*0.はじめに **0.A 「動画の課題」についての質問について -下記のようなメールをいただきました。 --木曜1限の中等数学家教育法CIIの動画課題についてなのですが、提出するべきものはどんなものなのか分かっておらず、友達にも確認してみたのですが、わかっていない子が多く、みんな疑問に思っていました。 --「質問した」ことは,「すばらしい」と思います。 --- 実際,質問もしないまま,「疑問に思っているみんな」がいるということですから。 --ただ,最初の回から,この4回の中で,みなさんが最終的に取り組むべきことは明示されているので,「何をしたらいいのかわからない」としたら,特に前回は「次回までに」といわれているのですから,授業の中で疑問が出されないことに関して,「大学生としての成熟度はまだまだですね」と思います。 -もちろん,「みんな疑問に思っている」ような,理解不足のままにしてしまったのは,私の責任なので,メッセージで流すだけでなく,webに掲載しておこうと思います。 *** 「最終的なねらい」は,「授業コンセプト」を動画の中で語ること -そもそも,「ICTを使った授業」って,「ドリル」とか,「パワポでの解説」と思っている人が多いのではないでしょうか。 -「そういう使い方がある」のも,「そういう利点がある」のも,たしかです。 -しかし,「動的幾何ソフト」など,「対話的なソフト」の利点は,異なるところにあります。それを体験し,その利点を生かした授業を行える入り口くらいまでいけるようにすることが,この授業のねらいです。 -「プランをつくり,表現してみること」「それを互いに共有しあい,議論しあうこと」で,「受け身的に説明を受ける」だけとは違う理解を行えると期待しています。 *** 今回のねらいは,「自らの体験を表現すること」 -生徒に数学的活動を求める授業をする上で,そもそも「そこで想定している数学的活動」を自分自身がわかっていないと,そんなことはできるはずがありません。 -「自分自身の体験」を語ってみることによって,「生徒はこういう数学的活動をするはずだ」ということへの理解を表現することが,今回のねらいです。 -「どういうことが,数学的活動なのか」の具体的な理解は,11/13の模擬授業などが,一つのサンプルになるはずだと思います。 *** 「観察」は,「事実」と「推論」の両輪で深まっていく - 標語的にいえば,こういうことではないでしょうか。 - 「見せたらわかる」なんていうものではありません。 - 前回も,「四角形でも,4辺の中点を結んだ四角形は,平行四辺形」と,教科書の図をみて,思ったと思います。実際に動かしてみることで,「どんなときも」と思ったはずです。「台形のときにひし形ができることもある」という事実をきっかけに,一般の四角形のときにも,普通の平行四辺形ができるだけでなく,特別な四角形が「あるかもしれない」と思ったり,「長方形はできるはずなのだろうか」と思って,操作をすると,「見つかりました」よね。外側の四角形が長方形でなくても,中はひし形になることがありましたよね。等脚台形のとき以外にも,名前のない四角形でもなりましたよね。「これらはどういう特徴をもつ四角形なのだろう」と考えるとき,「この問題の鍵は中点連結定理だ」ということがわかっていると,「補助線として対角線をかくとよさそうだ」と思い,「親の性質が子に遺伝する」というような感じで,親,つまり対角線の長さが等しいと,子,つまり4つの辺の長さがひとしくなる「はずだ」と思いましたよね。 - そういうことを,具体的にしながら,理解を進めていくことが,「動的幾何ソフトを使った数学的活動」にはあることを,みなさんは体験したわけです。 - みなさんが選択した問題に関して,似たような数学的活動,あるいは,ことなった種類の数学的活動として,どういうものがあると,自分は体験したのか,見いだしたのか,それを動画の中で,「図形を具体的に動かしながら語る」ことが,今回の課題なのです。 - それは順当にいけば,「そういう活動を生徒がすることが中核になるような授業」を,次は教師目線で語ることが,最後の課題のクリアにつながるはずなのです。 *** 具体的な動画の例は -四角形の4つの辺の中点を結んでできる四角形の問題に関しては,いろいろな観点でつくった動画が下記にあります。 -@https://yiijima-gc.org/casestudies/cs_002.htm,https://yiijima-gc.org/casestudies/cs_002.htm -次回の授業で扱う予定でしたが,一点を共有する二つの正三角形に関することに関する動画が下記にあります。 -@https://yiijima-gc.org/casestudies/cs_003.htm,https://yiijima-gc.org/casestudies/cs_003.htm -この授業では今後扱うもの,扱えないものも含めて,「探究」に関することを解説した動画などが,下記にあります。 -@https://yiijima-gc.org/,https://yiijima-gc.org/index_basic.htm -扱うべき問題に困ったら,たとえば,GCに関連した問題例は下記にあります。 -@https://yiijima-gc.org/index_try.htm,https://yiijima-gc.org/index_try.htm -本を参考にしたかったら,下記があります。 -@https://yiijima-gc.org/index_support1.htm,https://yiijima-gc.org/index_support1.htm -名古屋中で行ったいろいろな研究授業についてしりたければ,下記があります。 -@https://yiijima-gc.org/index_support3.htm,https://yiijima-gc.org/index_support3.htm -図書館にも所蔵されている「数学教育」という雑誌では,もっと短いものの連載として,下記があります。 -@https://yiijima-gc.org/index_support2.htm,https://yiijima-gc.org/index_support2.htm *** 最後の「授業コンセプト動画」のサンプルは -第一回目の最後に,中途半端な形でしかできなかった「九点円」に関する,授業コンセプト動画の例が,下記です。 -@https://www.youtube.com/watch?v=BYottv62-gk,https://www.youtube.com/watch?v=BYottv62-gk *** その他 -その他,いろいろな目的で作成した動画が https://yiijima-gc.org/ の中に収録してありますが,それらの一覧は,下記でみることができます。 -@https://www.youtube.com/@yiijima-gc/videos,https://www.youtube.com/@yiijima-gc/videos *** それでも困っていたら -上記のリソースがあっても,困っている場合,まず,「この事例を扱おうと思っているのだけれど」という問題例と図の例を示しながらメール等で相談してみてください。(対面でもかまいません) -もしかすると,「その事例が適切でない,あるいは,事例に関する探究が深くない」ことが原因かもしれません。 -どんな問題例でもうまくいくというわけではありません。 -この問題の正解はこれ,ということしか念頭にないと,きっと解説しかできません。 -そこを切り換えていくことが,この授業の大きなねらいなのです。 **0.0 「4週間」の進め方(再) *** 内容を中心に - 「今の教科書」を出発点に - (*)動的幾何ソフトでできること(1) 「いろいろな場合を調べる」「条件変え」とは - 動的幾何ソフトでできること(2) 「軌跡」とは (二つの側面) - 動的幾何ソフトでできること(3) 「複素数」や「問題の発展的な扱い」などについて **0.1 みなさんが選択した問題についてのコメント ***全般的なこと - みなさんから提出された課題は,どういう意味で「動かす価値がある」のでしょう。 - webにある「入試問題等」を適当に探しただけで,計算問題であったり,証明問題であったりのままの人が多いのではないですか? -- 「正解の解説」を求めているわけではありません。 - 「〇〇の定理」を探すのも,もちろん一つの手です。 --その定理に関して,動かす中で,どういうところで,「生徒の活動」がうまれると期待しているでしょう。 - 「実際に取り組んでみる」と,想定ほどの魅力がうまれないものも多いと思います。 - きっと「そこが出発点」なのだと思います。 -- だいたいの場合,「そこからの工夫や検討」から,出発するのです。 -- 必ずうまくいくとはかぎりません。あるいは,必ず動的観点が生きるとはかぎりません。 -- うまくいかないときには,他の題材に変えるのも,一つの方法です。 -「動かして調べる活動を見いだす」練習でもあります。 - それがやりやすい素材と,難しい素材があります。 -元の問題を,「他のことと結びつけながら,探究する価値」を生み出すことが必要になります。 ***個々の事例については,後述 **0.2 zoomでの動画作成について ***0.2.1 「この問題に関して,こういう探究を行ったら,こういうことがわかった」を動画にする - 今回の動画作成のねらいは,「自分の探究についての解説」です。 - 「この問題に関連して,この図についてこう調べようと思い,この点をこう動かすと,こういうことに気づいて.....」というようなことについて,解説してください。 - それは,「生徒がこの図をこう動かしながらこういうことを観察し,発見し,そしてその証明を考えるときには....」という学びの様子を考える上では,とても基本的な思考になるからです。 - それがむずかしい場合には,いわゆるYouTubeでの解説動画のように「コンテンツを使いながら,わかりやすく解説する」というのでも,アリかなとは思いますが。 -- ただ,その場合,基本的に「効率的に,わかりやすく教えること」の練習が中心で,「生徒がよい学びをするための準備」とはちょっとちがう感じが強くなると思うんですけどね。 ***0.2.2 「グループごとに共有し,互いにみてコメントしあうことで学び合う」ために - 提出期限を 11/11 10:50 とします。 - 「うまくいかない」ときには,「どういうことが障害になって,うまくいかないのか」を,提出期限までにメールにて知らせてください。 --今回は,最後の課題作成のための「準備」でもあります。 -- ハード, ソフト等の状況によって,「初めてだからうまくいかないこと」は十分にありえます。 -- 「困っている状況」を明確にし,次回は「それほど大きな負担なく作成できるようにする」ことが,今回の代替課題と思ってください。 ***0.2.3 時間は5分程度にしておきたい - 「見る」方の負担を考えると,あまり長いのは大変なので,できたら5分程度に収めたいです。 ***0.2.3 基本的に動画作成は「zoom」で - 理由は,zoomで作成される動画ファイルのサイズの小ささです。 - スマホなどで作成すると,とてもファイルサイズが大きくなってしまうので,やめましょう。 - PCのスペックによっては,動画がきれいにできないこともありますが,それは今回は気にしないことにしましょう。 - 「解説している画面」は,「画面共有」で録画できます。また,ビデオをそのまま利用することで,自分の解説している様子を小さな画面で表示することができます。 - ある意味で,「授業での解説」の練習にもなるので,ご自身の映像は入れておくようにしてください。 -- 「それはどうしても困る」という方は別ですが。 **0.3 「おもしろさ」にこだわっていいのでは / 先週みなさんに素朴に感じたこと - 「学び」というのは,大学になってもつづくのはたしかです。 - 一方,高校生までの学びと「大学生」あるいは「オトナの学び」は,少しちがうのもたしかです。 - 「こなすべきこと」を提示され,「求められることに対して,きちんと応えることには自信がある」人が多いと思います。それもそれで価値あることです。でも,ちょっとちがう景色もあると思います。 -- 「学び続ける」ことが重要な時代と言われていますよね。 -- 「求められることをこなす」「単位をとる」「資格をえる」ことも「コスパよく」「タイパよく」というのも,悪いことではありません。 -- でも,「人生100年時代」にとって,「おもしろい」っていう感覚を大切にすることは,とっても大事じゃないかな。 *** 0.3.1 みなさんの「今」からみたときの「おもしろさ」,「将来」から逆算したときの「おもしろさ」ってなんだろう。 - 「いい点数をとれる教科」というのも,否定はしません。 - 「コスパよく,いい点数をとる方法を子どもに教えて上げられる」のも,快感かもしれないし,求められることかもしれません。 - 「正解をはやく出す」こと以外に,算数・数学って,きっと「奥深く,幅広いもの」かもしれないし,「自分で発見できたり,つくれたりする」ものかもしれません。 - 「教師目線」で考えると,教室には,「いろいろな子」がいて,みんなの存在感を引き立てたいし,異なる個性だからこその「よさ」を引き出せると,きっとうれしいですよね。 - ベテランの人々は,いろいろなことを経験し,同じ教室の景色でも,違った形でみているはずです。 - ICTという新しい道具を使うと,今までとは違った世界がうまれてくる可能性もあります。 - それは,みなさんにとって,「どういうおもしろさ」を実現してくれるのでしょうね。 - 逆に,「そういう観点でみたときにつまらない」なら,もっと不満をぶつけてくれるといいでしょう。「自分の時間を,こんなつまらないことで浪費するのはいやだ」と。 ***0.3.2 「習得」「活用」「探究」という,三つの学びの類型(文科省) - みなさんは,「習得」型の学びに関しては,よく理解していると思います。 - そして,学校教育での学びは,この「習得型の学び」が中心になっていることは,もちろんです。 - 以前から「活用」のことは,話題にされてきました。 - 特に高校では,しばらく前から「探究」という言葉が標語的によく提示されるようになりました。 - でも,多くの高校の先生方はそれに「とまどっています」 - 今までの高校教育では,「大学入試で成果を上げる」ことが,ホンネとしては求められてきたし,それに忠実に「がんばってきた」からです。 ***0.3.3 「主体的・対話的で深い学び」 - 「言われなくても,自分からきちんと取り組みなさい」と言われたかもしれません。主体的に関して - それは間違っていないけれども,でも,それは「叱られない」ためではなく,「おもしろいから夢中になってしまう」ことが,根源的なのではないでしょうか。 - 附属岡崎小学校では,「本気デアレ」が校訓にあるけれど,先生方は「子どもが本気で取り組むように」努力しています。 - 逆に,ここの子たちは「つまらないと,すぐに行動に出ます」。おもしろいと,家にかえっても勝手に取り組んできます。 - そういう「おもしろさ」は,「一問一答に分断化された問題・解答」ではありません。 - でも,逆にいえば,そういう「おもしろさ」を感じたり「おもしろかったら夢中になる」感性を,みなさんはこれまでに剥奪されてきていませんか? - 「そんな余計なことをしていると,行きたい高校や大学にはいけないよ」って言われてそれに忠実に来たからこそ,「ここにいる」のではないですか? - その成果はその成果として,認めましょう。 - でも,「おもしろさ」を大切にすることは,きっとこれからの教育では大切になっていくと,とりあえず,私は思います。 ***0.3.4 ICTは何のため? - いろいろな基準があるので,難しいです。 - 特に数学教育の場合,実は他教科よりも難しいです。(一般の方にとっては親和性があって簡単そうにみえるでしょうけど) -- 「ボタンを押したら正解がでる」仕組みをつくるのは,簡単です。 -- でも,それって,「ずるい」だけだよね。教育的には。 -- あるいは,「簡単に答えが出る道具」を使うことを前提にするなら,それを使いこなして一段階上の数学的活動をする,ということだよね。 - 標語的にいうなら 「よりよい数学の授業ができる」ための脇役として使えるかどうかを,みなさんが評価し,使うかどうかを判断する,ことが重要 -- その「よりよい」基準の中に,「おもしろいことが実現できる」ということをいれるのは,大切なんじゃないかな。 -- そのためには,みなさんの「おもしろさ」に関する感性を研ぎ澄ますことが必要だと思うのです。 **0.4 みなさんからの「授業への感想」について - 後述 *1.「いろいろな場合を調べる」とは **1.0 数学的命題=「普遍的な命題」への注目 ***1.0.1 中学校以降の図形は『文字』である -教科書は紙なので,一つの図しかかけません。 -たとえば,「3」というのは,数そのものですが,「3+4+5=12」という事実からは,いろいろなことを推測可能です。 -「(n-1) + n + (n+1)=3n」と書けば,文字を使っているので,そこで発見している「きまり」を意識化しやすくなります。 -教科書の図も,もともと「そういうつもり」の存在です。 -つまり,「どんな四角形でも,....なりたつ」ことを,一つの代表的な例で「例示」しているわけです。 -教科書に掲載されている「特定の図だけ」について考えることではなく,「それを通して,いろいろな場合に成り立つこと」を考えることの方が多いです。 -そういう「どんな〇〇でも」というのを,もっとわかりやすく示すには,「動かしても,,,いつも成り立つ」方が,わかりやすいですね。 ***1.0.2 数学で扱う図は「ある条件を満たす」 -想定している「ある条件」あるいは「ある制約」を満たしつつ,一定の自由度を持つものが,幾何で扱う図です。 ***1.0.3 動的幾何ソフトでは,「図を関数として解釈し,構成する」 -関数とは,「きまればきまる」,「変われば変わる」がキホン。 -図形を「動かして調べる」ことができるようにするのは,「図形を関数としてみよう」ということ。 -- AとBがきまれば,線分ABがきまり,その垂直二等分線lがきまる。 -- Aを動かせば,線分ABも動き,さらにその垂直二等分線も動く。 ***1.0.4 GCでは頂点をつかまえて動かす。そのときに付随して起こる現象を観察したり証明したりする。 - 他のソフトの場合,線分や三角形を動かすものもあります。 **1.1 事例(1) 四角形の4つの辺の中点を結んでできる四角形 |#00043-1113-01| ***1.1.1 「いろいろな場合を調べる」には -(1) 点Aをいろいろと動かしてみる -(2) 四角形ABCDとして,どんな種類があるかを考え,組織的にそれぞれの場合を考えてみる -- 正方形,長方形,ひし形, 平行四辺形, 台形, 一般の四角形 あたりが代表的 -- これらの間には,「包摂関係」がある。(集合としては包含関係) -- 他の形を考える方が妥当なこともあるが,どういうものに注目すべきかは,問題に依存する -(3) (2)の場合,「対応表」をつくり,そこに書き込む方法もある。 - そこに書き込み,表を完成させることは,出発点になる。 - しかし,「それでおしまい」ではない。 - その結果を踏まえて「考える価値があること」(問題)を見いだしていく。 - それは,「言語活動」として表現されることが多い。 - 図の中へのいろいろな書き込みも,「表現の一つ」になる。 ***1.2 他の問題でも... - 上記のやり方は,他のいろいろな問題について同じように取り組むともできる。 - 「他のいろいろな問題」は,元の問題の「条件の一部を変えたもの」であることが多い。 - それは次に扱う「条件変えの一つ」という側面もある **1.2 事例(2) 円周角の定理と円周角の定理の逆 - 「円周角の定理」って,「円」と「定点A,B」と「動点P」に関連する命題を考えると,ちょっと不自然。 -- 「どこ」に点Pがあると,∠APBは,.... -- 「そこでない」と,どうなるのだろう。 -- つまり,Pの位置が「どういう場合」にどういうことがいえるのかを調べた結果として... |#00044-1113-02| **1.3 事例(3) 円周角の定理の証明 - これ,場合分けをしますね。 - 「特殊な場合」があって,それを利用して,他の場合を証明すると解釈することもできます。 -- そうでない考え方もできますけど。 **1.4 事例(4) 方ベキの定理 - 上記と似た側面があります。 |#00045-1113-03| *2.条件変え **2.1 事例(2) 一点を共有する二つの正三角形の問題 |#00002-1107-01| ***2.1.1 この問題の基本的な「価値」はどこにある? - きっと,最低限必要なのは,「三角形の合同条件を使った証明」についての学び - 他には,どういう点に「価値がある?」 ***2.1.2 (紙を中心に使って考えるときの)「条件変え」 - 問題文を明確にする。その条件を少し変えてみる。 - 図を変える。最初の図に続き,「次の図のように」と,変えた図を提示する。(そこにある関係は,それらから読みとることを求める。) ***2.1.3 (動的幾何コンテンツを使ったときの)「この点を,こう動かしたときに」 - 点の制約条件を「ゆるくする」(定点→直線上(あるいは円上)→平面内を自由に) ***2.1.4 (動的幾何コンテンツを使ったときの)「これを,これに変えたときに」 - 「二つの正三角形」→「二つの正方形」 |#00046-1113-04| - 作図そのものをつくりなおすことを意味する - また,「作図」を,「定規・コンパス」で行うものから,「動的幾何ソフト」で行うものに変えるなら,より多くの図形の問題に関して自分で作図し,調べることができたり,与えられた問題を発展させ,自分で探究することも想定されているといえる。 -- ただし,日本の教科書では,「動的幾何ソフトを使った作図の仕方」を前提としたものはない。 -- フランスでは,2000年頃の教科書においても,動的幾何ソフト(cabri geometry, GeoGebra)による作図を取り入れているものもある。 **2.2 what if not strategy - 条件変えを考えるとき,有名な本があります。 -- Brown, Walter, The art of problem posing(2004, 3版) ---@https://www.amazon.co.jp/Art-Problem-Posing-Stephen-Brown/dp/0805849777, amazonにて ---いかにして問題をつくるか, 問題設定の技術 (邦訳) ---@https://www.amazon.co.jp/%E3%81%84%E3%81%8B%E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%A6%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8B%E3%81%8B%E2%80%95%E5%95%8F%E9%A1%8C%E8%A8%AD%E5%AE%9A%E3%81%AE%E6%8A%80%E8%A1%93-%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BBI-%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3/dp/4491007241, amazonにて -この中で扱われているのが,what if not strategy(方略)です。 -- つまり 命題をいくつかの部分にわけ,それぞれの属性を考え,変えてみることで,いろいろな命題をつくることができ,それらに関して,やはり成り立つかどうかを検証しながら,新しい発見を生み出していくという方略です。 -- 代表的なものとして,「三平方の定理」を扱っています。 --- 直角でなかったら....余弦定理になっていきますね。 --- 2次元でなく3次元になったら... --- 直角三角形の上にのせるのを,正方形でなく,正三角形でもいけるでしょうか。 --- 半円にすると,どうでしょうか。 - 「条件変え」ということばは,この本のずっと前から日本でも扱われてきました。 - 「一点の共有する二つの正三角形」の問題では,条件変えを意識している教科書が多いです。 - 他の問題でも,条件変えはいろいろなところで扱われています。 |#00047-1113-05| **2.3 「四角形の4つの辺の中点を結んで四角形をつくる問題」の条件変え - 「四角形」の4つの辺の中点を結んで四角形をつくる問題 -- この「四角形」は一般の四角形を意味します。ここを,次に変える(特殊化)とどうなるでしょう。 --- 正方形,長方形,ひし形,平行四辺形,台形 |#00043-1113-01| -- ここを,次のように変えると,どうなるでしょう。 --- 三角形,五角形,六角形,,... |#00048-1113-06|#00049-1113-07|#00050-1113-07| - 四角形の4つの辺の「中点」を結んで四角形をつくる問題 -- ここを,「2:1」に変えるとどうなるでしょう。 |#00051-1113-08| - 四角形の4つの「辺の中点」を結んで四角形をつくる問題 -- ここを,「角の二等分線の交点」に変えると,どうなるでしょう。 |#00052-1113-09| -- ここを,「辺の垂直二等分線の交点」に変えると,どうなるでしょう。 |#00053-1113-10| *** このように... -図形を動かして調べることと,条件を変えることは,「関係が深い」のです。 *3.思考水準・学習水準 / 「形」から性質へ **3.1 van Hieleの水準論 - 幾何教育での重要な理論の一つに,思考水準, 学習水準論というのがあります。 -この水準を移行していくための活動を提供するものとして,動的幾何ソフトは大きな役割を果たしうるのではないかと思っています。 - 実際,最初は「形」に注目して探究をすすめますが,次第に「性質」に注目して取り組むことが多いのですから。 -参考資料 --@https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsme/69/R4748/69_48/_pdf/-char/ja, 小山正孝_van Hileの「学習水準論」について --@https://www.juen.ac.jp/g_katei/nunokawa/kaita/Reconsideration_of_van_Hiele_theory.pdf,布川和彦_van Hiele理論に対する新たな意味づけ --@https://www.juen.ac.jp/math/nunokawa/ronbun_list/van_hiele.html,布川氏による「van Hiele 理論研究関連文献リスト」 *4.みなさんからの「問題例」について -性別がわからないこともあるので,すべて「さん」にします -「定理の紹介」等なら,たぶん,すぐにできますよね。(もともとの出典の意図もきっとそう) -「生徒が,自分で気づくとか,予想するとか,なにか『数学的活動』を踏まえて,探究としての価値を実感する」には,どういう探究のストーリーを想定するといいのでしょうね -「生徒の代表としての自分の体験談を語る」のが,次回の動画のねらいです。 -それを授業の流れとして設計すると,こんな感じに行きたいという,「教師の願いとプランを語る」のが,最後の課題です。 -もしかすると,適切には扱えないものもあるかもしれません。いつでも素材は変えてしまってかまいません。「見つける練習」ですから。 |田中さん|郷家さん|阿部さん|加護さん|五十嵐さん|神谷さん| |#00007-tanaka-01|#00011-gouke|#00010-abe|#00012-kago|#00013-kamiya| |@https://manabitimes.jp/math/581,出典|@https://bioring.boo.jp/tyokusandai.html,出典|@https://suugaku-kyousitu.com/blog/8405/,出典|@https://manabitimes.jp/math/881,出典|@https://www.hiroshima-c.ed.jp/pdf/research/chouken/h26_kouki/kou07.pdf,出典|@https://manabitimes.jp/math/731,出典| |他と関連づけるといいかも|ちょっと発展的にしてみました|動的に扱えるかな?|ストーリー的にしてみました|ちょっと観点がちがうような気もするけど。|黄金比に関して「何を活動させたい」のでしょう| -以下,書式を変えます。 -上記までは,ちょっと工夫したりしましたが,ちょっとその時間的な余裕とキモチ的な余裕がないので,「動かす意味がない」と感じるものには図はつくっていません。 |名前|図|出典等|コメント| |大庭さん||@https://factdy.click/netafact/?p=17882,出典|「円と正三角形が組み合わされた問題」には,「動かす意味」を感じません。| |福代さん||@https://manabitimes.jp/math/2854,出典|「正多角形の正n角形のnを変える感じですが,GCでは適切には扱えません。おもしろい展開になりそうであれば,GeoGebra等を使う手はあるかもしれませんが。| |江崎さん|#00014-1111-01|@https://manabitimes.jp/math/579,出典|ヘロンの公式,発見的に扱うのはむずかしいのでは| |大野さん|#00015-1111-02|@https://manabitimes.jp/math/976,出典|ヒポクラテスの定理,意図的に中途半端な図にしたけど,何を発見させたいのかな。それによって図は変わります。| |加古さん|#00016-1111-03|@,出典|軌跡をonにして動かすと跡が残る。どういう意味での手がかりになるだろう。| |伊藤さん|#00017-1111-04|@https://rikeilabo.com/arithmetic-theorem,出典|方べきの定理, 目的によっていろいろな図がつくれる| |佐藤さん|#00018-1111-05|@https://math.005net.com/2/toseki.php,出典|目的によって,いろいろな図がつくれる。| |九澤さん|#00019-1111-06|@,出典|中点連結定理| |天野さん|#00020-1111-07|@https://mathjuken.com/archives/518,出典|どこを考えさせたいかでいろいろなことが変わります。| |水谷さん|#00021-1111-08|@https://study-line.com/kaku-nitobunsentohi/,出典|意図的に,ここまでだけにしてあります。| |牛山さん|#00022-1111-09|@https://www.kashi-math.com/3810/#google_vignette,出典|解説の先,どこまでいけるかな| |鈴木さん|#00023-1111-10|@https://tanakatakashi.com/archives/12520,出典|重ねる様子をみせたいのならね。私の趣旨の動かすとはちょっとちがうけど。| |鈴木さん|#00024-1111-11|@https://ameblo.jp/jukensansuwa/entry-12737456176.html?frm=theme,出典|| |副さん|#|@,出典|重心のことなんだけど,「物理実験」をしないといけない文面なので,このままでは図はかけませんね。| |鈴置さん|#00025-1111-12|@https://univ-juken.com/menerausu,出典|メネラウスの定理,意図的に不完全な図にしています| |森さん|#00026-1111-13|@https://menotsukedokoro-math.com/challenge_heimen/,出典|元の図は動かさないんじゃい?| |濱崎くん|#00027-1111-14|@https://manabitimes.jp/math/872,出典| なにをねらいにするといいだろうね。| |高橋さん|#|@https://math.005net.com/2/toseki.php,出典|どの図で何をしたいのだろう。| |笹沼さん|#00028-1111-15|@https://manabitimes.jp/math/997,出典|扱いやすそうで,意外に扱いにくい| |小澤さん|#00029-1111-16|島根県の問題,出典|| |立野さん|#00030-1111-17|@https://manabitimes.jp/math/628,出典|これは外心だけ。何をしたいの?| |杉浦さん|#00031-1111-18|@https://manabitimes.jp/math/807,出典|いろいろなバリエーションがある| -下記の方々のケースで上記に出ている場合は,作図を省略したりすることもあります。 |岡田さん|#|@https://u-fukui.repo.nii.ac.jp/record/23664/files/10098-10351.pdf,出典|実物の方がいいんじゃないかな。| |筧さん|#|@https://youtube.com/shorts/GPwXuGh2nJY?si=Xms3HiEu_lLpP3lb,出典|「図を動かす」ことは,この話題でどういきるの?| |市川さん|#00032-1112-01|@https://mathlog.info/articles/3786,出典|トリリウムの定理| |福代さん|#00033-1112-02|@https://manabitimes.jp/math/2049,出典|円周角の定理の逆| |伊奈さん|#00034-1112-03|@https://math.005net.com/2/godo_s2.php,出典|どれを指しているのかわからない。最初の図についてつくっておいたけど。| |早坂さん|#00035-1112-04|@https://study-line.com/soji-mensekihi/,出典|どれを扱いたいのかがわからない。一応つくっておいたけど| |島田さん|#00036-1112-05|@https://www.try-it.jp/keyword_articles/23/,出典|円周角の定理| |鈴木さん|#00037-1112-06|@https://manabitimes.jp/math/656#3,出典|チェバの定理| |竹原さん|#|@https://rikeilabo.com/menelauss-theorem,出典|メネラウスの定理, 既出だったかな。| |松浦さん|#00038-1112-07|@https://chugaku.manabihiroba.net/wp/wp-content/uploads/2022/02/syoumeirensyu5.pdf,出典|どれが対象かわからない。| |横幕さん|#00039-1112-08|@https://manabitimes.jp/math/630,出典|オイラー線| |松井さん|#|@https://www.chugakujuken.com/hensa20up/files/2013/04/heimen_10-14.pdf,出典|どれをどう扱いたいのかわからない| |渡邉さん|#00040-1112-09|@https://curlpingnosiawase.com/what-is-the-tangent-theorem-proof-of-the-angle-theorem-of-tangents-and-strings-how-to-remember-the-chord-theorem-middle-school-high-school-math,出典|| |宇野さん|#|@https://math-support.jp/2025/06/20/%E5%86%86%E3%81%AE%E6%8E%A5%E7%B7%9A%E3%81%A8%E6%8E%A5%E7%82%B9%E3%80%81%E5%8D%8A%E5%BE%84%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%96%A2%E4%BF%82/,出典|GeoGebraの図があるから省略| |二木さん|#00041-1112-10|@https://testmath.up.seesaa.net/image/art52_nishi.pdf,出典|とても一般的な図としてつくっています。| |坂本さん|#|@https://manabitimes.jp/math/1248,出典|接弦定理, 既出| |柴田さん|#00042-1112-11|@,出典|後藤実践に関連している| |中川さん|#|@https://www.sugakuonline.com/menu3.html,出典|p.195だけでは,どれを扱いたいのかわからない| |松崎さん|#|@https://www.min-san.com/lab/l1/,出典|ここに「ある」からいらないね。| -以上,11/11のうちに提出されたものについて作成しました。 -それ以降に提出されたものに関してまでサポートする必要はないと思うので,自力でつくるなり,web上のリソースを利用するなり,努力してください。 *5.「授業ビデオ」に関連して -まだみたいね。 -まだ期限には時間があるしね。 *6.課題 **6.1 「今日の授業の感想」を,まなびネットに書き込む - これは,今後毎回。基本的に,授業の出席を,これでカウントする。 - 今日の場合,「今日の模擬授業で扱った素材とそれに関する探究過程」について,きちんとコメントしてほしい。 **6.2 探究する価値がありそうな,平面図形の問題を一つ見つけてきてください。 -まなびネットに書き込むこと(出典がある場合には,それも明記すること) -今後3回毎回求めていきます。「素材」をさがす力をつけるためです。 -基本的に,提出された問題に関してGCの図を作図可能な場合は,私の方でそれを作っておきます。(作れない問題等については,その旨等を返答します。) **6.2 zoomによって動画を作成し,まなびネットに提出する(11/18 10:50まで) - その後,グループに分け,みなさんがアクセスできるようにします。 - そのグループの中の他の人々の動画を試聴し,コメントをかくことが,次回の課題となります。 - 「うまくつくれなかった」人は,....(上記,0.3を参照のこと) *7.関連するリソース **7.4 GC/html5のwebサイト(再掲) --@https://www.yiijima-gc.org/, https://www.yiijima-gc.org/ --さまざまな「動画」も置いてあります。 *8.zoomについて(再掲) -@https://zoom.us/ja/download,ダウンロードはこちらから -アカウントを取得する必要があると思います。大学のメアドを使うのが妥当かと思います。 -zoomでの動画作成の様子 |zoomで動画を作成する様子|$pUBrCA507Sc| ----- * 付記 **0.4から「個別についての記述」 -主として「上記との関わり」で,いくつかの投稿にコメントしておきます。 -- 田中さん --- ICTは、子どもが自ら考え、試し、確かめながら学ぶことができる探究ツールである。 ---- はい。基本的にその路線がここでのねらいです。同時にそういう「探究ツール」に関するみなさんの理解の解像度をあげていくと,さらにいろいろなことがわかってくると思います。 -- 岡田さん ---図形や関数の問題について、頭の中で図形や数字を動かして想像できる生徒とそうでない生徒がいるのは十分想定される。そのような環境の中で、生まれながら持ち合わせた能力の差に関係なく、数学的な理解を促すためのリソースとして重要な役割を果たすであろうと感じました。 ---- はい。ある意味で,「サポートするための道具」でもあります。一方現実には,力がある生徒はさらにエンパワーされ,差が拡大されることもありえます。つまり,差をなくすための道具というわけではありません。「自分がやりたいことのためには道具を選択し,それぞれのwell-beingを目指す」という感じでしょうか。 --- 言われてもあまり実感しにくいこと(今回の問題で言えば、任意の四角形のすべての辺の中点を結んだ四角形が平行四辺形になるといったもの)も、実際に自分でさまざまに図形を変形してみると、事実を突きつけられるような感覚で、なぜそうなるのか探究したくなります。その瞬間が印象的でした。 ---- とても本質的なことを突いてくれていると思います。「事実」への注目,とてもいいですね。 --森さん --- 色んな線の交点をだしたり、どんな意味があるか考えること。 ---- そういう経験なかったでしょ。(これは教師側としては,どういうことを仕掛けているのかなと考えられると,次のステージにすすめます) --大庭さん ---考えるだけでは想像がつかない図形の問題を実際に動かすことで、より理解を深めることができる。 ---- ここでの「考える」と,「より理解を深める」ときの考えるは,同じでしょうか,ちがうのでしょうか。 ---- たぶん,観察したり動かしたりしながら「再び考える」,つまり対話的なサイクルがあるんじゃないのかな。 --坂田さん ---一方で今日の講義で扱ったような自由度の高いツールは低学年では遊びツールにも成りかねないとも感じた。 ---- はい。そういうリスクは「あります」よね。ところで,そういうときの「遊び」って,いい意味と悪い意味とあると思うんだけど,「いい意味での遊び」と「悪い意味の遊び」って,どう見分けていくのかな。 ---正三角形がふたつある問題において、一直線上の上のみを動かしていたことから、平面状すべてを動かせるように順序を組んだことで、証明で使用する角度について様々な発見が得られたこと。 ---- 今回は,「角度のことを考えてから動かす」感じでしたけど,「動かしてから角度のことを考える」流れもありえて,「比較してみる」と,授業について検討する入り口になるでしょう。 --野道さん ---ICTは、子どもがどのように考えたかを教員が把握・管理し、子ども自身も周りの考えを把握しやすくなる役割があると感じた。 ---- 「いろいろな方法」がありますね。データをとって自動的に分析し教員に返すシステムもいずれできるでしょう。タブレットの上で動かしたり友だちと会話するような様子は,教師の「観察」が重要です。 ---- そしてそういうとき,「監視されている」感じは誰にとってもいやなことであり,「見守られている」感じは,いいことで,どう感じるかをモニタリングしながら教師は方法を選択したり,行動できることが重要です。 --牛田さん ---図形が苦手な子たちは大体が、「頭の中でイメージすることができない」といったことが多くあると考えられます。しかし今回のような使い方ができれば、最初は目で見て動かして考えることができ、頭の中でイメージができなくてもだんだんできるようになるのではないかと考えられました。 ----「イメージ」って,なんでしょうね。難しいです。少なくとも「操作可能なモノ」があり,そこで試行錯誤したり,会話したりすると,「とりあえずなにかできる」わけで,突破口を与えてくれます。 ----そして重要なのは,「見ていても見えているとはかぎられない」ということ。 ----牛田さんが指摘している「補助線」なんて,その典型例で,「当たり前に引ける人」にとっては,「なんで,これを思いつかないかがわからない」くらい自然に見えているはずです。(ここでの見えるinsight つまり,見抜くということでもありますね) --二木さん ---QRコンテンツを使用し、頭の中で考えるだけでなく実際に図形を動かして考えるというプロセス。 ----QRコンテンツは「当たり障りのないものに制限」しているのもたしかで,不満を感じてもおかしくはないです。 ----もっとこういう活動をしたいとしたら,こういうものが続きとしてあるといい,とか思えるといいですね。この授業としては --畑中さん ---図形の単元などは特にICTを利用することで可視化が可能になり便利であると感じた。 ----「可視化の御利益」という意味では,図形単元よりも,他教科なんかの方が劇的に便利かもしれません。 ----「ここにこういうのがあるじゃない」と,「見ているのに見えていないものを意識化する」ことがきっと大切で,そのためには「書き込み」等がきっと重要です。 --日吉さん ---数学教育の中でICTの役割は、児童生徒が自ら探究し学ぶことができるもの。 ----はい。基本的には「そう」です。次に必要なのは,より具体的に,そして解像度をあげて,そのことを語れたり,そういう場面での教師行動のあり方について語れ,行動できること,かな。 --郷家さん ---四角形ABCDの中に出来る平行四辺形PQRSの教材で、啓林館は4点ABCDを自由に動かせるため、様々な種類の四角形(長方形や正方形など)を作りやすかったが、東京書籍の教材では点Dのみしか動かせなかったので、探求を深める点では啓林館の教材の方が良いと感じた。しかし、東京書籍の方はどんな四角形でもという点に重きを置いているように感じ、印象的だった。 ---- 今回は,その場に合わせて模擬授業的に行っているので,「教科書の意図」そのものを実現したわけではないんだけどね。一点だけに焦点を当てるのも一つの方法だし,ちがうこともあって,それはうまくいけば,2回目で扱えるかも。 --鈴木さん ---証明の手法によってはそのさらに奥に気づけてるかどうかが変わるんだなと思った。 ---そう。「証明の価値」を実感するための道具としても使えるよね。 --加古さん ---(1)ICTの使い方は誰にでも使いやすいようにできているが、そのICTを活用した授業を考えることはとても難しく工夫のいることである。なので今後の大学生活でICTをうまく使った授業を作れるようになりたい。 ---(2)プリントの啓林館のp159の問題が線分AB上からそれ以外でも成り立つというのが応用感があって印象的だった。 ----みなさん世代はデジタルネイティブでもあるはずで,きっと年配世代よりも「期待される」はずです。でも,それは「考えない」と算数・数学の授業としてはうまくいかないこともあって,ベテランの価値観などを学ぶのもいいことでしょう。 ----(2)の話はもっともっと奥深く展開するストーリーの,ほんの入り口なんだよね。2回目に扱えるかどうかわからないけど。 --水谷さん ---ICTは、うまく活用することができれば、これまでの紙媒体の教科書よりも使いやすく、内容もより分かりやすく伝えられると感じました。ただし、それを実現するためには、教員自身がICTを十分に使いこなせることが大前提だと思いました。授業の中でICTを効果的に取り入れるためには、単に機器を使うだけでなく、教材研究や授業設計の段階から工夫する必要があると思いました。 ----きっとそういうのが,みなさん世代に求められる「仕事術」です。 ---模擬授業で取り組んだ問題では、最初から解こうとするよりも、答えから逆算して考えることで問題の構造がより明確に理解できると感じます。問題解決の過程で視点を変えることの大切さを実感し、今後の授業づくりにも活かせる考え方を身につけたいと思います。 ----そう数学の問題を解決するときって,「いろいろなことをする」よね。「逆向きに考える」ことも含めて。そういう,「数学的探究」の全体像を俯瞰的に考えたり,それをどう変えようかと思うのが,教員の目線です。 --竹原さん ---解き方は一つではなくいろいろな方法で証明して比較することができるところが印象的でした。 ---特に高校の授業では時間が貴重なので,「別解の紹介」くらいで終わることが多いけど,「よさを比較」することを生徒に考えさせることができるといいし,そもそも「そういう異なる考え方」が,生徒の活動から引きだけると,いいよね。 ---そういうことを考えると,「時間の短縮」にはならないことが多いです。効率的な受け身的な学びを効率化するとともに,じっくり探究できる時間を生み出すことも,きっと必要になってくるのではないでしょうか。 --加藤さん ---上手に活用できれば生徒たちの理解を助ける役割 ----「上手な活用」を具体的に語れ,行動できるように,....期待しています。 --安福さん ---(1)図形を可視化できるようになり、生徒が理解しやすくなると感じた。また生徒が図を動かしたり作図したりすることで、より考える力をつけることが出来るようになると感じた。 ---(2)三角形の合同の証明において、数値を用いて証明することよりも、記号や文字のみを用いて証明していくことの方が他の図形の場合でも証明できるようになるといったこと。生徒がどのような解答するのかを想定して、解答について一つの考え方だけでなく、他の視点をつけることが必要だと感じた。 ----「可視化」されるのは,何だろうね。図形そのものはきっと最初から「見えている」 ---- 図形の証明ではx等の文字は使わないのが普通だけど,ある意味「文字と同じ役割」を果たしているわけだよね。そういうことの理解の場としても位置づけることができます。 --鈴木さん ---ICTを活用することで、教科書に提示されている問題だけでなくより発展的に数学を学ぶことが出来ると感じた。 ---- 本当は,きっとどの問題でも発展的に扱えるはずなんだよね。 ---- 紙でも,「やっている人は深掘りをしていた」はずです。 ---- それを「しやすくなる」のはたしかだよね。きっと。 --横幕さん ---ICTは生徒が自ら試行錯誤し、学んでいくための道具であると感じた。 ----いままで「試行錯誤」についてのノウハウ,どれくらい持っていますか?そして,それをどれくらい拡張できるかを体験してみるといいですよ。その中で「いいな」と思うものを,生徒が「再」体験できるようにしていくことがきっと基本です。 --江崎さん ---児童生徒に、数学の内容や問いに対して興味を持たせるツールとして有効だと思う。 ----そう「興味」,とても大切だよね。関心を持たせるべき対象は何かな。数学の内容や問いもあるかもしれない。「ひと」もあるかもしれない。きっとこれからの「授業」の価値は,「集団や社会とつながることの価値」を実感するチャンスでもあるはず。 --中川さん ---情報化が進んでいるこの世の中で、生徒の理解を支える大切なツールになると思います。実際今日の授業の中で、ICTを使って図形の説明をされて、イメージのつき方が全然違いました。 ----ぜひ,「中川さんのパフォーマンスを高める」小道具として使えるようにしてみてください。 ---自分たちで作図などをして、試行錯誤して考えるといった探求が印象的でした。それをさらに拡張することが出来るか、考えるのも面白かった。 ----「自分が経験した試行錯誤」と,「別の道具や発問の下での試行錯誤」がどうちがうのかを意識化できると,次のステージにいけるでしょう。 ----そして「おもしろかった」と言ってくれるのはとてもうれしいけど,なんかみんなもっとその感情を表現したり共有できるといいと思うんだけどね。 --福代さん ---(1) ICT機器があることで生徒が図形を実際に動かし、直感的な理解が得られるようになると感じた。 ----「直感的な理解」大切ですよね。ただ,「直感的な理解」「直観的な理解」って,なにかと考えると,難しいけど。でも,「あ,そうか」という瞬間は,きっと算数・数学の醍醐味の一つ。 ---しかし、初めにやった最短距離の作図の問題では、ICT機器を用いてなんとなくの最短距離となる位置は分かるが、そこからどのように作図にもっていくのか説明にもっていくのは難しいと思った。中学数学の点P問題や高校数学の2次関数の最大値最小値のような定義域内で動く問題に関してはICT機器の力は強力であると感じた。 ----「とてもいいところ」に注目してくれていると思います。 ---- 「そう」なんだよね。最短距離の問題では,「なんとなく,このあたりか」しかわからない。 ----それだけで解決になる「はずがない」 ----そこを数学の問題解決として,どうやっていくかは,また全然別のことで,この素材をちゃんと授業にするのは,実はかなり難しいのです。(解答の解説なら簡単だけど) ----「後藤実践」では,そこは「教えてしまう」のを選択し,授業の問題はその発展版を扱っています。 --佐藤さん ---今までは教科書やプリントなど、紙のみだったため、点の移動やそれによる図形の変化の仕方などを頭の中でイメージすることしかできなくて、数学が苦手な子にとってはそれが難しかったり、解説する側も難しい点があったりするが、タブレット端末を利用することでそれを視覚化することで、その苦手な子や解説の難点なところを解決することにつなげることが出来ると思うので、とてもよいと思う。 ---- 「それ(タブレットなどを使って理解すること)がデフォルトになる」ことが,わかりやすさにつながるのか,あるいは,高校生集団にとって重荷になるのか,そのあたりは難しいよね。 ----ただ少なくとも「みたらわかる」というのは幻想で,一歩踏み込んだところに「主戦場がうつる」ことになるのかな。 ---ちょっとした視点を変えるだけで考え方や解法がかわること。 ----そう。「ちょっとのことでしかない」と思ってくれると,「自分にもできるはず」と思ってくれると思います。「そうみせる」ことは大切だよね。きっと。 --市川さん ---(4)時間を作って、考えさせてほしい。 ----「了解」。実際,そうだよね。時間を提供しないといけません。でも一方で,「時間があるとしたら,何をどうすすめていけるか」というノウハウをみなさん自身が持っていないと「ただの放置状態」になってしまうのです。今回は,「最初」ということもあって,他のいろいろなことも扱いたかったから,ちょっと雑でした。 ----特に九点円の話題は,「ちゃんと授業として扱う」なら,60分くらいかかります。ただ,「その先はみなさんが勝手に自分でやってね。そして,授業ビデオをみてね」という形にしているつもりです。 ----授業の中で「すべてを扱う」のがいいとはかぎりませんから。 --早坂さん ---ICTがあれば、授業の幅がすごく広がって子供たちの良い学びにつながると思う。 ----そう。幅はかなり広がります。それは授業力がある先生にとっては魅力だけど,力がない先生にとってはリスクでもあります。そういう意味で,「授業力をつけて,実現したい授業を実現できる」ところを目指してください。 --小澤さん ---ICTを使うことで視覚的に変化を捉えることができ、問題への理解がしやすくなるツールであり、便利だと感じた。 ----そう。「変化を捉えやすくなる」のはたしかで,広い意味でいえば,「関数を扱いやすくなる」わけですよね。今回の取り組みも,ある意味では,図形に対する関数的な見方を拡大しているともいえます。 --伊藤さん ---ICTは、図形のイメージを頭の中だけでなく、実際に見て、イメージを確かなものにする補助的な役割を果たしているなと感じた。 ----そう。「補助的な役割」であって,主役ではないよね。そして,「たしかなものにする」というプロセスについて,解像度を上げて観察できるようになると,いいんじゃないかな。 --木下さん ---ICTを活用する場合どういう意図をもって使用するのかを明確にする必要があると感じた。 ----そう。「意図が大切」なのです。そういう意味でも,動画をつくるとき,その意図を行動とともに「語ってほしい」わけです。 ----「指導案に書く」というのと本当は同じはずなんだけど,「語らせてみる」と,いろいろなことを実感できます。 --阿部さん ---ICTを活用することで、図形に関しての理解度や状況把握がよりしやすいと感じた。 ----「理解度や状況把握がよりしやすい」というのを,具体的な問題や生徒の行動に則して考えることができるといいですね。 --笹沼さん ---また、実習で図形の授業をした際に、アナログで図形を児童全員分と黒板用を用意したことで教材準備に時間がかかったが、今回の講義内で作成した図形やツールをすぐに共有していた点から、ICT活用をすることで教材準備の時間が削減され、教師側を助けることにもつながると思った。 ----たぶん,教科書に掲載しているQRコンテンツで一番使いやすいはずなのは,「アナログで実験させたいもの」だと思います。実際に用意するの,大変だから。でも,もちろん,アナログにはそれなりの利点もあるのはもちろんのことで,そのマネージメントが重要だよね。 ---合同の証明をしたときに、数値を用いた方法と記号や文字を用いた方法の2つを比較することで、証明できたから終わりではなく、他の視点でも考えることができた点が印象的だった。教師として児童生徒から出てきそうな様々な考え方が思いつくように教材研究することが大事だと考えさせられた。 ----教材研究のノウハウをある程度わかっている発言が拝見できたので,今後の提案を期待しています。 --宇野さん ---今回の講義で取り扱ったように図形の問題を取り組む際に自由に形を変形し、図形や立体を想像しにくいという生徒の問題を解決するなどの数学の内容の理解を手助けする数学的役割と計算の演習などをタブレットなどで簡単に行うなど効率的に学習を行う役割があると感じる。 ----「計算の演習」にかぎらず,証明なんかだって,「問題に対して正確の記述を求め,それを評価し,適切な処遇をする」ような,受け身的な学びのサポート全般がそうですよね。そして,そういう領域は,かなりシステム開発が進んでいるはずと思います。塾や予備校などをみると実感できるでしょう。 --濱崎さん ---私は、子供たちの探求的な学びを支える役割があるように感じた。今日の講義で配られた資料以前の教科書であれば、生徒自身で図形を動かせず教科書が提示した例に基づいて考えていくから生徒が考えるのは証明だけになってしまうと感じた。しかし、最新の教科書であれば、自分で図形を動かす過程で様々な見方ができるためICTは探求的な学びを支える役割があるように感じた。 ----現実には,図形を動かさなくても「いろいろな場合をたくさんスケッチする」のでもいけるんだよ。そして,研究授業として,そういう授業に取り組んできた先人も数多くいます。ただ,そういうことを気軽に扱いやすくなる機器としてICTが使えるのはたしかだよね。 --- 120°の出し方の違いを比べるのが自分の中では印象的でした。Aは180°から60°引いて120°の考え方で早く求めることができる。Bは共通の角度があるという考え方は、線分上にないときでも使えるなど、様々な考え方があるのとそれの良さに気づくことが出来た。 ---- 「印象的と思える瞬間」は学んでいる立場としても大切だし,授業者側としては,「それは仕掛けていくものだ」あるいは「偶然うまれたら,それは価値があるものなのだ」と位置づけていくことが大切だよね。 --神谷さん ---有効に使うことが出来れば非常に便利なツールだと思う。しかし、自分が教員になってすぐの時代は、有効に活用することが出来なくて、むしろない方が子供たちの学習は定着すると思う。その理由は、ICTをうまく活用できないことにあると思う。現在教師として働いている人たちは、今までになかった、自分たちが学生の時代にはなかった、全く新しい授業展開をしなくてはならない。人によっては、大学で教育学を学んだ時にさえ、情報機器になじみがなかった人もまだ教職についていると思う。そのため、タブレットなどを使うより、教科書で授業展開する方が、より良い授業ができ、タブレットは、子供によって悪影響を及ぼす可能性も考えられる。例えば、本日の講義で取り扱っていた、点を動かすことで、視覚的に長さを理解することのできるQRコードがあったが、生徒にとって、ただ点を動かし、何の学びも得られず、時間の無駄になってしまう危険性が考えられる。また、タブレットを授業で使うことで、子供の興味を引くことが出来なければ、タブレットでゲームをしてしまい、教壇からは、そのことに気づきにくいのではと考えた。もちろん、教科書にもQRコードが載り、GIGA構想はどんどん浸透していることが大学での講義を通して学ぶことが出来、今より、もっとやり方が確立して、有効にどの市町村でも使うことが出来れば、将来は、役に立つツールになると期待される。 ----「ご指摘の通り」です。この大きな変革にはかなりのリスクが伴います。 ----実際,30年間,あまり変化してこなかった理由の一つに,そういうことへの懸念や,あるいは,入試が変わらないことも大きかったと思います。 ----これは個人的な感想ですが,もう世の中は「引き戻れない状態」になりつつあるのではないでしょうか。 ----たとえば,鉄道の切符。チケットレスをオンラインで買うのがデフォルトに変わってしまいました。窓口はどんどん少なくなり,大行列です。しかも価格が高い。ふざけるな,ですよ。名古屋高速なんてETCでないと,想定される最大料金を払わされるなんて,「ありえない」です。でも,コロナ禍を境に,もう「そうなって,社会は変わり始めてしまった」のです。 ----学校現場も,過去はいろいろな現職研修等もありました。でも,それは「働き方改革」の名の元に,「早く帰れ」に変わりました。「サポート」の方は「予算がないからやらないよ」でおしまいです。ひどいものです。しかも,教職は人気がないと受け取れる方が増え,希望者が減っている,つまり資質能力も以前ほど期待できるわけではない。となると,さまざまな観点からみて,「今後は心配」です。 ----じゃあ,昔のノウハウで,孤軍奮闘でがんばりますか?昔なら職場で共感してくれたり,協力してくれたけど,みんな,早々帰ってしまうかもしれません。 ----「紙,電話,fax」が昭和時代の「道具」でした。だから,コロナのとき,大変でした。 ----そうではない方法で労力少なくして成果を出せるかもしれない。そういう時代に変わりました。 ----ということを認識しながら,みなさんのキャリアでは,以前とはちがう仕事術なのだという認識を持たれる方が,現実的ではないかと,個人的には思います。 ----先輩方がそういうノウハウに乗り切れないとしたら,新しい時代のリーダーになれるかもよ。 ----みなさんの立ち位置はそういうところにあると思います。 ---中2の図形の性質と証明の利用で、違うパターンの証明方法を出して、どっちがどんなふうにメリットがあるのか問いかけるのが印象的でした。どっちの解き方もあってはいるから、どっちでもいいとするのではなく、その違いを理解することの大切さを学びました。これまでは、どんなやり方でもわかりやすい方が、解きやすい方がいいと思っていたけれど、次の問題に応用できる解き方かという目線で解法を見る視点が新鮮でした。 ----「証明する」だけなら,同じだったり,理解の上では具体的な数字の方がよかったりすることもあるよね。 ----そのあたりは正誤ということよりも,目の前の生徒の「納得度合い」を指標にしていくといいでしょう。 --天野くん ---上手に使いこなすことができれば児童・生徒に図をイメージしやすくしたりするヒントになりすごいい教材になると感じた。 ----ぜひ,「上手に使いこなす」きっかけをつかむ機会にしてください。 --牧野くん ---1 ICTの活用によって、生徒が授業内容を視覚的な情報を通じて理解に繋がっていくなと感じました。 ----視覚も重要だけど,「ことば」もね。次回期待してください。 ---2つの正三角形を利用した問題で、点CがAB上にある場合から考え、そこからそうでない場合はどうなるのか考えていくプロセスが印象的でした。 ----さらに深く展開していくのです。ことばを使うと --島田さん ---ICTを使うことで図形の問題をイメージしやすくなり、導入として使うことで生徒の興味を惹けると思いました。 ----教師用をみせるだけだと,「導入」だと思うんだけど,生徒が持っていると,「その先の展開」つまり,生徒自身の数学的活動に関与できる可能性がうまれるわけです。 --田口さん ---実際に自分で図形を動かしてみたりでき、いままでの脳内で考えることが多かった数学より、問題をよりイメージしやすくする役割がある。 ----「脳内」ということばがおもしろいね。脳の外との関わりは,どう位置づけていくと,さらに深まっていけるかな。 --松井さん ---今までは頭の中やノートに書いて考えていたことがICTを活用することにより立体的に考えることができて良いと感じました。 ----松井くんのことばでの「立体的」というのは,どういうことを意味しているのかな。それをより具体的に表現できるとおもしろいかもね。 --筧さん ---問題を可視化する、分かりやすくする、応用的な視点を提示するという役割を持つものだと感じた ----「応用的な視点」って,なんだろうね。 ---(2) 合同の証明問題を考えたときに、文字で考える(60+x)か、120度と数字で考えるかで見え方があ違ってくるのは印象的だった。最初はなんだ、「角度同じだもんね」で片づけられていたことが少し見方を変えると、応用することにつながるということが授業を通して分かった。それがかなり印象的だった。 ----「印象的だったこと」を自分なりに深掘りしてみると,他でも使えると思います。そのノウハウを ---(3) 生徒を当てて、思っていることを話させてもらえるのはとても貴重だなと感じています。他の人の意見も詳細に聞けるので続けていただけると幸いです。 ----はい。でも,多くの場合,「正解を答えないといけないんじゃないか」という不安を生徒や学生は持っていることが多いんだよね。そこから変える必要があります。 ---スライド内容をプリントで配っても、机上にPCがあるので正直邪魔に思えてしまいます。データがあれば十分に感じました。 ----ご意見「了解」です。一方,紙がじゃまだったら,しまってください。次回以降,web上に図形へのリンクがあり,それをクリックすると,「本文が読めなく」なります。そういう意味で,「実験場所としてのPC」と,「テキストを表示するものとしてのPC」の二つの役割を避けるための配慮です。今回はあまり機能しなかったかもしれません。 ---(5) 教材研究というのはとても奥が深いと感じました。中学の内容でさえ「確かに」と思うことがあります。自分の数学力の問題でもあるかもしれませんが、教えるという立場に立った時に初めて気づくこともあるのだなと感じました。そういったことをもっと可視化していただけるとすごくうれしいなと感じました(自分の努力によってその「可視化」を行うべきかもしれませんけど、、) ----その時間やノウハウを楽しんでください。そして,最後に作品としての動画に表現してみてください。 --吉田さん ---(1)ICTを活用することで、「この角度が変わっても、2つの辺の長さは常に等しい」などといった不変性の発見がしやすくなると思った。想像しにくい図形を視覚化し、生徒の数学に対する理解と探求を深めるための便利なツールであると感じた。また、生徒自身がタブレットを使って自ら図形を動かしながら検証することでより主体的、探求的な活動になると思った。 ----本当は,ある図では,「長さはいつも等しい」ことを発見しやすいかというと,きっとそれは「しにくい」んだけどね。また,そのあたりも含めて次回以降も。 --加藤さん ---図形の問題では、頭の中でイメージすることや正確に作図することが難しいため、ICTを活用することで具体的なイメージが湧き、より理解が深まりそうだと感じた。また、教師が図を印刷する手間や、授業中に児童が図を描く時間を省くことができ、効率的であると感じた。図形以外の単元でも状況に応じて効果的にICTを活用できそうだと思った。 ----教材の配信に関しては,「紙の代替」に関してもそうだし,「教具の代替」と思うとさらにそうですね。 ----筧くんの指摘にもあったように,今回はプリントのよさは実感しなかったかもしれないけど,PCにあまりに多くの役割はおわせられないので,紙が不可欠ということもあります。 --渡邉さん ---私たちが生徒だったころ、ICTを使って教員が黒板に問題を映し出していただけだったが、 ----はい。ただ,黒板も発明された頃は,「とても便利」だったわけですけどね。 ----私たちの世代は黒板に書いたことはノートに写すという,「写経的文化」がありましたが,それは時間とともに変わっていくべく存在です。 ----逆に「ノートって,どういう意味で大切で,どう使うといいのか」は,改めて問い直す必要がある存在です。 ---現在やこれからの時代は生徒たちがICTを使って自ら問題解決の方法を手元で見つけられるようになったと感じました。その分、生徒たちがICTを使った問題解決方法の選択肢が増えるので、教員は従来よりもICTを使いこなす必要があると感じました。 ----「それを俯瞰的に見通せる」ことや,リアルタイムの授業の中で,適切なものを拾い,そして教室としての取り組みをまとめていくことが教師には必要なわけで,....やりがいありますよ。 ---元々ある三角形や四角形の頂点を動かして、さまざまな図形にして応用して考えることが印象的でした。とくに三角形の合同条件では動かす前だと二通り答えがあるが、動かして考えると一通りになるのが印象的でした。 ----まだまだ奥は深いので,次回以降も楽しんでください。 --小笠原さん ---自分自身カリキュラム変更の影響を受け、三年になって初めてこの授業を受けているが、教育実習を終えた身としては積極的に高校の授業内でもICT機器の活用が行われているのを感じたため、役割としては大きいと思う。授業内の内容をスライドで映し出す方針の授業方法もあれば、二次関数のグラフ等についてアプリを用いて記述している先生もいて、その点では動きを授業内で見ることができるため、ict機器がうまく活用されているように感じられた。 ----「附属高校」では,2016年に教室にプロジェクタが導入され,またその2年後かな,一人ずつiPadを買ってもらうようにしたり,いろいろと工夫がはじまりましたね。とはいえ,そこに乗り換えるのは簡単ではなく,先生方によって温度差はありました。その様子は県立学校だともっと顕著でした。今はどうなんだろう。 --鈴置さん ---⑵ 複雑な図形の中にも、三角形・四角形の特徴や平行四辺形の性質などが組み合わされており、見方を変えることによって合同な図形が隠れていたり平行な線がたくさんあることに気づけたので、様々な発見がありとても面白かった。 ----「正解を発表する」ということ以外の魅力を,どういうところに感じるのかを明確にしてみて,そしてそれを自分の授業の中でも生かせるようにできるといいですね。 --織田さん ---四角形の中に平行四辺形ができるという問題を通して生徒によっていろいろな考え方が思いつきそうだと感じた。生徒が考えた複数の考え方を試しながら授業を行うとさらに理解が深まるのではないかと感じた。 ----「いろいろな考え方」というのを具体化し,そしてその先にはどういうことがありそうかを想像でき,それに対応する策を準備できると,深い対応ができそうですね。