**探究/方略/対応表
***定義 -@cs_001.htm,四角中点 -「いろいろな場合」を調べる上で,ただ漫然と眺めるのではなく,「どんな場合がありうるか」をかんがえ,「それぞれの場合に,注目する対象や性質はどうなるのか」を表にまとめること。 -表にまとめることが目的ではなく,むしろ,それは次の探究のための「暫定的な結果」であり,そこから次に何に取り組むかを考えることに意味がある。 **** 代表的な表 -四角形の場合,代表的なのは下記だけれども,それで完全というわけではない。 -むしろ,ここでは「形」を手がかりに考えているが,次の段階では「性質」に注目する方が本質的なことの方が多い。 |ABCD|EFGH|スケッチ・備考| |正方形|〇〇形|| |長方形|〇〇形|| |ひし形|〇〇形|| |台形|〇〇形|| |平行四辺形|〇〇形|| |一般の四角形|〇〇形|| |||| -上記ではわかりにくいが,それぞれの観察した結果やそこでどこに特徴があると解釈したかを書き込んだ図を書かせる方がいい。 -スクリーンショットを使う手もあるが,フリーハンドでの描画の方が適切ではないだろうか。 **** 対応表の欠点と探究における生かし方 - 分類は,暫定的。つまり,考えている問題に対して本質的な枠組みになっているとはかぎらない。 -- 違う生徒から,「自分の場合は観察結果が違った」という指摘があることがありうる。それは,「より精査する価値がある」ことを意味する。 - たとえば,正方形というのは集合であり,観察する対象は,その中の一つの要素でしかない。実は観察していたものが,とても特殊な場合のみを観察していて,その集合のすべての要素になりたつ場合を観察しているとはかぎらない。 --とくに多いのは,「EFGHは一般の四角形」と思ったとしても,実は特徴を見過ごしているだけということ。 - たとえば,EFGHが長方形というのは,「観察者による解釈」である。厳密に測定して判定したとはかぎらないし,そそもそもタッチなどで動かしているので,測定を厳密にして結果をまとめたらいいというものでもない。 -- 「タッチ等で図形をササッと動かすという軽い観察でわかるおおまかな結果」をまとめて,「次により詳しく取り組むべきことを見つける」のが,ここでのねらいなのだから。 ****表を検討するときの観点 -共通性 / すべての場合に共通すること -特殊化 / 特定の場合に成立すること -逆 / ABCDが〇になるときEFGHは〇になるということを観察しているが,EFGHが〇になるのは,ABCDがどういう条件を満たすときだろう,というのが,逆になる。 -あっていいはずの事実が「ない」/ たとえば,EFGHがなりうるリストを考えたとき,「〇〇になる場合が見つからない」ということがある。本当にないのか,あるけれども見過ごしているのか。 -検討に値する図形の追加 -より本質的にこの問題を扱うための「性質」/形から,性質への移行 **** 「関数として図をみる」 -上記の対応表は,「きまればきまる,かわればかわる」という関数の考えを図形に適用することに基づいていて,図形を関数として解釈することに結びついている。 **** 「特殊化・一般化」 -どんな場合にも成り立つこと,特定の場合にのみ成り立つことなどを分類整理することに結びつく。 *** 動的幾何ソフトを使った探究との親和性 - 「いろいろな場合を観察」することは支援してくれる。 - しかし,「どんな場合もそうなる」ことを,推論等をしてくれるわけではなく,それは人間がすべき仕事として位置づけられている。 - 「すぐに,直感的な操作で」いろいろな場合を調べることができるので,探究のサイクルを頻繁にまわることが支援される。 -また,フリーハンドや既存の道具(定規・コンパス等)と比較して,とても精確な観察を迅速に(推論等の思考にまったく支障を与えないくらいに)行えるので,既存の道具と比較して,「動的幾何ソフトを使った探究」が実行可能な範囲(汎用性)がとても広い。 -そのため,今までは実質的に考えることがなかった問題を,「多くの生徒が取り組むことが可能な問題」に変えてくれる *** 示唆される「トピック」 @topic_quad-quad.htm,「四角→四角」問題群 @topic_quad-point.htm,「四角→一点」問題群 @topic_triangle-triangle.htm,「三角→三角」問題群 @topic_triangle-point.htm,「三角→一点」問題群 @topic_triangle-lines-point.htm,「三角→三直線→一点」問題群 @topic_triangle-line.htm,「三角→直線」問題群