*0.はじめに -以下は,実施前の「想定」であって,実際には大きく書き換える可能性もあります。 **0.1 今回の課題 / 動画の共有と相互のコメント - 自分が担当すべき(5 + 1)名分について -- 「授業動画をおいてあるサーバ」に,「video1」というフォルダがあり,そこに提出された動画が,個別別のフォルダの下にそれぞれ集録されています。 -- フォルダ名でソートして配置されているはずで,「そのソート順」を元に,「自分の場所から下にある5人分」について,コメントすることを課題とします。 -- 一番下に行ったら上に戻ることで,全員に対して「5名分」の割り当てをします。 -- 今回,インフルエンザ等で提出できなかった方も,「自分がはいるはずの場所」から下に5名を選択してください。 -- それ以外に,「気になる人」を 1名(以上)選んでください。 - 次の項目をコピペして,それぞれの人の作品へのコメントを,メモ帳などで作成する --(0)「 」さんの作成した動画について ← 作者の名前を書き込んでください。 --(1) 素材(問題)の選択の仕方について --(2) 発表者(大学生)の数学的活動に関して,同じ問題・図にあなたが取り組むとしたら「なるほど,そういうことできそう」と思ったところ --- 具体的な子どもの反応を語っているときには,そのことについてのコメント --(3) 同じ問題・図に関して,(想定している学校・学の)生徒が取り組んだとしたら,同じ活動ができそうか,あるいは,少しちがう反応になりそうか。 --(4) その素材をつかって授業化するとしたら,どういうところに工夫が必要になりそうか。 --(5) それ以外,「zoomで作成した動画」に関して, 「こういうところがよさった」と感じた点 --(6) ここは改善できるといいなと思った点 - 上記を6人分まとめて,「まなびネット」の当該課題のフォーラムにコピペしてください。 -- もちろん,フォーラムは互いに参照可能ですから,みんなが記入してあるものに対して,「自分の名前」を検索すれば,自分の作品に関するコメントをみることができる,ようになるはずです。 **0.2 今後の流れ / 最終的には,「授業コンセプト」を動画という「作品」として提出し,共有・相互コメント - 来週が最終回で,それまでの学びを踏まえて,一つの「授業案」をつくり,「授業コンセプトを語る動画」を提出します。(想定している期限は12/12) - せっかくつくったものは,共有し,相互コメントをする方がよいと思うのですが,いかがでしょう(想定する期限は,12/21) *** 次回 = 授業化のためのケーススタディも行うつもりで,「希望者募集」 - 「自分の素材を扱ってほしい」という方を募集します。 -- メールにて,「扱いたい素材」「(できれば)使う予定の図へのリンク」とともに,連絡してください。 -- 授業づくりに困っている方ほど,お勧めです。 **0.3 この授業のもう一つのメッセージ = 「デジタル時代の学びのあり方」に関連して - GIGAによるタブレットの導入は,「個別最適化」という標語のもとで,「コスパよく,タイパよく,決められたことをクリアするために,自分の進度に合わせて学ぶ」というイメージが強調されているように思うのですが,みなさんの印象はいかがでしょう。 -- 「それ」を否定するわけではありません。「そういう学び」は今までも必要で,そして,「個に応じる指導」がなかなか手が回らなかったのも事実で,ある意味で,「デジタル時代の朗報」です。 -- でも,「知識を覚えていることの相対的な価値は下がっている」し,そもそも「調べたらわかる」ことの学びを,「ズルしないでやりなさい」という監視が中心になったら,きっと不幸だよね。お互いに。 - 「学びたい」と思ったら,さまざまなリソースが「ある」のだから,「自分の興味・関心に合わせて,学びたいことを学び,成果を出す」ことを主軸にする方法もあるよね。 -- この授業に関連して,「学ぶためのリソース」は,豊富に「あります」。それを順番に全員がクリアしなければならないという性格のものではありません。 -- 自分が「深めたい」と思ったら,勝手に学んで,自分がのばしたい興味・関心を深めたり,つくりたいものに合わせて必要なことを学ぶ。そもそも,「図書館」なんて,そういう目的で設置されているものですよね。 -- 「そういう学び」って,たぶん,いまどき「自己調整学習」と呼ばれているものではないでしょうか。 -- 「先生が言わなくても,予習すべきことを予習する」ことなどを子どもにとっての自己調整学習として求める先生もいますけど,それは,個人的には,「ちょっとちがう」んじゃないかなと感じます。むしろ,学習習慣みたいなことじゃないかなと。 - 「放置していい」はずはない。だったら,誰もやらない。だから,個別にサポートする代わりに,「コメント」を書いている。 -- アウトプットをしている方には,それなりに「コメント」することが,そのサポートと思っています。 -- ある学生へのコメントは,けっして「その学生のためだけ」ではなく,他の学生にも刺激になりうると思っています。 -- 逆に,「それも含めて読め」と強制するつもりはありません。 -- 今回,私はそれなりの時間と労力をかけて,かなりのコメントを書いていますが,きっと数年経過すると,「そういう反応」をしてくれるものとして,AIが機能していくことになるのではないでしょうか。 - きっとみなさんが教職につくときには,あるいは,ついている間も変化し,退職するまでには,かなりのことが変わるでしょう。 -- 少なくとも,「おとなにとっての学び」が,劇的に変わっていくと思います。 -- 教員自身の学びや,仕事術が変わっていくと思います。 -- 子どもにとっての学びも変わっていくと思います。 - 「そういう,独学中心の学びの環境」をどういかしていくかという対極に,「異なる個性が同じ時間と環境を共有し,限られた時間の中で取り組む学び」として,対面の学びが位置づけられるわけです。 -- そういうものとしての「授業」では,何を重視し,何は軽くしてもよいのか。 -- 私は,この時間を,「そういう実験」と思って,取り組んでみました。もう,次回が最後になりますが。 - 減点中心の評価ではなく,加点中心,成果中心の評価もあるはず -- 習得すべき項目が一通りあり,それをどれだけクリアできたかで評価する方法もあります。基本的に「できなかったこと」に注目した,減点中心の評価といえるでしょう。「想定されたものをすべてクリアしたから,100点」なのです。 -- その限界は明確で,「想定されていた」ことを越えていても,それは評価の対象になりません。でも,世の中でのホンモノの評価って,社会に対するインパクトのようなものだったりするわけで,「そういうもの」にチャレンジすることも,きっとあっていいはずと思います。 -- 取り組んだこと, 成果の中にある「いいもの」に注目し,それを拾い上げる評価,それを適切に行うのはむずかしいけれども,でも,それにチャレンジしたいとも思うわけです。 -- みなさんが,私の器を越えるようであれば,「適切に評価できないこともある」こともわきまえつつ。 -- でも,きっとありますよ。みなさんの器を越えるような潜在的なものをもっている子どもとの出会い。 -- みなさんの中にもいるはずです。私の器を越えるような人。 -- 飼い馴らされてはいけません。みなさんの才能とセンスを発揮してみてください。 *1.軌跡の二つの意味 **1.1 動いた跡 ***以前の図について,ちがう観点から考えましょう。 |#00065-1116-11| - この話題に関しては,杉浦さんが取り組んでいましたね。 ***「4つの心」 -これ,私の定番ですが,どういう活動を想定していると思いますか? |#00066-1116-12| - この素材そのものには,いくつかの側面があります。 -- 「正体を明らかにするために「一目瞭然にわかる」ような,「特殊な場合を見つける」」を求める(発問)のも一つの手 -- それぞれの点の特徴を観察し,ことばで表現すること。 -- 「それぞれの点の動き」を対象化し,ことばで表現すること。 --- 直線的な動きをするもの (たて / よこ) --- 放物線のような動きをするもの --- 不思議な曲線の動きをするもの -- この最後は,「軌跡」です。 *** 「動いた跡としての軌跡」 - ある点の「跡(trace)」 - ある点を動かしたときに,この点が動く : Q = f(P) - 普通は,Pが,たとえば,直線上を動いたときに,Qの動きに注目する - それが「直線」になる場合や,「円」になる場合が,中高での幾何的証明の対象になるが,「放物線」や他の曲線になることもある。 - Pをある領域を動かしても,Qが特別な場所に制限されることもある。 - GCも含めて,多くの動的幾何ソフトでは,点の軌跡のみでなく,直線や円についても扱えることが多い。 |#00067-1116-13| *** ある点を,「こういう動かし方」をしたときに,「この点」は,「こういう動きをする」 -点Aを,BCに平行に動かしたときに,点Oは.... -点Aを,BCに平行に動かしたときに,点Gは.... -点Aを,BCに平行に動かしたときに,点Hは.... **** Q = f(P) において,P ∈ L のときの Qの集合 = f(L) - 関数,あるいは写像の「像」としての軌跡 ***「動いた跡」としての軌跡と,「数学的活動」の関係 - 数学的対象としての「軌跡」を,可視化できます。 - 教師用PCで操作し,「跡を残さない形でつかって,どうだった?」と質問する意図は? - 予想と検証などを行う意図は? - 「どうなるはずかな」という問いの意図は? - 「見ておしまい」の事例もあるだろうけど,「見て,意識化し,それについて数学的に深める」事例もある。 **1.2 条件を満たす点の集合 - 今回の課題でいえば,次の例などが該当するでしょう。 -- 円周角の定理の逆 -- アポロニウスの円 -- 等積変形 ***以前の図について,「もう一つ正三角形を追加した図」のことを考えましょう。 |#00068-1116-14| *** いくつかの例 ****「なにかが一定」 |「角」が一定|#00071-1116-23| |「長さ」が一定|#00070-1116-22| |「面積」が一定|#00072-1116-24| |「長さの和」が一定|#00073-1116-25| | PA:PB=2:1|#00074-1116-26| ****発展問題(1) 角が等しくなるのは? |#00069-1116-21| ****発展問題(2) 面積の和が等しくなるのは? |#00075-1116-27| *** 平面中をPが動いたときに f(P) = 0 となるPの集合 = 条件を満たす点の集合 - P(x,y) と考えると, f(x,y) = 0 という形でも表現できる。 - 円だったら, x^2 + y^2 = 10 など **1.3 GCの中での「軌跡」の設定など - 幾何的対象に関して,「編集」をすると,「軌跡の色」がある。 - それだけでは,軌跡は残らない。 - 画面の中の「軌跡のスイッチ」をonにしてあると,軌跡が残るが,普通は残らない。 - クリアしたければ,「クリアボタン」を押す。 - 軌跡のスイッチを押さずに,「記録」ボタンを押すと,そのときの点の記録を残す - うまくいったら「記録」を繰り返すと,「条件を満たす点の集合」を残すことができる。 **1.4 「エキスパートモード」だったら,一気に「条件を満たす点の集合を生成することもできる」 -ただし,授業の中で,生徒に使わせるのは,あまりおすすめしない。 *** 「条件を満たす点の集合」としての軌跡と,「数学的活動」の関係 - 数学的対象としての「軌跡」を,可視化できます。 - 点をプロットしながら進めていくので,そこに,取り組む人の「違い」が表現されます。 - 「これ,なんだろう」→.... という言語化 - 「次にどのあたりを調べるといいかな」... という,戦略あるいは意思決定 - 「どうなるはずかな」 - 「これは,ちょっと考えても仕方がなさそう」 - そもそも,協力しないと効率的に進まない。 - サッと答えが出る方がいい場合は,「エキスパートモード」での処理はうれしいけど,... *3.少し数学的に考えると **3.1 陽関数と陰関数 - y = f(x) .. Q = f(P) - f(x,y) = 0 ,, f(P) = 0 **3.2 写像や変換 - Q = φ(P) *4.課題 **4.1 前回提出された動画について,グループごとに「相互に,コメントをかく」 -まなびネット **4.2 探究する価値がありそうな,平面図形の問題を一つ見つけてきてください。 -まなびネットに書き込むこと(出典がある場合には,それも明記すること) **4.3 今日の授業への感想 -まなびネット **その他 -「授業プラン」をそろそろ考えはじめましょう。 -「授業ビデオ」をみると,参考になります。そういう意味で,「授業ビデオの感想」も課題になっています。 ----- *5.みなさんからの提出内容に関するコメントなど **5.1 みなさんから提出された「動画」を拝見して感じたこと *** 全般として - 「作成した後,見ましたか?」 -- モニタリングは,基本です。たとえば,授業でも,「生徒からどうみえているか」を意識しないと,改善できません。 --- 画面共有できていない例があります。 --- 「音がない」例や,「ほぼ聞こえない」例があります。 - 「解説」ではなく,「自分は何をどう体験し,発見等をしたのか」を語るのがねらいです。 -- 「正解を教える」ストーリーになっている方もそれなりに - 「数学?」 -- 観察してわかりました,では,それは数学ではありませんよね。 - 「プレゼン的な作品」なのだから -- ボソボソ独り言を言うのではなく,「相手があって,アピールする動画」のはずなので,.... -- そういう表現力は,きっと将来役立ちます。 *** 「自由に課題を探してつくる課題」なのだから - 今回は,いろいろなねらいもあるから,レポートとして「否定」するつもりはありません。 - でも,特に「四角形の4辺の中点を結んでできる四角形」の問題を選択した方々へ -- もし,「授業で学んだことを,そのまま表現している」あるいは,「その劣化版をやっている」としか思えないとしたら,それは他の学生はどう思うでしょう。 -- あるいは,そもそも,「そういうことを求めている課題」として解釈しますか? -- 自分なりに「探究する価値がある問題」を探して提出することを求めたりした上での課題作成です。 -- もちろん,「授業で扱っていること以上の深掘りができた」というようなことであれば,それはすばらしいことです。 -- でも,この授業では,「授業で扱ったことの縮小再生産」のような課題は出しているつもりはないし,今後も同様です。 *** 「授業者の顔色をみろ」とはいいません。...が。 - 授業で重視しているような論点を学んでいるとは思えないまま,ネット上のなにかをそのまま持ってきたような感じのレポート作成も,やはり「論外」です。 - それは,「学んでいるとは思えない」ということが重要です。 - もちろん,そこでの学びがあり,それを表現する上で,ネット上にあるなにかをつかって,「もっと深いことがここにある」というような主張をされるなら,それはそれで大学生としてすばらしいことですが。 *** 「考えているか?」「学んでいるか?」「成長したか?」が大きな指標 - 授業の中で扱われた内容が,どの程度定着しているかを調べることが中心の評価もあります。習得型の学びはそれに該当します。 - この授業で求めているのか,「探究型」の学びといえるでしょう。自分なりの課題に対して,自分なりに取り組み,そして成果としてのアウトプットを求め,それによって評価をする。ある意味,作品つくりという形でのパフォーマンス評価です。 - いろいろな人の作品をみると,感じるでしょ。 - その人が,どういうことを考えたか,どういうことを学んだか,そして,この学びを通して,どう成長したか。 - それが感じられない場合は,やはりなにかが足りないのです。 - コスパよく,タイパよくこなしていく学びもありうることは否定しません。 - でも,まともに取り組んでいるとは思えないものに対して,まともに対応しようとは思えないのもまた,現実であり,きっとみなさんが活躍する社会の中でも,きっと同様なのです。 ** それぞれの拝見しながら,思ったこと(順不同) -(0) surfaceだと,画面が乱れることがありますね。これはハードのスペック-(CPU,メモリ(たぶんこれかな), GPU)の問題なので,もし,本気で動画を作成したいときには,もう少し上のスペックが適切ということを意味していると思います。 今回の動画作成では,そこは気にしないでください。「公開」を目的にしていないので。 -(1) 測定値の精度(小数点以下の桁数)を変えた方がいい場合があります。 -(2) ぴったりにしたかったら,格子点への吸着ボタンを押すといい場合があります。(コントロールキーを押しながら変形でも一緒) -(3) 「発問」を明確にしよう。また,必要な場合は,図についての説明をしよう。 -(4) たとえば,「和」に関しては,暗算する方がいいのか,和を計算してしまったものを観察した方がいいのか。 -(5) 「解説」モードになっている方もいるけれど,「生徒はどういう活動をするのか」に焦点を当てたいのです。 -(4) たとえば,「円上だったらどうなる」「そうでないとどうなる」をみやすく示す上では,左下のボタンのon/offを使うといいでしょう。 (シフトキーを押しながら変形でも一緒) -(5) 記号などの書き込みは,きっと大切。動かない画面でことばで説明している人もいるけど,紙の図でも変わらない。いや,紙りら書き込みをするはず。 -(6) 「特殊な場合」がいきるものは,ぜひ,いかしましょう。一般から特殊という流れもあるし,逆に,特殊から一般へという流れもあります。 -(7) 「発見」に使うという使い方と,「証明」に使う使い方は必ずしも同じではない。なお,授業では,多くの場合,両方が必要になる。 -(8) 解説的なスタンスの方の場合,「生徒は,見せられて納得」以上のことができているだろうか, ということを検討してほしい。また,「紙上でも,直線を移動する」だけなら,鉛筆を代替することもできる。動的幾何ソフトが必要な問題例にできるといい。 -(9) 二次関数を扱うのを,まったく否定するつもりはない。二次関数は放物線であり,幾何的な性質ももっている。あるいは,関数のパラメータを変えることで関数を探究することも,ICT活用の一つのテーマとしては,理解できる。でも,少なくとも,この授業の中で焦点を当てたいことは,「何も学んでいない」と感じるけれど,どうだろう。せめて扱うならら 「動的」でないと扱えないような事例を提示することが必要ではないだろうか。 -(10) 「変わらない」ことって,「びっくりする」のだろうか。あるいは,「変わってもおかしくない」のに,「変わらない」と感じるようにするには,どうするといいのだろうか。 -(11) たとえば,円周角の定理の逆として,「48°」でもいい問題設定もありうるし,それではまずいこともありうる。なぜだろう。それは「証明」からのロジックを考えてみるといいはずなんだけど,それを意識しているだろうか。 -(12) 発見可能なことは,できるだけ「生徒自身に発見させたい」 そこで「発見するもの」は何なのだろう。「数字が一緒」というようなことなのだろうか。 -(13) フリーハンドなどで,「うまくいかない」けれど,「精密にかいたら,うまくいくはずなのかな」みたいな問いもありうる。 -(14) 観察したら,「こうなる」だけでは数学にならない。「こうなるはず」が必要では。 -(15) 問題を考える「必然性」。急に結果だけ示しても,「なぜ,それを考えるのか」という必然性がないと,「え」でおわってしまうのではないか。 -(16) 「音」は不可欠。また,「必要な部分」だけにしておかないと,見る側が負担。 -(17) 「発問」」から出発すべきで。定理の解説をしているのではないのだから。 -(18) 「画面共有」をしようね。゛゛ -(19)「そうでない場合も扱う」には,「ちょっと一般的な図」をつくっておくといい。また,円周上,直線上に関しても,.... -(20) 「おもしろいところ」は生徒に委ねよう。先生が解説してしまうのは,「それをうばってしまう」ことになる。 -(21) 「そうでない場合」を確認することで,「その条件は必要不可欠だ」ということが一目瞭然になる。 -(22) 測定値なしで「観察」, 測定値ありで「観察」, ただの予想,などのどれが一番適切な数学的活動になりそうかを比較してみる -(23) 一見存在していないものを「意識化」することによって,「一見不思議にみえることが,とても当たり前のことと見抜けてしまう」のが,証明の一つの価値 -(24) 「きっとこういう間違いかは出発して,こういう学びに到達する」というような,ストーリー性を感じたいよね。「正解を教えてあげる」というのも,わからないでもないけど,もっと生徒主役にできないだろうか。生徒を主役にするための脇役の道具がICTと思ってほしい。 -(25) なんとなくやっていく中で,こういうのがおもしろくなって...というのも,わからないでもないけど,「問題の発見」とか,「問題の定式化」というのをクリアにしよう。 -(26) 観察だけで「証明できた」とはしないでね。 -(27) 一人で撮影するときはついつい「ボソボソ発言」が自然かもしれなけいど,動画を見ることが前提なのだから,元気にね。 -(28) 「数学」だからね。 -(29)動かす必要がない図についての説明ねー。 紙の上の図でいいじゃない。 **5.2 みなさんから提出された問題 *** 11/17までの提出分 -先週, 他の方向けに図をつくっている場合には,図をつくることは割愛します。 -また,適切でない問題に関しては,その旨をかいています。 |名前|図|出典等|コメント| |神谷さん|#00054-1115-01|教科書|等積変形の代表的な問題例。名古屋中でも鈴木先生が関連する実践をしました。| |伊奈さん|#00055-1115-02|@|この問題そのものの形では,ちょっと困りますよね。解説しかできないので。| |加古さん|#00056-1115-03|@https://wrikk.exblog.jp/16059002/,出典|証明問題とは少し違う形にする方が適切でしょうね。| |阿部さん|#00057-1115-04|@https://mathscience-teach.com/koukoumath-kika3-3/,出典|| |郷家さん|#|@https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/chu/math/support/jissen_arch/201409/,出典|「正五角形」「正六角形」のしきつめにはタイルのようなものが適切でしょう。動的の意味が,ちょっと違うと思います。| |江崎さん|#00058-1115-05|@https://www.kashi-math.com/7493/,出典|作り込みすぎると,きっとあまり面白みもなくなりそう。| |副さん|#00059-1115-06|@,出典|| |山内さん|#|@https://www.chart.co.jp/subject/sugaku/suken_tsushin/99/99-10.pdf,出典|フラクタルのような無限操作は,「対応しているソフトやプログラム」が必要です。| |島田さん|#00060-1115-07|@,出典|| |田口さん|#00061-1116-01|@|| |大庭さん|#00062-116-02|@|| |笹沼さん|#00063-1116-03|@|| |土田さん|#00064-1116-04|@|| |渡邉さん|#00077-1117-02|@|どの問題を指しているのか,よくわからない。| |高橋さん|#00078-1117-03|@|| |小澤さん|#00079-1117-04|@|| |平山さん|#00080-1117-05|@|| |坂本さん|#00081-1117-06|@|| |森さん|#00082-1117-07|@|| |早坂さん|#00083-1117-07|@|| |五十嵐さん|#00076-1117-01|@|| |福代さん|#00084-1117-08|@|| |鈴木さん|#00085-1117-08|@|| |立野さん|#00086-1117-09|@|| |加藤さん|#00087-1117-09|@|| |鈴置さん|#00088-1117-10|@|| |大野さん|#00089-1117-11|@|| |中川さん|#00090-1117-12|@|| |松浦さん|#00091-1117-13|@|| *** 11/18の提出分 |杉浦さん|外接する2つの円と直線|「根軸」のことを調べると発展できるでしょう。| |岡田さん|円周角の定理|「弧の長さ」そのものを測定するとしたら,少し工夫が必要ですね| |二木さん|複素数のありがたみがわかる動画|直交性を示すにはベクトルも適しているのかも| |筒井さん|シスムソン線|発見だけなら分かりやすいけど,証明まで考えると,少し重たい問題。また,関連した問題に広げることもできそう。| |佐橋さん|接弦定理|生徒に証明させるなら,何を「活動」として位置づけていくかが重要| |新美さん|方べきの定理の図形の活用|図しかないから,方べきの定理そのものにみえるけど。| |石橋さん|面積比|問題文でないと,何を扱いたいのかわからない| |九澤さん|内接円の半径の求め方の証明|証明に関連して,何を探究したいのだろう。| |田中さん|モーリーの定理|観察して定理を発見するのはやりやすい定理だけど,証明まで扱うのはかなり大変| |筧さん|等積問題の難問|図形を動かすというよりも,静的に平行線を引いて考えるのに適している問題では| |小笠原さん|三角形の面積問題|やはり,静的に考える方が適している問題では| |宇野さん|最短経路の問題|名古屋中の後藤実践で扱っている問題と共通| |柴田さん|円周角の定理|| |横幕さん|2つの円の共通接線|位置関係のこと? 深めていくには...| |西村さん|おうぎ形の周りを円が回ったときの面積を求める問題|たぶん,実物を使う方が適している問題| |安福さん|平行四辺形を利用した中点連結定理の証明|昔の教科書ではこの方法で証明していましたね。今の中学生は必然性を感じるかな| **5.3 授業ビデオに関するコメントについて - 締め切りそのものは11/28ですが,ご自身の「授業コンセプト」を考える上で,附属名古屋中学校での授業ビデオは,いろいろな点で「参考」になると思います。 - 下記では,みなさんのコメントに関連したコメントをまとめておきます。 **** 加古さん - 授業前の緊張した時間に,鈴木先生は,前の時間までのことを振り返っていましたね。同僚は,「なんか授業時間を増やしているみたいでずるいな」と笑っていました。 - 鈴木先生の授業は,いわば,中学生にとって参加しやすい「元気のある授業」で,みなさんにとってとてもわかりやすいノウハウが多いと思います。 - グループの様子を上から撮影していると,タブレットの中の図に子どもがどう関わっているかで思考の様子や活動の様子がよくわかると思います。 - 「指名」に関して,緊張するかどうかは,たぶん,附属の生徒は「あまりしない」と思います。私が3月に行った授業でも,あてられた生徒はみな,堂々としていました。もちろん,公立中学校の場合,また変わってくると思います。 - 「何手?」というのは,鈴木先生としては意図があったんだけどね。生徒にもあまり通じていなかったかもしれない。 **** 牛山さん - 牛山さんの記述で,「ほとんど生徒に投げているような印象があって,解説が足りないように感じた」というのが印象的でした。 - そう。山中先生の授業は,ある意味,「生徒に任せる」授業なのです。 - それがとてもうまくいくときと,ちょっとそうならないときがあるのです。 - この授業では,それがとてもうまく機能した授業でした。 - 附属学校の先生方の授業では,細かなところまで決めておき,緻密に進める方が多いのですが,山中先生は,いい意味で,大雑把なところは決めているけれども,細かなところは「まかせる」ので,うまくいくととてもライブ感のある,生徒がつくる授業になるのです。 ****島田さん - 玉置先生の授業に注目してくれたのは,とてもうれしいですね。 - 最近の学生はこのビデオをみると,「古さ」しか感じてくれないこともあるのですけど(実際,ビデオの規格も,当時のコンピュータも,古い), 授業のスキルは,とても高いのです。 - これって,1992年。もちろん,みなさんが生まれる前。 - そして,そもそも,こういうスタイルの授業は,日本でもきっと初めて。世界でみても珍しかったはずです。 - コンピュータ室は先進的と,当時思っていましたが,いまみると,ワークシートへの書き込みなどがやりにくいですよね。でも,二人で話し合うというのは,うまく機能しているのがわかると思います。 - 先生と生徒の和気あいあいとした雰囲気,生徒が先生に突っ込んだり,「たこ」形を楽しんだり。でも,ピリッとするところはけじめがはっきりしている。そうそう,授業に対する価値観やルールがとても明確な授業です。 ****大庭さん - 山中先生の九点円。一見むずかしくて手が出そうもないのに,うまくナビゲートしているので,中学生でも解決できる流れになっていますよね。それは教材研究をきちんとしているからこそのことだと思います。 - つぶやきを拾うことの大切さと,そのノウハウがわかりますね。 - 先生が説明をしなおすべきかどうかということに関しては,基本的に附属学校では「しない」のが標準だと思います。生徒に対して「わかった?」と投げかけ,表情が「わかっていない」感じなら,発表者に「通じていないから,もう一回ね」とか,「他に,説明してくれる人いないかな」と投げかける方が標準だと思います。 -そうでないと,生徒の発表をしっかりと聞かないことになりますから。(どうせ,先生の解説を聞けばいいんだから,と) - 冗談。そう,最初からあちこちで。そして生徒も楽しんでいましたね。 **** 郷家さん -後藤先生のこの授業のときは,iPadはなかったので,一つ前のスタイルの授業になりますね。 -2つのクラスで実践をしたのだけど,かなりちがう授業になり,「何がどう変わると,こんなにちがう授業になるんだろう」と,参加者はとても疑問に思ったものでした。 -後藤先生は教育実習生などにとってはとてもこわい先生だったのですが,生徒にはとてもていねいな指導をしていますよね。 -よく観察すると,グループの中で,生徒独自の問題を発見し,それに取り組んでいる様子などがわかります。決して,「答えを知っている子が知らない子に教えている」景色ではありません。 -「黒板中心」なのは,その当時のICT環境にもよります。 ****阿部さん -鈴木実践ですね。 -実践の年は,生徒にとってもiPadはめずらしい存在だし,参観者にとっても,ほぼ初めての参観でした。 -PCと違って,マウスでなくタッチで図形を動かすこと,だから周りから手を出すことができるので,会話が活性化すること,それは数年前から取り組んでいたグループ活動ととても親和性があることなどを実感した授業でした。 -動かし方などにかかわって「なぜ」を問うことで,その図解説明などを生徒たちが議論しているのは印象的ですね。 -モニタのみづらさと,グループでの話しやすさをどう選択するかは,たしかに重要ですが,教師側から,「はい。ここで全員前を向きなさい」といった方がいいのかどうかといえば,名古屋中では,「生徒にまかせている」のはいまでも続いていると思います。 ****高橋さん -松元先生の実践は,おだやかです。 -鈴木先生がテンション高く元気に振る舞うのと対照的ともいえます。 -この授業も,教材研究を事前に深く行っています。いろいろな発見をきっと生徒がするはずだという読みと,でも,それは「大発見」というほどでもないのを生徒も感じ,「大発見」は,いつもなりたつことという暗黙の布石と,そして,「あのグループは気づいている」というのを机間指導のときに観察しておいて,それをさりげなく発表させ,そしてさりげなく「測定してみようか」。いろいろなところに細かな配慮が行き渡っている実践です。 ****高橋さん(2) - もう一つ,後藤実践にも,注目したのですね。 - 最初の問題を研究授業のテーマにする選択もありましたが,後藤先生は,そこは「知っている子は知っているけど,知らない子は発見するはずがない」という判断から,そこは「解説してしまい」,次の課題を本時の課題としています。 - そして,そこは,「条件を変える」形で自然に発展させていますね。 - どういう子を指名するかは授業では大切。正解を自信もって語れる子を選択するべき場面もあれば,この種の問題に初めて接した子の素朴な疑問や迷いを扱う方がいい授業になる可能性もあります。 - でも,「不安」を抱えている子を指名するときは,もちろん,しっかりとフォローすることが不可欠ですね。 - この授業では,後藤先生はかなり「待って」いましたね。でも,しっかり待ったかいがあった授業になりましたね。 ****江崎さん -「最短」ということを実感するには, ICTで測定してしまい,それを使って納得というのは,一つの方法ですね。 - 一方,特に発展問題の方を自信をもって解決するとき,数値だけでいいはずはなく,「証明」をうまく発展させることが鍵になりますね。 - 「授業が終わっても生徒が議論をしている」のは,その問題にホンキになって取り組んでいるときに現れる現象です。 - 「怖かった」ですか。(笑)実習生にとっては,後藤先生はとても怖い先生だったのです。生徒目線でみたときは,どうだったのでしょうね。実際には。 - 前に書いていた人へのコメントでも書いたけど,この授業と,もう一つの別のクラスでの授業,かなりちがう空気感の授業になりました。後藤先生の振る舞い方がそんなに大きく変わっているはずはないのに大きく変化して,参観者には衝撃でした。授業って,とても繊細な存在です。