*0.はじめに **0.1 今日でおしまい - 石川先生の授業スタイルといろいろな点で違うので,戸惑ったかもしれません。 - また,過去と違って,4回という制約の中で,みなさんに実感してほしいことを意識しすぎて,「こうであってほしい」という思いが強く出すぎたときも,あったのではないかと,ちょっと反省もしています。 - ただ,「道具を変える」というのは,かなり大きな影響があることなのです。 - みなさんの中で,高校までは「ICTを当たり前の道具として使う」数学との接し方はほとんどなかったでしょうし,高校までの先生方もきっとそうだったはずです。 - 一方で,世の中では「数学の使い方」はかなり「ブラックボックス」に隠れてしまっている部分が多いのだけれど,でも,「それを使ってなにかをする」ということは,劇的に増えているわけで,「未来からの逆算」をすると,「自分が生徒として学んだ経験をそのまま授業で反映する」のとは違った可能性へのチャレンジもあっていいはずと思うわけです。 - 学校教育での数学や算数そのものはあまり変わらないのかもしれません。 - それはもしかすると,「学校教育での数学はそのままの内容にしておいて,時間や比重を軽くし,別のことへの取り組みを増やしていく」という可能性もありえます。 - 数学という枠組みに限定しておくなら,「図形指導」あるいは「幾何教育」というものに関して,再考する機会になるとうれしいんですけどね。 **0.2 先週までの「今回の予定」は -先週の時点で,「最後は次のようにする」ことを想定し,ほぼ準備もしていました。 *** まだ扱いたいことはいろいろあるけど,「名中生に行った授業実践」に限定してみます。 - まださまざまな素材はあるのだけど,「附属名古屋中学校で実際に取り組んだ実践」に大学生がチャレンジするというスタンスで,今日は基本的に二つの事例だけを扱います。 *** テーマとしては,次の二つといえるでしょう。 - 数学的モデル化 (あるいは,現実の問題) - デジタルに伴う誤差との付き合い - なお,二つの実践に関するリソース等は授業後に追加しておきます。 *** でも,変えてみた方がいいのではないかと,考え直しました。 - 考え直してみたきっかけは,まなびネットへの書き込みや,私信メールでの質問等です。 **0.3 「すべて扱う」はずもありません - 前回同様,資料として用意していても,すべてを扱うことを想定しているわけではありません。 - 紙の資料は,紙の資料,授業は授業です。 - 「ライブとしての授業」に参加してください。 - もしかすると,「用意してあることとは全然別」の方に展開するかもしれませんが,それはそれで。 - ただし,「もう続きはない」ということも踏まえて,みなさんの動画作成に資することをねらって,下記の資料を用意しました。 - 下記の素材を使って動画作成をするというケースもあってもいいでしょう。 - いい形で,さまざまなリソースとみなさんの時間を生かしてください。 -「いい学び」を期待しています。 *1. 「うまくいく」背景には,さまざまな教材研究と準備がある **1.1 「安易」はほぼ確実に失敗する - 「先生が主役で,わかりやすく解説する」もの,簡単ではありません。でも,ある意味で,「自分の発言や行動をしっかりコントロール」すれば,ある程度のレベルまではいけるでしょう。そういう意味では,教育実習などの標準的な目標は,「先生主導でもいいから,わかりやすい授業をきちんとする」ことでもいいように思います。 - この授業では,「生徒にまかせる」ことを重視したいという思いを表現していますが,「ICT」であれ,「実験」であり,「学び会い」であれ,「生徒にまかせる」ことは,かなり大きなリスクを抱えることになります。当たり前のことですが,「実験を始めてね」と言った瞬間に,「目の前のことに夢中になり,ほとんど先生のコントロールから外れます」。でも,「夢中になった」生徒たちが自発的に「参加したい」と思う授業にできれば,すばらしい空気を実現できる可能性もあります。いわば,ハイリスク・ハイリターンなのです。 **1.2 「安易なICT利用は,ほぼ確実に失敗する」 - 私のパートで理解してもらいたいのは,このことです。 - 自分で計算するのが目的なのに,「電卓で答えを出す」のでは,「学ぶべきことを奪ってしまう」わけです。 - 「どんな場合もうまくいくことを観察したから,それでおしまいでいいじゃない」となったとすると,そもそもの目的が「証明を学ぶ」ことだとすると,「学習する意味がなくなってしまう」のかもしれないのです。 - 「観察」すればいいだけでなく,それは「推論」などの数学的活動との両輪になっていることを実感する「ような経験として位置付く」ようなものとして「設計」しなければいけません。 - そういうプロセスの様子を,少しでも実感してもらう時間にしておくことが必要と感じました。 **1.3 これまでは,「みなさんの素材」を基に取り組んできたけれど - これまで,CIIの授業の中では,15回を使って,最終的な指導案まで仕上げ,発表し,修正するという流れでしたから,みなさんが見つけた教材それぞれについての授業プラン等を提供してもらい,それに則して検討などを行いました。 - 今回は,それはむずかしいので,代表的なものを素材にしながら,みなさんの動画作成にいかしてもらうことをねらいたいと思います。 **1.4 「失敗事例」から ***1.4.1 私の失敗例 (春日井高校での出前授業) -三角形に内接する三角形で,周の長さが最短のものをさがせ。 |#00027-0627-01| -みなさんに調べてもらいましょう。 -見つかりましたか? -あるところまでは,想定通りで,うまくいったのです。でも,.... 授業としてその続きにおいて失敗したのです。 -授業として「何を失敗した」と思いますか? **** 教訓 : 「できそうもないことをやってごらん」などと言ってはいけない。 - それなりの時間と労力で,生徒が貢献できる成果を挙げられるようにしておかないといけない。 -- いつも担当しているなら,「あすまでに...」とかできるかもしれないけど。 **** その後 - そのことを話題にしたら,ある宮崎県内の中学校で,取り組んでくれた。 - いくつかのところをスモールステップにし,また肝心なところを先生が与えたので証明の最後まで到達することはできたのだけれど,「証明を見つけた喜び」のようなものは授業の中で生まれなかった。 **** 教訓 : 「解決の達成感」において,「自分の力でやった」感が持てないと,あまりうれしくない - 「教えてしまう」のも一つの選択肢。 - すべてを発見的にできるはずもないし,する必要もない。 -- すべて発見させたら3000年かかるという皮肉もある。 **** いつも思い浮かべる言葉(Polya) - Polya (問題解決研究の出発点の一人のような人物) の How to Solve It という本の中に,次の言葉があります。 - The teacher should help, but not too much and not too little, so that the student shall have a
reasonable share of work
.(p.1) - ある意味で,「当たり前」のことです。でも,そのさじ加減はとても難しい。 - 教育実習のときに,指導教員の先生にはよく言われました。「おいしいところは生徒にあげろ」。 - こういう感覚は,優れた先生に共通する感覚だと思います。 - でも,ともすると,「自分が主役になってすべて解説してしまい,おいしいところをすべて先生が持って行ってしまう」という景色も,よくあるのです。 - もちろん,「すべてやってみろ」と放置してしまうと,とてもたくましい生徒以外は,「努力してもどうにもならない」つまり「おいしい以前に,消化することも,食べることもできない」状態で無能感,無力感しか残らないということも,....あるのです。 **** 目の前の子どもたちに「合わせる」 - 今回の動画作成などでは,「みなさんが想定する,理想的な子ども」の存在を前提に,ストーリーをつくります。 - でも,現実の授業では,かならず「子ども」がいます。 - こういう学年の,こういう生徒たちだったら,基本的には,こういう流れでいけるはず,というのを作ります。 - しかし,想定とは違うことも多々あります。目の前の子どもたちに「合わせる」ことを忘れると,ほぼ確実に失敗します。 ***1.4.2 「失敗」は.... - 研究仲間との合い言葉 **** 過去は消せない -「その授業」をその生徒たちにやりなおすことはできません。 -「その子たち」が提供してくれた機会を,最大限,「未来」に生かすことです。 - 少なくとも「同じミス」はしてはいけないのです。 - もちろん,「その子たちにとって,その経験を違う意味で,最大の教育効果があるように生かしていく」ことも大切です。 **** 悔いを残す -「変えられないはずの過去」にこだわりすぎると,メンタルやられます。 - どうせ過去は戻らないのだから,こだわりすぎてはいけません。 -- でも,さっさと忘れ「よく言われるんですよね」を繰り返すようでは,プロ意識にかけます。 - 未来指向で「悔いを残す」「悔いを生かす」のです。 - 同じことは二度と繰り返さないと。 - なぜ,「そうなってしまった」のか。兆候は? 選択肢は? タイミングは? 適切に行動できる力は?,,,... - そういう気持ちを残す上でも,「どういう場面で,どうやったときに,どういうことが起こって,どうなったのか」を,自分の中で再現できるくらい鮮明に記録することを心がけないといけません。 - 多くの場合,「解像度が低い」ことに気づきます。 **** 事前のシミュレーションを豊富に行う - さまざまな場面で,「異なる選択肢」を考えます。 - それぞれの選択肢で行ったらどうなるのかを想定し,そして,生まれるリスクや可能性を明確にし,比較して,最善の方法を選択するのです。 - 多くの場合,授業では想定外が発生するのですが, 「想定できたはずのリスク」が顕在化してしまって,悲しい状況に陥らないように心がけます。 **** 「思考の道具」が違うと,「生徒の自然な思考の流れ」が変わっていることが少なくない - 私たちの思考は,「それまでの経験」を踏まえていることが多いです。 - 「想定外」になってしまう一つの理由として,「私たちの当たり前とは違う環境で,生徒が取り組んでいる」ことです。 - 「紙と鉛筆で取り組む」のと,「別の思考の道具(ICTであれ,実験であれ,...) とは違うとき,「何が自然か」が変わっていることが多いのです。 - つまり,「安易にICTを使うと失敗する」理由の一つが,ここにあるし,対策の可能性もここにあります。 **** 授業では指導案は忘れ,その場の様子をしっかりと観察し,適切な選択肢を見つけて,行動する。 - シミュレーションはやはりシミュレーションであり,「その場でのホンモノを生み出すには,そこでの様子をしっかり観察し,解釈し,選択肢を考えて,明確に意思決定をして,行動します」 - 特に意思決定が介在するような場面は,きっと「明確に語れる」はずの場面であって,そこが曖昧にしか記憶していないような人は,きっと何も考えずに(あるいは,指導案で想定していた流れだからというだけの理由で)子どもを見ずに,ただ授業をながしているだけなのです。 **** 生徒はどう受け止めているかをモニタリングする - 一つの有効な方法は,「モニタリング」です。 - 表情を見るだけでも,かななりのことがわかります。 - ノートに書き込んでいることや,GCなどでは,タブレットの画面の様子や書き込みなどを眺めるだけで,また友達との会話の様子や発言の端々で,さまざまなことがわかります。 - 「わかる」ためには,「こういうことが起こるはず」と「構えがないと,拾えません」。特につぶやきなんて,マイクで拾ってもわからないような発言が耳にきちんと聞こえるのは,「こういうことを発言してもおかしくない」という構えがあるからこそです。 **** 「正解以外も,大きな貢献」 - 「正解に辿り着けなくても,いい時間を共有できたら,それはうれしい」 - 正解以外でも,いろいろな観点で価値づけをしてあげられるようにする **1.5 「模擬授業」とは *** 「知識等を学ぶために授業を受ける」のではない - みなさんが模擬授業に慣れていないかもしれないということを想定し,「未知の内容」に焦点を当てましたが,たとえば,「九点円を知る」ために,模擬授業をしているのではありません。 - 二回目でいえば,「中点連結定理の応用」を知るために授業をしているのではありません。 *** 「指導案(マニュアル)通りに行動できるかどうか」を確認しているのではない - また,「マニュアル通りに教える」ということを実行できるかどうかを確かめるために行うものでもありません。 -- もちろん,「そういうねらいの模擬授業もありうる」でしょうけど。授業スキルがまだ低いときには。 *** 生徒目線 = 「どういうことを感じ,何を発見し,どう思い,次に....」を意識化する - この「発問」,この「図」,この....., 授業を構成するいろいろな「変数(変えることができるもの)」を意識し,「この設定のときには,どういうことが起こるのか」を把握するのです。 - 「正解」に注目するなら,「別解の可能性」や「難しさ」など,... - そこで想定する生徒の「数学的活動」に焦点を当てるなら,... *** 教師目線 = 「何を観察し,どう解釈し,そこでの選択肢の可能性と,意思決定の基準,行動を適切に行えるかどうか」などを意識化する - *** 「本番の授業は一回しかできない」ので,基本的には「失敗は許されない」 - もちろん,複数クラスあるときには,「次のクラスで生かせます」が,「前のクラスでは失敗していい」ものではありません。「そのクラスにとっては,その授業しかない」のだから。 *** 「模擬」だからこそ,チャレンジできる。 - 模擬はホンモノではありません。ホンモノの反応とは違う可能性も大きいです。 - でも,普段と違うことをチャレンジすることができます。 - 「解像度の低い参加者」に対して、「こういうところに注目しないとだめなんだ」と,解像度を上げるためのサポートもできます。 *** 「念頭で,それなりるレベルまでできる」といい - 授業で「失敗しない」というのは,「その前」を豊富に行っているということでもあります。 - 「仲間」がいるなら,「模擬授業を何回も繰り返す」のも一つの方法でしょう。 - 「仲間がいなくても」自分の中で念頭でのシミュレーションを,それらの代替として行えるようになると,いいですね。 **1.6 今回は「動画作成」でおしまいだけど - 一つの標準的な「アウトプット」は,指導案作成です。 -- でも,いろいろな意味で,それはちょっと無理と考えました。 - 今回は,「動画でじ行コンセプトを表現する」ことにしてみました。 -- 去年までも,指導案作成の前に,2回ほど,取り組んでみました。 -- 一回目ではいろいろな意味で問題点があり,「その問題点を理解する」ために,使いました。 -- そこでの反省点を踏まえて,二回目をつくり,そのコンセプトをもとに指導案を作成し,短い時間だけど模擬授業的な時間をつくり,問題点や改善点を把握して,指導案の修正をしました。 -- 上記のようなプロセスは,基本的には,教職大学院などで取り組むスタイルといえるでしょう。 - 今回はそこまではしません。 - でも,「いろいろな人が作成した動画を視聴し,自分のものと比較する」と,いろいろなことを感じると思います。 - そういう意味でも,「つくりっぱなし」ではなく,「相互にコメントをかく」ことまでを授業での取り組みとすることにしました。 - 一般に,授業コンセプトを一定レベルで作成するのは,簡単ではありません。 - そしてまた,一般に,「あまりきびしいことを書いてくれません」 - でも,新しい授業の流れを構想し,表現してみることの「おもしろさ」と「むずかしさ」を実感してくれると,実習前のこの時期の学びとしては,「適切」なのではないかと思います。 **1.7 「解説」のちょっと上を目指すために - 「わかりやすい解説」というのも,大切なことです。 - 特にYouTube動画などでは,そういう動画がたくさんありますし,「よくわからないから,このことを理解したい」と思う人が探すのがYouTubeなので,「わかりやすい解説動画」は大切です。 - でも,授業は,「生徒が主役」です。 - ICTは「生徒の数学的活動を活性化するための道具」として使えるとうれしいかなと思います。 - そこで,いくつかの視点を,... ***1.7.1 「操作」することで理解が変わるところもある? - 「どんな場合も」.... - 「いろいろな四角形」... - 「対称移動」,... - 「複素数の演算」の幾何的な意味,... - 自分自身が「操作」することで,実感することが変わることって,けっこうありますよね。 ***1.7.2 観察 と 推論 は「両輪」 - 観察だけでおしまいになるのは,数学ではありません。 - 問題を見いだすきっかけとしての観察です。 - 推論を引き出すためのきっかけとしての観察です。 - 観察を焦点化するための推論です。 - 推論の正しさを検証するための観察です --など ***1.7.3 いろいろな子の多様性を引き出す - 何を問題として感じるか の多様性 - 「観察すべき事実は無限」→「みんなの観察結果を集める」ことで,全体像がわかる - 「どこに注目する」の多様性 - 「解釈」の多様性 - その観察結果を踏まえて,「次に何をすべき?」 -- など ***1.7.4 学び合いの可能性 - 「教え合い」というものも,算数・数学ではあります。 - 「「わかっている子」が「わかっていない子」に教える」ことをうまくいかすというのも,一つの重要な方法です。 - でも,グループ活動は,「集団カンニング」の許容ではありません。 - いや,そもそも学びの中では,双方が「対等の関係」であるべきであって,「あげる / もらう」という関係性,しかもそれがほぼ固定化されている関係性というのは,あまり望ましいことではないでしょう。 - 対等の関係性を,「学び合い」という言葉で表現するとしたら,「一人で取り組む方がいい」「集団で取り組む方がいい」という選択肢を生徒にあげることになります。 - 「まわりと一緒に取り組む」のが適切なのは,どういうときなのか。そこでは何をしているのか,あるいは話し合いを生み出すには,どういう「問い」や「課題」がいいのだろうか,... - その様子を,学級全体に,発表し,教室で共有した方がいいこともあります。 - 発表はしないけれど,先生に教えてくれるといいこともあります。 - 子どもたちの中だけの「秘密」にしておくことがいいこともあります。 ***1.7.5 「異なる個が同じ時空間を共有する」ことの利点 - ぜひ,意識してください。 - ICTによって,学ぶ環境は,劇的に広がっています。 - 特に,「個に応じた学びの環境」は,生涯学習にとっては不可欠な存在になりましたし,「人生100年を豊かなものにする上で,学び続けることは大切」であり,そこでは「教えられる」のではなく,「自己調節学習」などの言葉で表現されるような,「独学力」が,重要になっていきます。 -- みなさんには,実は欠けている能力かもしれません。 - そういう時代の中で,「それでも,学校にきて学ぶ意義」はどこにあるのでしょう。 - わざわざ,時間を決め,同じ年齢の子どもたちが集まって共通の課題に取り組む価値はどこにあるのでしょう。 - ぜひ,その答えを積極的に見つけてください。 - その先に,21世紀らしい教育の在り方があると思います。 *2.ケーススタディ **2.1 角の大きさ一定 - 次の「問いと図」は,どういう違いがあるでしょう。 - (「記録ボタン」を押すとプロットできる) --中学生が「気づく」こともあるし,中学生には気づきにくいけど,先生目線では意識しないといけないことがあると思います。 |∠APB=50°になるPの場所をプロットしよう|∠APB=∠AQBになるPの場所をプロットしよう|∠APB=60°になるPの場所をプロットしよう| |#00028-0627-02|#00030-0627-02|#00031-0627-02| -ある意味で,この活動は,「誰にでもできるはず」です。 --「協力しながら作業をする」ことを重視するなら,4人1台のタブレットで,「一人5ケ所ずつプロットしよう」とし,各グループ20個プロットすることを指示する方法もあります。 --「一人一台での作業を各自が取り組む」ことを選択する方法もあります。このとき,「困った子は気持ち的に孤立するリスクがある」ことをフォローしないといけません。また,それぞれの点のとり方にはかなり違いがでるので,「そこをうまく共有化」できると,「正解以外」のおもしろさを引き出すチャンスにもなります。 -観察して,「円みたいになった」というところには確実に到達するでしょうが,... 「その次に何をしたいですか?」 -- それがないと,ただ「点をプロットする」という活動をさせただけになる。 **2.2 3点からの距離が等しい場所 -3点A,B,Cに対して PA=PB=PCとなる点Pの位置を見つけましょう。 |#00032-0627-03|ちょっと苦労するかもしれないけど,しばらくしたら見つかるはず→|#00032-0627-03| -「見つかったね」 -これで,「元の問題は解決できた」 -- でいいか? -- でも,生徒からしたら,「見つけろといわれて,見つけたのだから,これでおしまい」と思うのでは。 *** 図の代替候補(P.1~4) |#00032-0627-03| *** 「状況から問題を定式化していく」プロセスを,学びの中に取り入れる - 出発点を2点からはじめるのか,3点からはじめるのかは,「選択の余地はある」 - たとえば,「3点」からはじめる場合を考えるなら.... -- のび太は学校から家に帰ってからジャイアンとスネ夫と一緒に遊ぶことになりました。 -- 3人の家が,A(ジャイアン),B(スネ夫),C(のび太)のところにあります。 -- ジャイアンがいいました。「ここにしようぜ」(PをAの近いにおく) -- .... -- この後,どう続けますか? **2.3 上記の発展としての「共同井戸の場所」 -この実践は,10年以上前に,伊藤先生が授業者として取り組んでくれた実践です。 *** 名中のときには次の問題文だった - 4軒の家があります。各自で井戸を持っていたのけれど,今度共同井戸を掘って,そこから水道管を引くことになりました。 - その共同井戸をどこに堀ったらいいかを考えたいと思います。 - その共同井戸の場所を検討するための条件を考えましょう。 - その条件を満たす場所を実際に,GCを使って探しましょう。 |#00035-0627-04| *** どういう展開になることを想定しますか? |#00036-0627-04| - *** その展開には,数学的活動として,どういうプロセスの価値づけをしようとしているのでしょう。 - *** それ以外に潜んでいる「GCだからできる活動」としての「見つからない→ないんじゃないか?」という活動 - 数学では,「不可能の証明」というのは,一つのテーマです。 -- 「任意の大きさの与えられた角に対して,定規・コンパス(を所定の使い方をすること)によってその3等分線を作図する」ことはできない。 -- (任意の)5次以上の方程式の解を代数的に求めることはできない。 -- ゲーデルの不完全性定理なども - 「きっとできる」と思ってさまざまな試行錯誤をしてもうまくいかないことを,過去の数学者は経験し,「それはできるはずがないんだ」ということが論理的に証明できてしまうことが,「驚き」であり,また「数学の力」でもあるわけですが,生徒にとって,次のような活動は意味があるでしょうか。 -- 「見つけてごらん」→ 「いろいろな試行錯誤にかなりの時間をかける」→(先生から)「できないんだよ」→ 「徒労感」「だまされた感」 -- 「できっこないんだ」→「やってごらん」→ できっこないことをやらせても意味ないでしょ - 「数分程度,しかもそんなに労力をかけずにやってみて」→ 「見つからない」→「というのは,無理っていうことなんじゃないの?」というのは,.... - もう一つの側面として 「先生が求めたことではなく,生徒たちが自発的にきめたこと」 -- この方向でやってみようか。うまくいくかどうかわからないけど。 -- 「うまくいく」のか,「うまくいかない」のか,両面を考えながら進もうね。 -- 少し時間が経過して,「どっちなのかな」 - 今回は,「ないとわかったら,どうする?」 -- 「答えがないことがわかりました」 -- いや,先生が出している問題,あるいは最初の問題状況は,「どこかに共同井戸を掘ろう」ということであって,その問題に対する答えが「ない」というわけではない。 -- その状況に対して,みんなが定式化した問題に対する答えがないというだけのこと。 **2.4 「反例」との接し方 - 考えている命題に対して,「一つでも反例が見つけられれば,それは成り立たないことの証明になる」 - 考えている命題に対して,「いろいろな例を検討しても,反例が見つからないということは,正しそうだという妥当性になる」 -- でも,それは証明ではない。 - 「反例」が示されることで,「その命題はダメ」ということがわかるが,もしかすると,「もう少しゆるい命題なら成り立つ」ということもある。 -- みなさん自身が「そういう経験をしているかどうか」によって,そういうことに価値があると思うかどうかも変わる。 -- 「多くの場合を手軽に観察できる」ということは,そういう活動を体験するための「敷居を下げてくれる」 |#00037-0627-05| -この図から,どういう命題を導けますか? *** みなさん向けに,ついでに -上の図をもとに,みなさん向けに,ちょっと発展させてみましょうか。 -上の図は,「中点」でした。「3等分」にすると,次のようになります。 -どんなことをしたいですか? |#00038-0627-05| *** 玉石混淆 - うまくいくやつと,うまくいかないやつが混在していて,「玉を拾いだす」というのも似ていますね。 **** 問題1 |#00039-0613-03| -ここにはさまざまな「合同な三角形の組があります」(かなり多い) -点BをAC上で動かしてみましょう。それらの中で,やはり合同なままの三角形の組はどれでしょう。 -さらに点Bを自由に動かしてみましょう。それでも合同なままの三角形の組はどれでしょう。 --そこまで生き抜くしぶといヤツは,証明する価値がありそうです。 **** 問題2 |#00039-0613-03| -「交点」として3つの点があります。 -Bを左右に動かすと,この3つの点はどういう動きをするでしょう。 -Bを自由に動かすと,この3つの点はどういう動きをするでしょう。 -ということから,どういうことに気づきますか? **2.5 「特殊」との接し方 *** 「どれがどれ」での「特殊な場合」 - 4つの心を見極める上で,「一目瞭然に見極められる」特殊な場合をさがす - 逆の意味での「特殊な場合」として,「正三角形」を作った人は,「4つの点が重なってしまって,まったく見極めることができない」ことを発見したかも。 -- 実は違う意味で,このことを生かすと,「違う発見」にもいく可能性もあるのですけどね。 -- 正三角形の場合は,「4つの心が一致する」のです。 -- それ以外の場合は,「すべてバラバラ」なのです。 -- 違和感,感じませんか? -- ... -- こういう意味でも,「言葉は思考の道具」なのです。 *** 特殊な場合には,さらに特殊なことが成り立つこともある。 - 四角形の4つの辺の中点を結んで,四角形をつくる場合のように - 一般には平行四辺形だけれども,ABCDが正方形という特殊な場合に,EFGHは正方形という特殊な結果になることもある。 *** 特殊な場合に,「証明」を見いだせて,一般の場合を証明するのに,それを利用するというケース - いわば,「一般解」と「特殊解」という関係 **** 円周角の定理の証明 - 前回,扱いました。 **2.6 特殊解に関連して(1) 三角形の分割 - 次の三角形の面積を「AC上の点Dを通る直線」で二等分したいと思います。 - みつけてください。 |#00040-0627-05| -上記では,ためしに精度の違う図を複数用意してみました。 -特に整数値の場合,ほんの数分で全員が答えを見つけると思います。 -きっと,「そういう場所をGCなどがなくても見つける方法をさがせ」となるのでしょうね。 -でも,きっと私が春日井高校で失敗したように,「何をしていいかわからない」子どもが大半になると思います。 -みなさんだったら,数分で解けますか? **** それを避けるには - **** なんでそんな問題を考えたいの? - 「兄弟で,ケーキをわける」という文脈でいくなら - あるいは,「兄弟で遺産の畑をわける」という文脈でいくなら - 「辺上の定点Dを通るようにしたい」を必然性と感じるようにするには -- 「イチゴ」とか「井戸」とかを追加する - みなさんだったら,「内部」にも持っていけますか? -- たぶん,とっても難しい。存在するかどうか,いくつの解があるかをGCで実験することはできそうだけど, 構成するのはきっととても難しい。 **2.7 Euler線の証明 - 前回,「どれがどれ」に関連して,「Euler線」のことを,ちょっと扱いました。 - これは証明は難しいので(数学Aの「研究問題」クラス),「発見」するところまでしか扱いませんでした。 - 数年前,名古屋中に勤務し,GCの授業研究会を担当することになった近藤先生は,「これの証明を中3で扱いたい」といいました。 - 「やめとけ」と助言しましたが,「やりたい」とのことでした。 - 授業者が「やりたい」というのだから,協力者としては,「可能性を模索」しないわけにはいきません。 - 必死に考えました。 - 三つの可能性を思いつきました。 ***(1) 初等幾何的な証明 **** 特殊解として「直角三角形」を使った一般解としての証明 - 数学Aの教科書などにある証明を「読んで理解する」のが入り口になりますが,簡単ではありません。 - しかも,「読んで理解するという受け身的な学び」は,うれしくありません。 - どこかに「発見」を見いだし,そして,「証明を考える」ことをしかけていきたいのです。 - 「一般の場合」に使える「特殊な場合」を見いだすことを想定しました。 - ちなみに,補助線を次のように追加すると,これでokといいたくなりますが,だめです。 |#00041-0627-06| -みなさん向けの課題としては,「どうしてこれではだめなの?」という投げかけもアリでしょうね。 -実際,web上のちゃんとしたサイトで,上記の感じの証明が掲載されていて,「それを発表した学生」もいたくらいです。 -授業の中でも,何が前提で,何が結論かということをきちんとおさえないといけません。 -「正しく図をかいてしまう」と,「そうなってしまう」ので,実は証明をするには,「正しくない図を使う方がいい」のも,よくあることなのですけど。 **** 使った図(再構成) -実際に使った図とはたぶん違います。 -そのストーリーを踏まえつつ,みなさん向けに作るとしたら,下記のようなものが作れるだろうと再構成しました。 |#00042-0627-06| -みなさんだったら,解決できるでしょうか。 -実際の生徒の様子はどうだったと思いますか? ***(2) ベクトルを使った証明 -証明としては,実はベクトルを使った証明がもっとも簡単です。 -あるいは,OH=(OA+OB+OC)ということを知っていると,「自明」ですらあります。 -そもそも,幾何的な定理に関して,「計算で処理したい」と思うなら,複素数を使うのが一番適切で,その次がベクトルでしょうね。 -でも,「計算したら,一致した」だけでは,なんか「計算練習」という感じが強く,そもそも,「そういう定理を発見する喜び」みたいなのをどう扱うのかが,問題になるともいえます。 -そういう意味で考えると,現象として観察したあと,「Hの位置ベクトルはどういう表現ができるはずなのかな」を考え,G=(a+b+c)/3 をもとに「考えてから証明する」という路線もアリなのかもしれません。 ***(3) 私の〇心は,あなたの〇心 -垂心の初等幾何的な証明って,知っていますか? -二通りくらいあるかと思いますが,「私の〇心は,あなたの〇心」というテーマで名古屋中で扱ったことがあります。 -その応用版として考えると,次の図をうまく動かし,また重ねると,.....Euler線も「そりゃそうだ」と見えてくるんじゃないかな。 -かなりトリッキーともいえるので,実践してみたことなど,ないですけど。 |#00045-0627-08| *3. 三角形の内角の和 - これは, 今年の3/16に,附属名古屋中学校で,私が行った実践です。 - 名古屋中学校で授業をしたのは,2003年に続いて2回目でした。 - もともと,高校での出前授業等でも取り組んだのですが,「なかなかむずかしい実践」でした。 - 最初,別のクラスで取り組みましたが,少し修正して,本実践に取り組みました。 - 当初,「大学生」としてのみなさんだったらどう取り組むかをチャレンジしてみたいと思いましたが,ちょっとスタンスを変えることにします。 - 上記の事例を重視するなら,「授業の中では扱わない」かもしれません。 **3.0 出発点(ある小学校の先生のお悩み) -もう20年くらい前になるでしょうか。 -ある小学校の先生が,こんな悩みをきかせてくれました。 -- 「どんな三角形でも,内角の和は180°になる」ということを,子どもに実感させたいと思うのです。 -- 「すきな三角形をつくりましょう。次に分度器で三つの角を測りましょう。それを足すとどうなりますか」ってやりました。 -- 「全員が180°」というのを踏まえて,「だからどんな三角形でも,内角の和は180°なんだね」としたいと思ったのです。 -- でも,毎回いるんですよ。180°二ならない子が -- (私)多少はいますよね。どうしても誤差があるから -- 一人や二人ならいいんですけど,けっこう多いんです。 -- (他の先生) 「だからさ,最初に配る三角形の角の大きさを工夫しておくといいんだよ。ぴったり70°とか,40°ってなるような。そうすると,全員うまくいく。」 --(全員)「なるほど」 - みなさんだったら,この先生の「お悩み,どう感じますか?」 -私はそのまま放置して,20年くらいが経過しました。 **3.1 問題 - 定規で引いたり,分度器を使うのではなく,「正確」にしたらいいですよね。 - 下記はGCで作図し,測定した図です。 - これだったら,「いつも内角の和は180°」っていえるはずですよね。 - どうでしょう。 |#00043-0627-07| **3.2 事実の発見と,「理由」の推論 - きっと,「見つけてくれる」と思います。 - そして,「そんなことが起こる理由」も,きっと見つけてくれると思います。 - 次に,なにかを考えたくなってほしいのだけど,....みなさんは「なります」か? **3.3 「定規・コンパス」では問題にならないことだけど,「GCだったら問題になる」のでは - 少なくとも「開発者としての私」は「やばい」と思うわけです。 - 利用者は,「こいつはちゃんとやっている」ときっと思うでしょう。 - 定規・コンパスは,「自分がやっても,どうしたって誤差がある」ことは実感するので,「小学生がやるなら,そりゃ,誤差はあって当たり前だよね」と気にしないはずだけど,「デジタルになった瞬間に,信じてしまう」のではないでしょうか。 *** もちろん,「ちゃんとやれ」といえば,「ちゃんとやる」 |#00044-0627-07| -もちろん,「ちゃんとやれ」といえば,上記のような感じで,「ちゃんやります」。 -でも,逆に,「おかしな現象が起こっている」ともいえますね。 -では,「教訓」として,「ユーザーは,和を考えたいときには,ちゃんと数式機能を使え」というべきなのでしょうか。 -大抵の場合,それは便利だけど(暗算しなくていいから), 「暗算をしてはいけない」なんていう不合理なことをいうデジタル機器なんて,「自分が管理されていくようで,私はうれしくない」です。 *** 問題の所在はなに? - そういう現象って,「よくある」ことなのでしょうか。 **3.4 「どれくらいの確率」で発生するの? - 「存在しうる」ことがわかった段階で「おしまい」というのも一つの手です。 - 「めったにない」なら,そんなこと気にしなくてもいいですよね。 - 「めったにない」のかな。 - たとえば,和が180になる二つの数を考えるとき, 100.5 と 79.5 だと和は181になるから,「あります」 -- でも,実はそんなことは,めったにありません。(ほぼゼロです。なぜでしょう。) - そこでまず,「ちょっと調べてみる」わけです。 -- みなさんも,適当に図形を動かしてみてください。 -- 見つかりますか? - ... -- 意外に「ある」んですよね。 - 「デジタルだから正しいはずなので,あるはずがないと思っていたのに,それなりにある。」 - これは「無視できない」 - 「ちゃんと考えるに値する問題だ」という認識は,だいたい,これまでのどんなときでも,到達できました。 - じゃあ,どうする? **3.5 「よくある提案」とその結果,そして,....「え,それで満足しちゃうの?」「まだこれからじゃない」「え,だめ」 - 「どうする?」と質問すると,大抵は次の答えが返ってきます。 - 「たくさん調べればいい」 - 「どうやって?」 - たとえば「みんなが10回ずつ調べて,179, 180,181になるのが何回になるかを全員分合計したらいい」 - で,やってみると,それなりの答えが出ます。 - 私は,そこから「これって,ただの統計だから正確とはかぎらないよね。数学的にちゃんと考えようよ」としたいのですけど,.... - これまでの多くの場合(公開講座,高校での出前授業など), 「もういいんじゃない?」という空気が支配的になります。 - まあ,たしかに,一つの教訓として次のようなものを実感でき,それはそれでも悪くはないんですけど。 -- 「デジタルの数値だからといって,鵜呑みにして信じてしまうといけない」 -- 「だまされないための,いくつかの方法を身につけておこう」 - みなさんは,そこで満足しておしまいですか? **3.6 3/13の名古屋中での実践では,少し強引な流れにした *** 注目すべき対象を「角の大きさ」としてしまうと,うまくいかない - 「こういうこと」って,「何に注目すること」が本質的なのでしょう。 - 三つの「角度」なのかな。 - 角度「全体」なのかな。 - その一部なのかな。 - その様子を,「記録」したり,「どんなときにおかしなことが起こるのか」を考えたいよね。 *** 注目すべき対象は,3つではなく,本質的には2つだ。 - もともと,和は180のはずなので,∠C = (180 - ∠A - ∠B)だから,「きまってしまう」 - そういう意味で,∠A, ∠Bに関係することだけに注目すればいい。 *** 紙の上にプロットしよう - みなさん的には,「散布図」をつくりたいと思うのです。 - ここも,「測定値」をもとにプロットするという方法と,「ここだったら,こうなる」と仮想的な場合を考えながらプロットあるいは領域分けをしていく方法とありえます。 - 細かな話になりますが,名中実践の前に行った,熊谷西高校での出前授業では,「179,180,181のそれぞれを考えよう」として,ある意味,失敗しました。 - そこで,名古屋中では,「181になる場合に注目しよう」と指示をしました。 - 「181になるのは,どういう場所(エリア)でしょう。 **3.7 名古屋中では,最初のクラスの実践でのことを踏まえて,本実践では軌道修正をした。 - 本来「生徒にまかせる」スタンスでいきたいと思ったけど,任せすぎてしまうと,時間(50分)が足りなくなることと,違う方向に流れていく可能性が高くなるので,若干強引にした部分が増えました。 - 「181°に注目するために」,....(授業の中でのある生徒の発言を拾って,....) - なんとか,形になりました。 **3.8 「提案授業」としての提案内容 - 身近な現象を観察することで,数学的に探究するに値することを発見し,解決するというプロセス - 中学校・高校までは,「同様に確からしい」根元事象に注目し,その場合の数による思考という,有限の確率モデルでの確率しか扱わないが,ここでは,連続変数での確率モデルを扱っている。 - デジタルに接していく中では,様々な現象を扱うはずだけれども,ビッグデータとの関わりでは,離散モデルだけでなく,連続モデルや分布を考えることが,現実には多くなっていくはず。 - それらを統計的に扱うことの方が多いだろうけれど,数学的に処理できる,かなりシンプルな現象として位置付く - 今回は,3つの数(角)だけれども,4つ以上の場合にも発展可能な現象 - また,「小学校の先生のお悩み」に関しては,とても納得のいく解釈が成立することを理解するのも,....悪くない。 **3.9 みなさんにとっては,どう理解されたでしょうね。 *4. 課題 - 4.1 学びネットのフォーラムとして,次のことを掲載しますから,次回までに書き込みをしてください。 -- 「生徒目線と教師目線」(必須) -- 感想など(今日の授業,飯島担当分全般,授業ビデオ,動画開発のためのネタ,その他)(任意) --- メール(yiijima@auecc.aichi-edu.ac.jp)でもいい。 -4.2 zoomでの「授業コンセプト動画」の提出 - 締め切りは7/7(月)9:00 。 - 7/7 12時には,サーバ上に集約し,アクセスできるようにしておきます。 -4.3 zoomの作品についてのコメント -学籍番号順にソートしたときに次の番号の動画に関して,コメントをかくことを課題としたいと思います -- 自分の番号の「前」「その前」,..,「...前」で,合計5人分(もちろん,マイナスになったら,「最後」になり...) -- つまり,デフォルトでは前回コメントしてくれた方に,コメントする感じになります。 -- 観点 --- (1) 語っている内容について --- (2) 撮影の仕方や発音,表現,その他動画作成のためのノウハウについて --- (3) その他,気づいたこと,気になったことなど - 書き込みの締め切りは できれば7/11 遅くても 7/17(木)までに。 - 私からのコメントは,「その後」に,と思っています。 -- なお,「これはさすがに再提出する必要がある」と思う場合は,その前にコメントしますけど。 ----- *A.付記 **A-1. 「授業ビデオ」 - 6/20の授業ビデオは,3種類作成してみました。 -- (1) 20250620-yiijima-c2-3CAMs-3WAVsA.mp4 --- これは,カメラ3台の映像と,それら3台のマイクの音声をそのまま合成したものです。 -- (2) 20250620-yiijima-c2-3CAMs-ICwav.mp4 --- これは,カメラ3台の映像と, 教卓においたICレコーダの音声を合成したものです。 -- (3) 20250620-yiijima-c2-3CAMs-WAV_LIC_Rbk.mp4 --- これは,カメラ3台の映像と, 左チャンネルにはICレコーダの音声, 右チャンネルには後ろにおいたカメラの音声を合成したものです。 -- ビデオカメラの「音」の特徴 = 1/30秒ずつ --- ビデオカメラの映像は,1秒に約30コマで,「合わせる」には,このコマ送りで合わせるため,最大1/30秒のズレが確実に発生します。 --- 逆に,音声だけのデータになっているものは,かなり細かく調整することができます。 --- そういう意味で,(1)は集録したデータをほぼすべて反映できるけど,どうしても「聞き取りにくい」部分が発生します。 --- ICレコーダだけならば,授業者の発言はかなりクリアにとれますが,生徒の声などは拾いにくくなります。 --- もっとも離れた場所の音声を使うとともに,左右2チャンネルに分けてみたのが(3)ということになります。(でも,やっぱりちょっとずれているかな。さらにとなると,シーンごとに音や映像を切り換えるような「編集」が必要で,それはとっても大変。) - これは一つの「実験素材」として比較してもらうために作ってみました。今後みなさんが授業等をなるべくリアルに記録したいと思うときに利用してもらえたら幸いです。 - 実際,「映像」よりも「音」はむずかしいのです。 **A-2. 今更かもしれないけど - 4回のことを踏まえると,「次の本」の読み方も,きっとかなり変わってくるかと思います。よかったらぜひ。 --飯島, 「ICTで変わる数学的探究」,明治図書,2021 --@@https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-324425-3,明治図書にて **A-3. GCに関するいろいろな資料の出発点はwebに -@https://www.yiijima-gc.org/,https://www.yiijima-gc.org/ **A-4. 次の場合は,....まずいよ - 事前の連絡もないまま,「動画提出」を期限までに提出しない。 - まなびネットに,これまで,ほとんど書き込みをしていない。 **A.5. 次の場合は,配慮の可能性はあります。 - 「動画の提出」は遅くなってしまいそうということを事前に連絡し,作品をみるとたしかに努力の様子を実感できる場合。 -- ただし,4コマに対する課題としては,「そんなに多くの時間と労力をかけるもの」を求めてはいないです。 - 動画のクオリティ(映像としてのきれいさなどではなく,授業のコンセプトとして)には問題があるけど,それまでのまなびネットでの様子や,授業への参加の様子などを踏まえたとき,「努力している」様子を実感できる - 動画での授業コンセプト作りは苦手だと思う方で,「代替課題」を思いつき,それで評価してほしいという方は,事前に相談してください。 -- ただ,みなさんの多くは教員,つまり日々授業をつくる方を目指していると思うので,そんなに悪い課題ではないと思うけどね。 - 基本的に,GCを使うことを想定してはいますが,たとえば,GeoGebraなど,他のソフトを使う方が,自分の表現したいことを表現できると判断されるなら,それでもいいです。 -- パワポで,静止画での解説をするというのは,ちょっと違うかなと思います。 - 「気になること」があったら,いつでもメール等で相談してください。 **A-6.「小中学校の先生になる」場合でも,「大学レベルの数学を体験しておく方がいい」ということについて - 押しつけをするつもりはありません。 - でも,「この4回の中で,ちょっとそういうことを実感してくれる」とありがたいと思います。 - つまり,「もっと上の世界,もっと広い世界の中で,みなさん自身が学んだり,体験していないと,こどもの学びを設計することなんて,たぶんできない」のです。百歩ゆずって,「きめられたことを,きめられた通りに教えることしかできない先生」でとどまってしまうのではないかな。 - もちろん,「きまっていることをきちんとできる」だけでも,それはすばらしいことなのですけど。みなさんなら,きっと「もう少し上を目指せる」。そう期待しているので。 **A-7. 授業ビデオについて *** 近藤実践(Euler線) -中3の1時間でEuler線の証明を扱っています。 -この時間の準備として,重心や垂心の学習も必要となるため,この授業のために全体としては5時間くらいの構成になっています。 *** 伊藤実践(共同井戸) -iPadなどタブレットが登場する前に,ネットブックというPC(1台あたり3-5万程度)が登場し,普通教室でグループに1台での実践が可能になった時代の研究授業です。 -GC/htmlはまだ未開発で,GC/javaを利用しています。 -このときの授業ビデオはDV企画ですが,撮影チームによる撮影と編集による映像で,かなり「見やすい」映像になっています。 *** 飯島実践(三角形の内角の和) - 2025/3/13に名古屋中で私が行った研究授業です。 - お世話になった方々に集まっていただいた,いわば「最終授業」を,附属でさせていただいた感じです。 - 名古屋中で自分自身が授業をしたのは,これが2回目でした。 - 今回,音声に関して,5カメラ全体をそのまま重ねたものと,1台の音声だけをいれてみたものをつくってみました。