想ですし,そこで「いやな思いをした」としたら,それは申し訳ないことだし,みなさんが今後「授業者として振る舞う上で,あまり適切でないと思う場面を感じた」としたら,それは反面教師として生かしてくれればいいでしょう。 - 一方,授業というのは,ライブです。その場の空気があり,それをコントロールするために,いろいろなことをします。 - みなさんの動きやその背景にある信念,価値観,行動様式のようなものを察しながら,適切な行動の選択肢を考え,行動します。 - 時間もかぎられている中で,「模擬授業」として,何を体験してほしいかを選択し,ある部分は捨てます。 - 「模擬授業」を通して,いろいろなことを学ぶというのは,けっして簡単なことではありません。 - いや,ほんものの授業を参観して学ぶことは,実はそれ以上にむずかしいです。 - 模擬授業の場合,「模擬授業モード」の中で,みなさんが適切にできていないと思ったら「検討・協議モード」に切り換えて「見方について考える」とか,「振る舞い方について考える」ことを,臨機応変に行えます。 - 実際の授業では,「生徒がいます」から,そんなことはできません。ときとして,廊下や教室の後ろで,実習生と会話をすることがありますが,授業の迷惑になってしまってはいけないので,限界があります。 - そういうことについて記述し,みなさんに考えてもらうための素材としてみたいと思います。 -- なお,下記に関して,次回の中では触れないと思います。 -- 次回は次回で「やりたいこと」があるので。 *** 6/15の時点で書き込まれていた意見から - 次のご指摘がありました。 --(A)とある方が発言した後、「残念」とすぐに答えてたけど、それって正しい返し方なのかなと思った。 --(B)平行四辺形だけではなく、正方形になる場合には対角線が関係あると学生に気づいてもらうために、GCを使って2つの頂点や4つの頂点を同時に動かすように促している点が工夫していると感じた。前に出てもらった学生が説明していたり、GCを使って図形を動かしていたりしている時の対するアプローチは改善すべきではないのかと思った。 --(C)個人的には法則性を予想するだけでなく証明までやったほうが数学的活動として価値があるのではないかと感じるため、授業を円滑に進める工夫として全部を生徒側に考えさせるのではなく教員が「実はあるんだけど見つけた人いる?」ぐらいで留めておいて流すのも大切なのかなと感じた。 --(D)好きな四角形を書かせることで、生徒の人数分の通り数の四角形があり、様々な可能性を考え議論することができたのではないかと感じた。教師がいろんな生徒を当てていたが、特定の答えを求めているように感じた。 - まず「最初の場面」を振り返ってみましょう。PCが不調ということもあり,「まず,教科書の流れに合わせてやってみよう」と投げかけているところです。私が早口でいろいろなことを言っているけれど,聞き取りにくいところもあるので,肝心なところだけを拾います。 |経過時間|発言等| |10:12| みなさんがすきな四角形をかいてください。| |10:50| 4つの辺の中点をとろうね。ABCDに対してEFGH。| |11:05| それを結ぶわけですよ。すると,ど四角形になるかなという問題。| |11:25| さあ,できたかな。| |11:39| 向こうかいこうか。どんな形になりましたか?| |11:54| 四角形| ||(それなりのフォローをしているけれど,ここでは割愛)| |12:13| となりの方| | | (反応がない)| |12:33| 確認にいくと (まだ書いていない)| | | (まわりを見渡すと,まなびネットに「前回の授業のこと」をかいてる学生が数名いるのに気づく。)| |12:54| 授業の中で何をするのも自由だけど,先週の感想をかくのはやめてほしい。今はここに集中してほしい。| ||| |13:08| かけた?| ||| |13:19| 「見た目をいえばいい」んだから,そんなむずかしい話じゃないでしょ。| |13:21| 見た目は平行四辺形です。| |13:33| EFGHは平行四辺形| |13:42| 平行四辺形になった人(手をあげつつ)どれくらい> (ほぼ全員が挙手) あ,これくらい。| |13:43| 違うっていう人は?| |13:45| 違うっていう人はいないんだ。| - ここまでで,私が何を感じているのか,わかりますか? - そして,その時点で,どういう選択肢を考え,どれを選択したかわかりますか? - (ノートにかけというのではなく)A4の紙を全員に配布し,「こういうものをかけ」という発問とそれなりの十分な時間を提供しているのに,「初めての反応」がかえってきました。 -- (1) 「四角形」という反応 -- (2) 「かいていない」し,「即座にでもかいて対応しよう」と思わない行動 -- (3) しかも,他を眺めると,まなびネットに「前回の課題」を書き込んでいる姿もある。 - 直感的に感じました。 -- みなさんは,「模擬授業」というものの意味も意義も参加のマナーも,心構えも,何もわかっていない。 -- 「生徒目線」で参加することの意味をわかっていないから,「生徒の立場でどういうことを感じるか,行動するか」等をちゃんとする構えができていない。 -- 「間違った答えをいいたくない」のかどうかしらないけど,「四角形」なんていう答えを反応してきたケースは,初めて。 -- でも,それを否定しても仕方がないから,それなりにつないで,次の人にゆだねた。 -- 「自分が準備不足で参加していなくて模擬授業そしてCIIの授業としての空気を悪くしていること」をまずいと感じていないことそのものが,理解できない。 -- しかし,「問いを板書していない」とか,「個人的な事情でなにかあったとしたら,それをとがめるべきではない」と思うので,時間を確保した。 -- ただし,「この場で授業に参加することよりも,まなびネットに宿題をかくことの方を優先する」のは否定しなければいけないと思い,そのことについては指示をした。 -- 一般的に,「そういう指示」をすること自体が授業の空気を悪くする。つまり,「したくない行動」 -- でも,「放置する」のは,「それを許容する」という理解をする学生が多いはずなので,「したくないけど,するしかないだろう」という判断。 -- 目の前の学生集団は,「小テストで点数をとる」ことはとても気にするけれど,「授業そのものを肌で理解する」とか,「そのことに関連した課題を忘れないうちにかいておこう」というつもりがない方々がマジョリティなのだ。 -- それを踏まえて,「模擬授業」とか「動画をつくるということを通して,自分の考えや行動を形にすること」の価値の難しさをきちんと理解してもらう時間にしよう, と考える。 - その次のところで起こった現象を,「みなさん向けに,考えてもらうべき場面とする」ことを考えた。 -- つまり -- 「違和感を感じませんか?」 -- 「50名に対して,好きな四角形をかけ,中点をとってむすべ,そのとき,どんな形ができましたか」という発問に対して,「平行四辺形」という答えがあり,「他のひとはいませんか?」という質問に対して,「誰も挙手をしなかった」ということに対して。 --その後の流れは,ここではかきません。 --しかし,「そういう学生集団が,今回の参加者である」ということを踏まえて,「今日の授業」をしているという背景をまず,理解しておいてください。 - その上で,みなさんの指摘へのコメントです。 --(D))好きな四角形を書かせることで、生徒の人数分の通り数の四角形があり、様々な可能性を考え議論することができたのではないかと感じた。教師がいろんな生徒を当てていたが、特定の答えを求めているように感じた。 --- この短い記述だけでは,想定していることがよくわかりません。逆に,「そういうストーリーをきちんと表現する」ことが,今回の動画作成等での一つのねらいになるかもしれませんが。 --- 「さまざまな可能性を考え議論する」ことを,みなさんのCIIの授業としての課題にすることは,ありうるでしょうね。ただし,それはみなさんが模擬授業に関する接し方の成熟度がもう少し上がっていないと,たぶん,無理です。 --- あるいは,私は,この時点で,「そう判断」しました。 --- みなさんが想定しているのとは違うストーリーの授業を「体験してもらおう」と思いました。 ---「特定の答えを求めている」というのも,何を表現しようとしているのかが,よくわかりません。ただ,四角形のバリエーションに対して,観察結果を一つずつかいて,「どういう形と解釈するのかをかけ」ということを行い,全員に対して,「みんな同じですか?」という問いかけをすれば,(このあと,全員,平行四辺形 とこたえるのはおかしいだろという指摘と学びをしていれば) 「そうではない」という発言がでてくるはずだろうという見込みはあります。 --- 具体的にいえば,「台形」に関して,「平行四辺形」という記述と「ひし形」という記述をする学生はきっといるはずなので,当てられた学生がどちらをかいてもいいけど,全体との議論の中で,「注目していいはずの事実」が生まれるはずという見込みです。 --- なお,実際には,くさび形に関して,「見た目」では長方形と思えるのに,平行四辺形という記述をしていました。ここは「つっこみ」があってもおかしくない場面でした。 --- この「事実」が生まれたことで,その後の展開はいろいろあってもいいのだけど,その中の一つを選択しています。 --(C)個人的には法則性を予想するだけでなく証明までやったほうが数学的活動として価値があるのではないかと感じるため、授業を円滑に進める工夫として全部を生徒側に考えさせるのではなく教員が「実はあるんだけど見つけた人いる?」ぐらいで留めておいて流すのも大切なのかなと感じた。 --- ご指摘のとおりかもしれませんね。 --- ところで,「なんで証明までやった方が価値がある」のでしょう。 --- 今回,みなさんは,「証明しなさい」と言われないと「証明を考えない」のかもしれないし,証明の価値に関する理解が「低い」と感じました。どの場面かわかりますか? --- それは,「台形」ではひし形があったことを踏まえて,いろいろなバリエーションで長方形などが見つかったけど,「正方形が見つからない」と,観察のところでいきづまっていたところです。 --- 観察だけではうまくいかないとき,「本質は何なのだろう。本質をつかまえれば,この手の観察もうまくいくはず」という考えと行動が「できなていない」と私は解釈しました。 --- だから,「証明を考えよう」と指示し,「対角線が,この問題の本質である」ということを,さっさと共有したいと思ったのです。 --- 「それがわかれば,すべての場合をコントロールできる」というのを,その場で全員の共有の課題にしたいので,そう判断しました。 --- 「見つけた人いる?」というのも,一つの選択肢です。その方がうまくいった可能性もあります。でも,私はそんなゆるい発問と,「今日の,このメンバーに対しては,したくない」と思いました。 --- 上記は,いろいろなことを「わかっている方々」向けだと思います。「わかっていない方々も,きちんとこの問題に巻き込むには,動かし方の問題に切り換える方が,全員参加するはずではないか」と思いました。 --- 「からだの動かし方」のような問題にすれば,それは「アタマでわかっている」ことと「からだで表現すること」の両面が必要になります。「わかっているけど,うまくうごかせない」のも当たり前のこととして,みんなが共有できれば,「うまくいかなくても,それほど恥ずかしいとはおもわなくてすむ」のではないかという予想と,「じゃあ,誰か代わりにやってみて」という軽いノリで明るいテンションに変えることができる可能性があります。 --(B)平行四辺形だけではなく、正方形になる場合には対角線が関係あると学生に気づいてもらうために、GCを使って2つの頂点や4つの頂点を同時に動かすように促している点が工夫していると感じた。前に出てもらった学生が説明していたり、GCを使って図形を動かしていたりしている時の対するアプローチは改善すべきではないのかと思った。 --- これは上記のプロセスに関する指摘で,率直に言って,「少し乱暴だった」のでしょう。それをみなさんがどう受け止めたのかは,わかりません。でも,逆にいえば,「こういう選択肢もある」ことを知ることは意味があるでしょうし,「そういう動かし方の問題」というジャンルの可能性が動的には「ある」ということも実感したでしょう。それをていねいに指導する選択肢と,多少乱暴に扱う選択肢あるいは,「みなさんの中でワイワイ議論する学び」にゆだねるという選択肢もありえます。 --- そういう「選択肢を知った」上で,「どれを選択するのか」が,意思決定です。最初から,模範解答的な授業が決まっているわけではありませんし,相手によって,それは変わります。「個別最適化」というのは,けっしてドリルのようなものだけでなく,今回のような学びの場合にも,クラスの状況に「応じて,どういう選択肢を選ぶのが最適か」という問題でもあります。 --- 「もっといい扱い方があったのではないか」と思うとき,より具体的に「別の選択肢」を意識してみることです。そして,たとえば模擬授業を「みなさんがする」なら,最初のとりくみが,take1で,今度はtake2で行ってみよう。終わって比較して,やっぱりtake2の方がいいねとか,違うtake3を考えた方がよさそうだと思ったりする。そのようにして,授業に対して,仮想的に,「ありうる授業像」を複数イメージでき,そしてそこから選択できるようになる,ということが,重要なのです。 --(A)とある方が発言した後、「残念」とすぐに答えてたけど、それって正しい返し方なのかなと思った。 --- 申し訳ないけれど,具体的な場面を特定できていません。 --- そしてまた,「残念」という発言が,発言者に対して失礼であったり,マイナスの学びになってしまったとしたら,それは申し訳ないことだし,撤回あるいはやりなおしそして,みなさんは授業では使わないようにしてね,とお願いするしかありません。 --- でも,私は普通は,そういう言葉はめったに使わないのです。 --- なぜ,そしてどういう文脈と解釈して,その言葉をつかったかを言葉にしておくとすれば,下記の感じです。 --- 「四角形」という発言に象徴されるように,みなさんの中には,「間違えたくない」というメンタリティを感じます。 --- (長方形がスケッチの中にあっても)「平行四辺形」を選択するなどは,「先生は何を求めているのかを探し,忖度している」というメンタリティを感じます。 --- つまり,「自分の考えをきちんと表現している」ということよりも,「私が求めている答えを探している」と感じるわけです。 --- だとしたら,「あたり」か「はずれ」ですよね。...「君の考えは適切でない」という深刻なことではないので,軽く「残念」と。 --- あるいは,「50人くらいいて,...」みたいな話題でかみ合っていない感のときだったとしたら,「教育学部の学生として,生徒の様子などをどう観察し,解釈し,そして考えるか」という行動を,みんなはまだ「全然できていないね」「くやしかったら,はやくそういうことを考えられる学生に成長しろ」という場面だったかもしれません。 --- だとしたら,「みんな,まだまだ力がないじゃないか。」「そこまでこれていないね,残念」 --- いずれにしても,「ここにいるみんなの中で,君だけができていない」というような意味での「残念」ではありません。 --- 「みんな」,その程度でしかないだろ,という意味での「残念」です。 --- なんで,そういう行動になっているのか。それは冒頭のやりとりでも感じられるような,「みなさんの行動と価値観の不適切さにもほどがある」からなのです。 --- みなさんは,教員養成学部の学生なので,基本的には,「授業者」になりたいのでしょ。 --- 授業者は,生徒の様子を「観察」し,「解釈」し,そして,適切な行動の仕方の「選択肢」を複数思い浮かべることができ,そして,適切なものを「選択」し,きちんと「行動」できないといけません。 --- そういうことを実践的に,より実感したり,それを議論したり,その場でやりなおしてみたりするのが,「模擬授業」なのです。 --- 「それが始まっている」のに,そこに参加することよりも,「前回の模擬授業に関する感想をかくことの方が大切」と思うような価値観と行動をするようなみなさんなんでしょ。 --- 「任意」と言われたら,他大学の学生からしたらみることができないような貴重な授業ビデオを提供されていても,見るつもりもないようなみなさんなんでしょ。 --- つまり,「実践から学ぶつもりも技量もない」のに,「採用試験で合格」することの方が,「いい授業をできる技量を身につける」よりも大切と思っているのではないですか? --- そのトータルの空気感こそが,私にとっては「残念」なのです。 --- 「教育」はアタマ,つまり知識だけで理解できるものではありません。 --- でも,「数学」もそうなのだと,私は思います。 --- そして,ICTをうまく使うと,「数学は,与えられた問題に対して,想定される正解をすばやく導くもの」とは違った数学的探究の世界を実現してくれて,これまでとは少し少し違った数学の学びを実現してくれる可能性があります。 --- 実際の「学校の授業」がどれくらい変わるのは,それはわかりません。 --- でも,社会学的に考えて,社会の中での人々が,どういう形で数学に接し,またそれを使いこなすかという様相は,20世紀までのそれと根本的に変わってしまったと,私は感じます。 --- その一端を肌で感じ,取捨選択し,将来にいかしてほしいと思うのが,この4時間のコンセプトです。 --- でも,そんなことに関心はなく,単位だけほしい方は,設定してある,それなりの低めだけれど,パフォーマンスを求めるハードルをきちんと越えてください。 **A.2 一方,先週のみなさんがつくった授業には,「いいところもたくさんあった」と思います。 - 「九点円の証明」の授業も,けっして悪くなかったと思います。 -- でも,「それなりのタイミングまでに感想をかいておこう」という気持ちになった方は半数くらいしかいなかったのも事実。 -- 「証明」は個々の中で行う活動なので,久しぶりだし,あまり参加していなかった方がいたとしても,おかしくはない。 -- そういう意味で,私の中で「それなりにみなさんに体験してもらえたのでないか」という評価が妥当だったかどうかはよくわかりません。 -- 逆に,今回の指摘のような「シビアな指摘」が前回の書き込みにはあまりなかった印象で,「よそゆき」であったり,「忖度した意見」をかいていたのかもしれません。 - 今回は,それと比較すると,「いいところ」はいろいろあったと思います。 - 実際,次のような場面を意図的につくりました。 -- 「冒頭の部分」上記のところなので,この教材についての授業というよりも,CIIとしての学びだけれど。 -- 「いろいろ動かして調べる」ところで,「大喜利みたいだ」とつぶやいた人がいたけれど,そういう「会話」は,みなさんが想定する授業での言語活動とは違うものがあったはず。(それをみなさんがどう解釈し,評価するかはまた別の問題) -- 「台形での二種類の存在をどういかすか」という場面 -- 「正方形が見つからない」のをどう解釈し,どういかすか -- 「証明」をどういかすか -- 「2点をうまく動かして...」という課題での,いい学び合いの空気 -- などなど。 - そういう中で,「ふだんのみなさんとはちょっと違う学びの景色」があったのではないかと,私は感じました。 - もちろん,それは私の勘違いで,「普段のみなさんの中で,そういう学びは十分にできている」のかもしれません。 - あるいは,私は「いい空気感の場所だけ見ていて,そこに参加できていない方々を見落としていた」可能性も,否定はしません。 - ただ,模擬授業とはいえ,授業が終わったときに,「いい時間を過ごせた」という充実感と手応えはありました。 - そういうことを,「いい学びの場面」と理解し,その場面を客観化して分析できるかどうか... - そしてまた,みなさんなりに「いい学びの場面」を意図したとき,それを実現するための教師としての行動をどう設計するのか - そして,実現するのか。 - そして,今回は,そういうストーリーを何らかの教材を使って「動画で語る」のが最終課題なのです。 -- チャレンジしてみてください。 -- 期待しています。 **A.3 授業ビデオを見て,反省したこと。 - まず,発言が聞き取りにくい。 - みなさんが,ちゃんと発言を聞き取れているかどうかが心配。 - そもそも,この教室がでかすぎるので,こういうスタイルの授業には適していない。 - 距離があると,発言がわかりにくくなる。さらに,今回は,状況に反応して,つい早口になってしまっていて,より聞こえにくい。 - これは通常の授業でもそうなのだけれど,一番後ろの人がきちんと聞こえていて理解しているかどうかを確かめながら発話はしないといけないけれど,たぶんそれができていなかった。 - また,本来この教室にマイクがあるのは,教員がマイクを使って,地声よりもクリアに学生に伝わるようにしているわけで,(マイクを学生に渡すことは悪くないと思うけど,) 別のマイクを使うなり,マイクを使うのと同じ程度に聞こえるようにする配慮をすべきだった。 - やはり,テンポはもう少しゆっくりにしないといけなかった。 - 板書は,自分が教育実習を受けたときにも指摘されたことだが,どう考えても「よくない」 - なお,みなさんにとって「それなりに聞き取れていた」としたら,授業記録の方法として,今回の機器の使い方は不十分だったことを意味する。 - これもよくある話で,映像は遠くからズームで撮影しても写るけれども,音は「近いところで拾わないとうまく録音できない」「耳でその場で聞いている感じとマイク経由の音はかなり違う」 - それを避ける一つの方法は,授業者の近くにマイクをおき,その音を拾うこと。(ワイヤレスを使ったり,ICレコーダで録音した音を後で合成したりする。) -- 名古屋中での授業ビデオ撮影では,それぞれのグループごとの様子を把握したいときには,そういう方法で対処している。 **A.4 追加されたコメントについて - 次のコメントが追加されていました。 --改善可能な点として、ICTを使っているため、思考の形跡が残りにくいという特徴があります。私も高校生のときに、先生がICTを使って授業をしている(私たち生徒は紙で授業を受けている)英語の時間がありましたが、ときたまが今どこを話しているのか追いつくことができなくなることがありました。この授業は受ける方もパソコンを使っているため、私が高校生の時より、そのようなことは起こりにくいと思いますが、自分が授業するときには、思考の形跡を残したり、今行っているページはどこから飛べるのかを明確に見えるようにする必要があると感じました。 - 上記のことは「納得」です。 -- そういう意味でも,「紙のワークシート」を使いました。 -- 今回,PCは,「実験の場所」として使っているので,「記録や証明のための思考の場所」は紙にしたわけです。同時に,CIIのテキストもweb上にもあるわけですが,PCは1台しかないので,「紙に印刷して配布」しているわけです。 -- 同じような意味でいえば,冒頭のところは,発問を板書等してもよかったのかもしれません。違うことに気をとられていると,言葉で語った発問は,聞き漏らしてしまうとわからないので。 *B.小笠原実践について - 配布資料としての「印刷」のあとの追加です。 - 今日の模擬授業で扱った素材は,主に高校で扱ってきました。 - しかし,多くの場合,県立高校での出前授業なので,みなさんへの公開の許諾等は得ていませんから提供できません。 - 今回の小笠原実践は,2013年に,附属岡崎中学校で1年生に対して,小笠原先生が取り組んだ実践です。 - もともと,基本作図に取り組む単元でしたが,後半の時間帯には外国からの視察がある日で,2時間続きの実践として,「最初は紙で,後半はiPad+GCで取り組んだ」実践です。 -- 授業の会話の中で,次のような笑いがあります。 --- これは外心。今日3時間目にくるのは? --- ??? --- ガイジン --- ははは。 -- 次のようなもの,岡崎中「らしい」発言です。 --- 外心,内心,重心,垂心をまず紙に作図してください。 --- 垂心は...想像してかいてください。(他はならっているけど,これはきちんとは扱っていない) - GCを使うのは初めてでしたけど,勝手にいろいろな機能も使いこなすあたりや,いろいろなことを発見して発表するあたりは,岡崎中学校「らしさ」を感じられます。 - また,中1ですから,証明等は扱わず,発見あるいは推測の発表中心の授業になっています。 - グループでの様子なども撮影した様子を一つの映像にまとめています。 - 本当は,生徒の発表に対する小笠原先生のつぶやきなどが,とても興味深いビデオです。