3角形を折る

探究 : 相似性への注目 (1) : A を動かす
- ∠BAD = ∠DAC となるための条件を考える -

愛知教育大学 数学教室
飯島康之


問題状況

紙でできたΔABCがある。頂点AをBC上に乗せて折る。
点 D の位置を固定しておいて,点 A を移動し,ΔEDB,ΔFBCが相似になる位置を求めたい。


点 D を動かす探究を行っていて,∠BAC と BC の交点として D をとればいい,という事実が分かっている場合に, 上記のように点 A を実際にいろいろと動かしてみるというのではなく,点 A などが満たすべき条件を考えるというアプローチもありえます。
逆に,作図ツールで調べるという方法が使えない場合には,このアプローチに到達できる場合は,紙と鉛筆等だけでも解決にいたれる,ということになるでしょう。

背景

ラフに調べると,ラフな結果しか得られません。
もう少し精密に描ける方法を考えるというのが,一つのアプローチと言えます。
つまり,手作業で 「Dを通るようにする」のではなく,常に角の二等分線が D を通るようにするには,どうしたらいいかということです。

分析

頂角の二等分線との交点が D となっている場合に,どういう関係が成立しているのかを,考えてみます。すると,次のような関係があります。

AB : BD = AC : CD

これを,うまく生かす手はないでしょうか。


作図

上の式は,たとえば,
AB : AC = BD : CD
と読めますが,
AB = k BD , AC = k CD
とおけます。
BD,CDを測定しておいて,変数としての k を変化させる / あるいは,変化させてその長さを使うための EF を用意して,それを使うというようなことをすれば,長さとしての AB, AC が決まるので,二つの円を作図し,その交点として A を作ることができます。

具体的な図を,次にあげます。

この中の不必要なところの色を消し,この問題に必要なものを追加します。


調べた結果の例

結果から分かること

条件を満たす点の集合は,ほぼまちがいなくBC上に直径を持つ円(上部のみを考えるならば半円)になるということ

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