**探究/ケーススタディ(5)...∠BACと∠BDCの関係
|#00241-0524-01| - △ABCの∠Bと∠Cの二等分線の交点をDとする。 - x = ∠BAC, y = ∠BDCとするとき,xとyの関係を求めよ。 ***教科書等での位置づけ -中学校/ -多くの場合,関係式が提示され,「これを証明しなさい」 -角の二等分線の性質を使って,証明する。 ***関数関係に関するいろいろな予想 - 60,120という数値をみると,「2倍になっているんじゃないか」を含めて,いろいろな予想が出てくることが期待される。 - 検証のための実験 - 組織的な観察をして,推測をたてる。 ***関数関係に関する「精確な測定」 -物理的な現象では,誤差の問題が生まれる。 -図形の中の二つの角の大きさの関係で,「いろいろな場合を手で作図する」のは現実的ではない。 -だから,「関係式を与えて,証明する」方法くらいしかなかったけれども,「測定して表をつくり,表から変化の割合などをもとめて,関数関係を確定する」活動が成立する。 *** 解決案1とそのリスク - 「表」をつくって,関数としての特徴を調べる。 - たとえば,xの値を10ずつ変えたとき,yの値がどうなるかを調べる。 - 表をきれいにつくることができれば,切片な傾きなどを意識化し,一次関数であることがわかり,それを明示する。 **** リスク - 多くの中学生は,xをきめる,つまり∠BACを一定の大きさにし,∠BDCの大きさを観察することになるのだが, 本当は,その操作は,点Aの位置を変えている。 - Aの位置が変わっても,その角の大きさが変わらなければ,この問題の場合には同じ結果がえられる。 ***解決策2とそのリスク -「点Aの位置」に対して,「角の大きさ」が一意的にきまるような制約を与える。 - たとえば,△ABCは直角三角形(∠B=∠R)に限定すると,AはBの「上」だけを動くようになる。 - また,さらに格子点の場所などに制限するなら,得る値は一意的にきまる。 - しかし,たとえば,10ずつ増やしたらどうなるか,というような調べ方はできなくなる。 - そして,測定値をどの程度までの精度にするかという問題があるが,解決策1よりも誤差の影響がでやすい。 ****あるいはチャンス -測定結果に誤差が入っていることがわかった場合,それは本当に誤差から生まれるのか,それともちがうのかを意識化することになる。 -そして,「四捨五入で計算しているから,こうなるしかない」を論理的に納得することができれば,「観察結果」への対処の仕方とともに,「こうなるはずということを厳密に証明することの意義」も実感できる。