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*0.はじめに **0.0 インフルエンザの影響で,一定数の人が「欠席」 - ご存じと思いますが,インフルエンザ等の感染症は,「来てはいけません」。 -- そのため,「特別欠席扱い」になります。 -- 正式には,「教務企画課に,診断書等を提出」→「関係する授業担当者に連絡」→「1/3の出席要件とは無関係の扱い」 -- そういう意味では,「欠席に伴って不利になる」ということは,できるだけさける仕組みになっています。 -- しかし,たとえば,この授業の中では,「レポート提出の課題」が4回あり,それは直接評価に関わりますから,そのレポートを扱う授業で欠席した場合,「提出の延期」等はもちろん許容しますが,「出さなくていい」ということにはできません。 - 「今日」は,そういう回。 -- やはり,インフルでの欠席連絡も来ているので,「欠席した方でも,レポート作成に困らないように」しておきたいと思います。 -- なお,今日はレポート作成は3回目。最後の4回目のレポートは,測定に関連して行う予定です。(はやければ次回)。 - 備考 -- 高校にはあった,「公欠」という概念は,大学ではありません。 -- たとえ,インカレ等の大会で欠席という場合でも,それは「個人の責任と判断」で行うことになりつ欠席になります。感染症は,他の学生・教職員への影響があるので,特別欠席という扱いになります。 *0. 1. 今日の「ねらい」は多様で,.... 図形(4) / しきつめ, そして,「動的」さらに,「ICT活用」 - 本来数回にわけてもいいんだけど,一回にまとめているという感じですね。 - それぞれ,「私が担当する」から,少し深く,詳しく,そして体験的に扱う,という特徴があります。 *1. 「しきつめ」 **1.1 算数の教科書の中で扱われている「しきつめ」 - 算数の話題として,「あっさり」扱う先生は,ささっと扱っておしまいかもしれません。 -- 「算数として,重要なことはなにでしょう」(これが抜けてしまっているとしたら,下記のことをやる意義は,算数としてはよくないことになるでしょうね) **1.2 教科横断的な教材の代表としての「しきつめ」 - 「算数以外の教科との関わり」が,この話題は,多いのです。 -- 理科 -- 図画工作 --- ものづくり的な,「技術科」的な側面 --- 美術的な側面 - それらとの関わりを強調することは,冒頭で想定している知識の強化だけでなく,次のことを意味します。 -- 算数・数学の有用性 -- 他の数学的概念の応用の場 (点対称など) **1.3 他に - 生活の場面での必然性から,「そういうことを算数で考えることの妥当性」の理解 - (多くの場合)「予想」に反する結果 - 「操作」による理解や納得 - 「操作」でアイデアを表現する / 「操作」に算数的な意味づけをする **1.4 「実際」に,模擬授業的に扱ってみましょう。 - 出発点は... 天井かな。床かな。地面かな? - 予想は? - 実際にやってみよう。 -- 選択肢(1) もともとできているタイルやパネル -- 選択肢(2) 「その場でつくる」(今日はこれ) -- 選択肢(3) タブレット上のアプリ (後述) - 普通の算数の授業としての「まとめ」は? **1.5 突破口(1)
-他にも,こういう形, つくれるんだろうか。 **1.6 突破口(2) -@https://mcescher.com/, エッシャー --@https://www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/escher,豊田市美術館にも来ていたのね。(2024) -- 日本人,エッシャー好きなので,ときどきあります。展覧会 -「しきつめ」だけの技法で作品をつくっているわけではありません。 -「Day and Night」は,しきつめ(テッセレーション)と「モーフィング」の両方を使っています。 -エッシャーは,友だちに(有名な)数学者がいて,その影響で,数学的な意味のある作品をいろいろとつくっています。 -「しきつめ」は,その中でも,小学生でも理解し,また応用可能なものでもあります。 **1.7 「同じような作品をつくろう」という試み -かなり昔から,「同じようなしきつめの作品をつくろう」という試みは,海外でも,日本でも,いろいろな先生が取り組んできました。 -インターネットがはじまった1995年頃にも,ネット上で,「手書きの作品の展覧会」もありました。 **1.8 「同じような作品を手軽につくる」ためのソフト・アプリ - 当時,Escher web sketch というJavaアプレットもありました。 --@https://www.epfl.ch/schools/sb/research/iphys/teaching/crystallography/escher-web-sketch/,これがそうかな? - 私のゼミでは,もっと簡単に使えるものとして,「しきつめ君」というのを,何世代ものゼミ生が取り組んでみてくれました。 -- 下記は,「今でも使える」バージョンです。 -@http://iijima.auemath.aichi-edu.ac.jp/ftp/kanda/shikitsume/,しきつめ君/JS -- 実際に使ってみてください。 -- もちろん,保存も可能です。 -- 紙の上で取り組むのと,どういう点が違うのでしょう。 -- タブレットが文房具に変わった今,「こういうアプリ」として,どういうものがあると,小学校での学びを豊かにできるのでしょう。 *2.タブレット時代のICT活用に関連して **2.1 GIGAスクール構想「以降」 - コロナ禍で,さまざまなことが加速されました。 - その一つが,GIGAスクール構想の前倒しです。 - 去年から小学校で,また今年からは,中学校で,「GIGAスクール構想対応」の教科書に変わりました。 -- 具体的にいえば,多くの教科の教科書で,QRコードがたくさん用意されるようになり,教科書のQRコード経由で,いろいろなアプリや動画コンテンツ,また,復習のためのコンテンツなどにアクセスできるようになりました。 -- ただし,それは「教科書だけ」つまり「無料でも行える」世界です。 -- 有料版の,デジタル教科書もあります。これは,自治体が予算を確保するかどうかで,変わります。 -- クラウド上に開発された,さまざまな教材を提供する業者もあります。これも,自治体等が予算を確保するかどうかで変わります。 -- Google Clssroomなどのように,先生方がさまざまな教材開発をすることも可能です。いずれ,みなさんには期待されるのでしょうね。「使いこなすこと」が -- ネット上には,さまざまなリソースがあり,それをうまく「選択,編集し,使いこなしていくこと」がもとめられると思います。 2.2 図形に関して「動的」を実現する「動的幾何ソフト」というのがある - 図形に関して,「静的」な見方と「動的」な見方があります。 - 実際にモノでつくって動かす,ということもあるけれども,もう少し広い意味です。 - それを「ソフトで実現し,理解しやすくする,実験しやすくする,探究しやすくする」ということは,すでに1990年代から行われてきました。 - 私も,愛知教育大学に来て以降,ずっと,研究・開発をしてきました。 -- 具体的には,GC (Geometric Constructor)というソフトで,1989年の初版以降,4つの種類があります。 -- この動きは,世界的なものであり,さまざまなソフトがいろいろな国で開発されました。今一番元気をソフトは,GeoGebraです。 -- 国内のいろいろな学校で研究授業を行いましたが,もっとも活発に,そして継続的に取り組んできたのが,附属名古屋中学校です。 2.3 中学校のすべての教科書では,動的幾何のコンテンツが扱われている。 - 愛知県・名古屋市で採用されている,啓林館の教科書の場合,私のGCを使ったコンテンツが約30個使われています。 --@https://digi-keirin.com/js25/jsugaku/25jsugaku3/25jsugaku3a_14301_r.php,中3の例 --@https://digi-keirin.com/js25/jsugaku/25jsugaku1/25jsugaku1a_16601_r.php,中1の例 - 他の教科書会社では,それぞれまた別の形で開発され,利用されています。 - 啓林館のデジタル教科書では,GCを使ったコンテンツは130個くらい用意されています。 -- デジタル教科書には,教師用,学習者用があります。 2.4 動的幾何ソフトそのものは,公開されているものが多いです。 - 私のGCの場合は,下記で公開しています。 --@https://yiijima-gc.org/, https://yiijima-gc.org/ - GeoGebraは,下記 --@https://www.geogebra.org/,https://www.geogebra.org/ - 啓林館以外の教科書では,独自開発したものを独自に商用に使っているケースが多いので,公開されていないのが普通です。 * 3. 「動的幾何」が実現するものは,まだ今の教科書にうまく取り入れているとはかぎらない ** 3.1 「道具」をかえると,思考や活動が変わる - 「しきつめ」の例でも実感してもらったかと思いますが,紙で扱うのと,「しきつめ君」で扱うのでは,そこでの活動や,算数的な意味での「思考」あるいは,図画工作的な活動や思考が大きく変わります。 - 図形指導の中で,「紙」はとても重要で,なくなるはずはありません。 - 一方,紙では無理で,動的幾何だからこそ可能なことも,実は少なくありません。 **3.2 学習指導要領などは,「GIGAに対応しているわけではない」 - 学習指導要領は,「従来の道具」での学びに最適化されています。 - 時代とともに,今後も変わっていくでしょうが,その変化の様子は,かなりゆっくりです。 - 教科書のQRコンテンツとして使われているものは,「今の教科書での扱いに適している」から載っているものですが,「動的幾何のよさ」は,それだけに限定されるものではありません。 **3.3 それぞれの教科に関しても,同様のことが「ある」 - 私が附属高校で拝見していたときには,「体育科」で,iPadをうまく使っていました。 - ダンスや体操の様子を動画撮影していましたが,「ただみる」のではだめで,「みるべきポイントの指導」がとても重要でした。 - 書道の筆遣いをICTとの連携で扱っている取り組みもありました。 - 「大きな変化」を意識していたのは,英語科です。 - もちろん,理科ではさまざまな実験道具のよしあしによって,できることが大きく変わります。 **3.4 「どんな学びができるの?」を,もっと広く探ってみることは,きっと「いい」。そして,子どもたちの体験や学びにとって「最適なもの」を選択したり,編集するスキルが,未来では不可欠。 -と,思いませんか? -これまで扱ってきたのだから,今後も扱うという、伝承文化的な側面も,学校教育にはあります。 -一方,子どもにとっての未来の生活の様子から逆算して,目の前の子どもたちにとっての「未来からの逆算としての,今の学び」を設計し,実装するという側面も,学校教育にはあります。 *4.課題 - 下記のことに取り組み,それをwordにまとめ,まなびネットに提出する。 -- 期限は,年末まで - (1) 「しきつめ」に関して --1.1 作品 --- しきつめ君/JSを使って,「作品」をつくり,保存してください。(なお,学籍番号の末尾3桁を含めて保存してください) --- エッシャーのような,しきつめの技法を使った「作品」を一つwordにはりつけてください。 --- 上記のしきつめ君/JSでつくったものが「満足のいくもの」であれば,その画像をはりつけてもいいです。 --- ちょっと満足いかないので,他のソフト等を使いたいと思ったら,それを使ってもいいです。(使ってソフトとurl等を示してください) --- 手書きなど,別の方法がいいと思う方は,それでもかまいません。 --1.2 考察 --- しきつめ君/JSを使った作品つくりで,「よかった点」「改善されるといいと思う点」 --- 紙を使った方が「適切」と思われる点 --- 算数と図画工作等との教科横断的な教材として,「しきつめ」について,どう感じたか。あるいは,同様またはそれ以上の効果がありそうと思われる教材例 -(2) 「動的幾何」に関して --2.1 体験する --- GC/html5の「try」にある事例の中の,少なくとも一つに取り組んでみる。 ---@https://yiijima-gc.org/index_try.htm,https://yiijima-gc.org/index_try.htm --- どの素材を選択したか --- 「どうだった」/ 問題の意図は通じたか,活動できたか,よい点,よくない点などについて --2.2 考察 --- きっとこれからの算数・数学の中では,こういうコンテンツを使う取り組みが増えていくことが予想されます。 --- 「どういう指導が可能になる」と思いますか? あるいは,「どういう指導に使いたい」と思いますか? --- 一方,これまでになかったリスクも発生すると思います。 --- 子どもはどういうところで戸惑うと思いますか? 先生として,どういうサポートをしたいと思いますか? -(3) 授業でのICT活用について --3.1 これまでを振り返る --- これまでのあなたの学びの中で「これはいい」と思った,ICT活用の事例を(簡潔に)紹介してください。 --- これまでのあなたの学びの中で「これはいい」と思った,算数が関わる教科横断的な教材を(簡潔に)紹介してください。 --3.2 未来を展望する --- 算数とあなたが得意な教科等との関わりを深める上で,どういう話題を教材化できるといいと思いますか? --- それをより容易に子どもが取り組めるようにするためには,どういうリソース(ソフト,データ,その他)があるといいと思いますか? *5.付記 -来週のこと - 来週は,「測定」に関して取り組みたいと思いますが,「外」で行うので,天候不純の場合には,延期します。 -- 「測定」に関しては,いくつかの活動を行い,それをレポートとしてまとめて提出することを基本とします。 -- 基本的には,二人一組で,測定している様子を撮影しながら進めていくことになります。 -- 今回同様に,欠席した方は,後日レポートを提出することを想定しますが,授業の中での取り組みとまったく同様に取り組むのはむずかしいと思うので,少し違う課題を提示することになると思います。